IT インフラストラクチャ プロジェクトとは
IT インフラストラクチャ プロジェクトは、ハードウェアおよびソフトウェア システム、ネットワーク、サーバーなど、組織の IT インフラストラクチャを構築または維持するための取り組みです。会社のすべての機能がこれらのシステム上で実行されるため、そうしたプロジェクトは不可欠です。
IT インフラストラクチャ プロジェクト管理は、一般的な IT プロジェクト管理とは異なります。前者においては、会社が業務を行うための信頼できる環境をインストール、監視、アップグレードする責任を負います。後者においては、特定の目標を達成することにのみ責任を負い、場合によっては新入社員による機器のセットアップを手伝うのと同じくらい簡単なことを担当します。IT プロジェクト管理の詳細については、IT プロジェクト管理の成果を最大化することに関する記事を参照してください。
Mary Beth Imbarrato 氏は、コンサルティング サービスを運営し、あらゆる背景を持つ人たちにプロジェクト管理トレーニングを提供しているプロジェクト管理の専門家です。 「IT インフラストラクチャ プロジェクトでは、企業や組織全体の利益のために IT インフラストラクチャ全体をサポートする IT プロジェクトに焦点を当てます」と同氏は言います。
「例として、組織を保護するための新しいサイバーセキュリティ システム、古くなったデスクトップ アプリケーションの、クラウドベースのアプリケーションへの移行、建物のセキュリティ システムのアップグレード、重要なアプリケーションへの 2 要素認証の導入などが挙げられます。これらはすべて、古いテクノロジーによるリスクを軽減しつつ、ビジネスの根底にある基盤に影響を与え、ビジネスの安全性を維持して保護するプロジェクトの例です」。
IT インフラストラクチャ プロジェクトは、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、Web 開発という 4 つの主要カテゴリに分類されます。各カテゴリの詳細は次のとおりです。
- ハードウェア: モニター、キーボード、外部サーバーなど、組織で使用される物理的なテクノロジー機器はいずれもハードウェアと見なされます。すべてがスムーズに動作しているときは、ハードウェアのことなど考えもしませんが、ひとたび故障すると作業を続けることができなくなります。機器の健全性を積極的に監視していれば、新しいハードウェアのアップグレードや導入ははるかに簡単になります。
ハードウェア プロジェクトの例として、コンピューターや周辺機器 (キーボード、ドッキング ステーションなど) の交換、外部サーバーの設置や交換などが挙げられます。 - ソフトウェア: ソフトウェアには、オペレーティング システム (OS)、アプリ、インターフェイス、および会社のコンピューターにインストールされているその他のプログラムが含まれます。従業員はこうしたアイテムを日常的に使用しているため、ソフトウェアに関する問題は業務に大きな支障をきたします。会社全体のオペレーティング システムの大規模なアップグレードで業務を停止する場合は、事前に計画しましょう。
IT インフラストラクチャ ソフトウェア プロジェクトの例として、オペレーティング システムのアップグレードや、顧客関係管理 (CRM) システム、プロジェクト管理 (PM) ソフトウェア、給与計算ソフトウェア、エンタープライズ リソース プランニング (ERP) ソフトウェアなど、一般的なソフトウェア プログラムのインストールやアップデートが挙げられます。 - ネットワーク: これは、IT インフラストラクチャのさまざまな部分が互いにどう通信するかを指します。機能的なネットワークには、インターネット接続、クラウドベースのファイル共有、および自社が導入している一切のセキュリティ システムが含まれます。
ネットワーク プロジェクトの例として、ファイアウォールやアンチウイルス対策の設定、クラウド内のストレージ センターへのデータ移行、ネットワーク アーキテクチャの変更などが挙げられます。多くの企業は、安全なインターネット接続を可能にしてデータを暗号化する仮想プライベート ネットワーク (VPN) も導入しています。 Web 開発: このカテゴリは、企業の Web サイトの健全性を指します。強力な Web サイトは潜在顧客の重要なタッチポイントとなるため、非常に重要です。カスタマー サービスやチャットボットなど、インタラクティブな機能を構築して Web サイトに設置することを検討しましょう。
Web 開発プロジェクトの例として、e コマース プラットフォーム、オンライン ストア、チャットボット、オンライン予約機能のセットアップなどが挙げられます。
関連分野の詳細については、IT ポートフォリオ管理の包括的ガイドとIT キャパシティ管理のベスト プラクティスをご覧ください。
IT インフラストラクチャ プロジェクトのライフサイクル
IT インフラストラクチャ プロジェクトのライフサイクルには、計画、取得と調達、展開と実装、アセットの管理とメンテナンス (監視とも呼ばれます)、廃棄、およびアセットの処分が含まれます。
各段階の詳細は以下のとおりです。
- 計画: この段階では、マネージャーがプロジェクトの目標と、それを達成するために何をする必要があるかを定義します。関連するすべての機器、技術的知識、タイムライン、コスト、主要な関係者を考慮しましょう。新しい IT インフラストラクチャの展開方法または実装方法に関する調査を行い、リスクや制約を文書化します。作業を進める前に、これらのすべてについて、IT チームと会社のリーダーシップの足並みを揃えるようにしてください。
- 取得と調達: 必要なすべてのコンポーネントを調達します。これは物理的な機器 (ハードウェア プロジェクトの場合) の場合もあれば、アプリやその他のプログラムの購入 (ソフトウェア プロジェクトの場合)、またはさまざまなサービスを購入前に評価するだけの場合もあります。
- 展開/実装: ここで新しい IT インフラストラクチャをインストールします。サービスや業務を中断する場合は、必ず事前にチームと連絡を取り合いましょう。展開日はストレスが多く、予期しない問題が発生する可能性があります。緊急事態に備えて、十分な人員を確保してください。
アセットの管理とメンテナンス: IT アセット管理 (ITAM) は、ハードウェア、ソフトウェア、クラウド サービス、モバイル デバイス、Wi-Fi ネットワークなど、企業が所有するテクノロジーのメンテナンスを指します。この段階は監視とも呼ばれ、プロジェクト内の IT アセットの健全性を評価する継続的なプロセスです。更新できないほど速度が低下したり、故障が多くなったり、古くなったりする前に、あるいは他の IT 機器との互換性に関する問題が生じる前に、必要に応じてコンポーネントをアップグレードまたは廃止できるよう、継続的な監視が必要になります。こちらの IT アセット管理ガイドで詳細をご確認ください。
Elizabeth Harrin 氏は Association of Project Management (プロジェクト管理協会、APM) のフェローであり、『Managing Multiple Projects (原題)』の著者です。「インフラストラクチャ プロジェクトでは、考慮すべき要件が多数あります」と同氏は言います。「インフラストラクチャ管理の重要な部分は監視です。そのため、パフォーマンス管理を含めてこの段階を要件に組み込みます。また、ソリューションが堅牢であるようにするために、サイバーセキュリティの専門家と協力することも検討してください」。- アップグレード: 長期間にわたって IT インフラストラクチャを監視していると、いずれサービスのアップグレードが必要になります。前述のとおり、サービスを適切なタイミングでアップグレードして、互換性の問題 (さらにはクラッシュ) が発生しないようにしてください。
- 廃止/使用停止: IT 機器は永遠に機能するわけではありません。監視フェーズで修正不可能な問題が発生した場合、または問題が繰り返し発生する場合は、ハードウェア、ソフトウェア サービス、クラウド サービス、もしくはネットワーク インフラストラクチャを廃止する時期です。また、コンポーネントの一部が別のシナリオに役立つ場合は、リサイクルすることもできます。
IT インフラストラクチャ管理では、従来のプロジェクト管理のライフサイクルと同じ一般的なフローに従いますが、重要な違いと注意すべき詳細がいくつかあります。

Alexis Nicole White 氏は 15 年の豊富な経験を持つ IT および電気通信のエキスパートで、プロジェクト管理とデジタル トランスフォーメーションを専門としています。また、スクラム マスター認定 (SMC) と認定プロジェクト マネジメント プロフェッショナル (PMP) を取得しています。
「IT インフラストラクチャ プロジェクト管理が異なるのは、エンドツーエンドのライフサイクル全体を監督するからです。一方、一般的な IT プロジェクトは、運用を維持するための特定の機能を持つハードウェア、ソフトウェア、ネットワークに限定される場合があります」と White 氏は言います。
IT インフラストラクチャ プロジェクト管理のライフサイクルと従来のプロジェクト管理のライフサイクルには、他にも次のような違いがあります。
継続的なモニタリング: IT インフラストラクチャ プロジェクト管理は、最終的な状態や最後の納品がある単一のプロジェクトではなく、循環型のプロセスです。つまり、継続的な監視が不可欠です。
廃止の決定プロセス: IT インフラストラクチャの廃止や使用停止を決定するプロセスでは、機器やシステムを長期間にわたって綿密に監視する必要があります。
複雑な展開: IT インフラストラクチャの実装や展開が複雑なのは、技術的な仕様のため、および多くの場合、アップグレードや展開によって一時的な業務停止が生じるためです。展開と実装の計画は、問題が発生したときだけでなく、計画段階の途中で立てることが重要です。
システムのリサイクル: IT インフラストラクチャ プロジェクト管理では、廃止することになっていた古いシステムをリサイクルすることがあります。これは最適化に向けた取り組みの一環としての、システムへの再投資でもあります。
IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーの役割と責任
IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーには、プロジェクトのライフサイクル全体を管理する責任があります。これには、計画、構築、展開、監視、メンテナンスが含まれます。また、必要に応じてすべてのコンポーネントを廃止したりアップグレードしたりする責任を負います。
Imbarrato 氏によると、IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーは、既存のシステムをしっかり掌握している必要があります。「重要な責務として、技術面の新たなセキュリティ ギャップを常に把握すること、組織のインフラストラクチャを保護するために導入できる潜在的なソリューションを調査すること、およびチームと協力して組織全体に脅威を与え得る潜在的なリスクを特定することなどが挙げられます」と同氏は言います。「その他のスキルとしては、効果的なチーム リーダーシップやコミュニケーション スキルがあります。これは特に、インフラストラクチャに関するリスクをリーダーシップ チームに伝えなければならない場合に必要です」。
コミュニケーション スキルは、プロジェクトの成功に不可欠です。あらゆることがスムーズに進むよう、IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーはプロジェクト計画に加えてコミュニケーション計画も作成すべきであると、多くの専門家が推奨しています。実際、G・T・マリアニ (G T Mariani) による 2019 年の調査は、IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーによるコミュニケーション戦略の作成プロセスの開発を対象としています。多くの場合、この部分が欠けているためです。
IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーの役割と責任の詳細は次のとおりです。
設計と開発を調整する: たとえば、ある企業がハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、または Web インターフェイスの形で、新しい IT インフラストラクチャの導入を決定したとします。IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーは、技術的な制約や仕様を共有し、新しいコンポーネントの設計と開発について適切な IT スタッフと調整を行います。
IT インフラストラクチャと会社の目標との整合性を確保する: IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーは、IT チームと上級経営陣との間の連絡役です。経営目標を IT チームに明確に伝えるとともに、制約、リスク、仕様を経営陣に伝える責任があります。
提案された IT インフラストラクチャ プロジェクトに関連するリスクを評価する: IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーは、提案されたプロジェクトのリスクを評価して伝達し、上位の経営陣がプロジェクトに優先順位を付けて承認できるようにする必要があります。
既存の IT インフラストラクチャを継続的に維持するために、チームをトレーニングおよび管理する: プロジェクト マネージャーは、すべての IT インフラストラクチャを自分で監視する必要はありませんが、監視を行う IT チームのメンバーをトレーニングし、監督する必要があります。
複数の分野のチームと共同作業を行う: IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーには、多様なレベルの技術的専門知識を持つさまざまな関係者と緊密に連携できる能力が求められます。これには、強力な対人スキルとコミュニケーション スキルが必要とされます。
認定プロジェクト マネジメント プロフェッショナル (PMP) である
Te Wu 氏は、PMO Advisory (PMO アドバイザリー) の CEO 兼 CPO を務め、モントクレア州立大学で准教授として教鞭を執るとともに、プロジェクト マネジメント協会の開発チームの共同委員長を務めています。同氏によると、さまざまな人とコミュニケーションを取ること、および適切な質問をするための技術的な専門知識を持つことがマネージャーには不可欠です。
「私はある大学で大規模なネットワーク インフラストラクチャ改善プロジェクトを担当したことがあります」と同氏は言います。「プロジェクト マネージャーにとって重要なのは、そのインフラストラクチャ プロジェクトのさまざまなハードウェアやソフトウェア、そしてサーバーの設置やデータ センターの更新に必要な時間など、実装面の課題をしっかりと把握することです」。
また、そうしたマネージャーは通常、コーディングやプログラミングの経歴を持ち、組織が現在使用しているシステムを深く理解しています。
「優れたインフラストラクチャ プロジェクト マネージャーは、そのソリューションが現在の目的に適していることを確認するだけでなく、組織に拡張の余地を与えることもできます」と Harrin 氏は言います。「プロジェクト マネージャーは、対象分野の専門家やアーキテクトと協力し、スケーラビリティの要件をプロジェクト チームが導き出すのを支援します。これにより、インフラが将来の成長を妨げることなく、かつ過剰な設計にならないようにします。過剰な設計は、他のプロジェクトに活用できる貴重な資本と業務費用を無駄にしてしまう可能性があるためです」。
IT インフラストラクチャ プロジェクト管理スターター キット
IT インフラストラクチャ プロジェクト管理では、プロジェクトの技術的側面と組織的側面の両方を深く理解する必要があります。無料でダウンロードできるこちらのスターター キットには、IT インフラストラクチャ プロジェクト管理を始めるために必要なすべてのものが含まれています。
IT インフラストラクチャ プロジェクト管理スターター キットをダウンロード
キットの内容は以下の通りです。
- IT インフラストラクチャ プロジェクトのマネージャー候補に面接で聞くべき質問リスト (Microsoft Word) : 見込み客との会話をガイドします。
- 1 年間の IT インフラストラクチャ ロードマップ (PowerPoint) : 来年度に計画されている取り組みとアップグレードを視覚化するのに役立ちます。
- 5 年間の IT インフラストラクチャ ロードマップ (PowerPoint) : 組織の IT インフラストラクチャの戦略的方向性と長期的な目標を概説するために使用します。
- IT インフラストラクチャ プロジェクト計画テンプレート (Excel) : このテンプレートとその Google スプレッドシート版を使用すると、プロジェクトの詳細、タイムライン、リソース、マイルストーンを整理および追跡することができます。
- IT インフラストラクチャ プロジェクト管理の 専門家のヒント付きチート シート (Microsoft Word) : ベスト プラクティス、戦略、実践的なヒントを確認できます。
また、完全なガイドでは、機器在庫テンプレート、IT 戦略計画テンプレート、ソフトウェア在庫テンプレートなど、IT インフラストラクチャ関連のさまざまな無料リソースを紹介しています。
IT インフラストラクチャ プロジェクト計画
IT インフラストラクチャ プロジェクト計画を使用して、IT インフラストラクチャ プロジェクトを完了させることができます。これは技術的要素が極めて強い継続的なプロセスなので、一般的なプロジェクト計画よりも多くのセクションが含まれています。
IT インフラストラクチャ プロジェクト計画の要素として、次のものが挙げられます。
- 背景情報: 会社がこのプロジェクトを実施しようとしている理由は何ですか?このプロジェクトによって更新される以前の関連プロジェクトや古いインフラストラクチャに関する情報を列挙します。
- 主な優先事項と副次的優先事項: このプロジェクトの目標と目的は何ですか?プロジェクトの範囲に応じて、1 年間と 5 年間の目標、または短期と長期の目標を必ず含めます。目標設定セッションを最大限に活用するには、SMART 目標を書き出す方法に関するリソースをご覧ください。
- システム情報: プロジェクトの対象となる主なシステム、プログラム、ネットワークを文書化します。また、互換性、寿命、制約に関する情報も含めます。
- 予算: 通常のプロジェクト計画と同様に、項目別の予算を列挙します。初期段階における構築と実装のコスト、および継続的な監視のコストを含めます。
- 予想されるメンテナンスとアップグレード: 近い将来予想されるメンテナンスとアップグレードを記します。
- 役割と責任: 通常のプロジェクト計画と同様に、複数の分野のチーム メンバーなど、すべての関係者を列挙します。
- リスク評価: このプロジェクトに関連するリスクと、そうしたリスクが発生した場合の対応方法を示すリスク評価を作成します。
- タイムライン: このプロジェクトではどのようなタイムラインを予定していますか?変更が発生した場合でも柔軟に対応できるよう、必ず予備の時間を組み入れましょう。
- 継続的なモニタリングとメンテナンス: このプロジェクトにおける継続的な監視とメンテナンスのリソースは何ですか?人的リソースや、購入または展開する必要がある技術プログラムを必ず含めましょう。
- その他の技術的仕様: IT インフラストラクチャ プロジェクトは非常に複雑であるため、技術的仕様に関する情報をできるだけ多く追加することをお勧めします。
参考までに、通常のプロジェクト計画と IT インフラストラクチャ プロジェクト計画に通常含まれる内容を以下に示します。
要素 | 一般的なプロジェクト計画 | IT インフラストラクチャ プロジェクト計画 |
---|---|---|
背景情報 |
| X |
予算 | X | X |
予想されるメンテナンスとアップグレード |
| X |
継続的な監視とメンテナンス |
| X |
主な目標と目的、および副次的な目標と目的 | X | X |
リスク評価 | X | X |
役割と責任 | X | X |
システム情報と互換性 |
| X |
タイムライン | X | X |
その他の技術的仕様 |
| X |
IT インフラストラクチャ プロジェクト計画テンプレート
サンプル データ付きの IT インフラストラクチャ プロジェクト計画テンプレートをダウンロード
Excel
| Google スプレッドシート
空白の IT インフラストラクチャ プロジェクト計画テンプレートをダウンロード
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このテンプレートは、IT プロジェクトのライフサイクルのすべてのフェーズを含む、IT インフラストラクチャ プロジェクトを管理するためのプロジェクト計画のサンプルです。サンプル データ付きのバージョンと空白のバージョンが用意されているので、記入例を確認してから独自のプロジェクト データを入力できます。
IT インフラストラクチャ プロジェクト管理の手法
IT インフラストラクチャ プロジェクトは、ウォーターフォール手法かアジャイル手法を使用して管理できます。万能のアプローチは存在しないため、自分のプロジェクトは直線的なのか、それとも柔軟性があるのかを、その他の要素も含めて判断し、最適な手法を選択します。
歴史的に見ると、IT チームはアジャイル手法を最初に採用した部門の 1 つですが、プロジェクトの規模と複雑さがその理由です。しかし、ジェイソン・G・アイルズワース (Jason G. Aylesworth) による 2021 年の研究で指摘されているように、「少なくとも、システムの実質的な部分を提供しなければ大きな価値を提供できない」ため、IT チームの多くは依然としてウォーターフォール手法を使用しています。
「プロジェクト管理の手法は、プロジェクトの種類を基に決まります」と White 氏は言います。「プロジェクトに極めて広範かつ流動的な要件がある場合は、アジャイル アプローチを採用することをお勧めします。要件が定義され、その大半が固定されている場合は、ウォーターフォール アプローチの使用をお勧めします。要件を定義したものの、計画段階で柔軟な対応が必要だと判明した場合は、ハイブリッド アプローチが最適です」。
使用する手法は IT インフラストラクチャ プロジェクト マネージャーが決定します。しかし、この決定は単独で行うべきではありません。
「プロジェクト マネージャーがプロジェクト チームとこの議論を行うことを、強くお勧めします」と Imbarrato 氏は言います。「プロジェクト チームの中に、アジャイル手法や『ハイブリッド』の仕組みに不慣れな人がいるかもしれません。この議論をチームと行うことで、プロジェクト マネージャーはプロジェクトの展開方法について全員の認識を一致させることができます。この 1 つの小さな問題によって、素晴らしいプロジェクトが台無しになりかねません。手法やプロジェクトの展開方法、そしてその手法に従うチームのメンバーとして自分がどのような責任を負うのかを、プロジェクト チームの全員が完全に理解できるようにしてください」。
次に、2 種類の手法をより具体的に説明します。
IT インフラストラクチャ プロジェクトにおけるウォーターフォール手法
IT インフラストラクチャ プロジェクトでは、プロジェクトが予測可能で、反復可能かつ直線的な作業を行う必要がある場合に、ウォーターフォール手法を使用するチームもあります。
ウォーターフォールは、次のような特徴を持つプロジェクトに適している傾向があります。
- 最初から最後まで直線的に進行する段階的なプロジェクト
- 最終製品のテストを最後に行うだけでよいプロジェクト
- 確定済みの具体的な要件リストがあるプロジェクト
- チーム用のハードウェアを交換したり、会社のコンピューターに新しいソフトウェア プログラムをインストールしたりするなど、単一の大規模な目標があるプロジェクト
IT インフラストラクチャ プロジェクトにおけるアジャイル手法
予測するのが難しく、チームが複数の部分やフェーズに同時に取り組まなければならないような IT インフラストラクチャ プロジェクトがあります。このような状況では、プロセス全体で柔軟性を維持できるように、アジャイル アプローチを使用するのが最善です。
アジャイルはソフトウェア開発でよく使用されますが、IT インフラストラクチャ プロジェクトにも役立ちます。アジャイルが適しているのは、次の種類のプロジェクトです。
- 反復型アプローチを必要とするプロジェクト
- 小規模な増分やバッチごとに目標を達成し、各段階でテストするプロジェクト
- 一連の目的や、予算と時間の制約が定義されておらず、より柔軟に対応できるプロジェクト
- クラウドへのデータ移行や Web サイト上のチャットボット構築などのインフラストラクチャ プロジェクト
2 つの方法を使用したハイブリッド アプローチも使用できます。ハイブリッド手法が適しているのは、明確に定義された目標があるものの、成功するためにはある程度の柔軟性が必要なプロジェクトです。

Ben Timmerman 氏は IT 業界で 10 年以上の経験を有し、現在は The Brookfield Group (ブルックフィールド グループ) で最高ソリューション責任者を務めています。同氏はハイブリッド手法を好んでいますが、最終的にはその環境に応じた選択となると説明します。「すべてはデリバリーの方法と、組織の環境と関係者の両方から何を受け入れられるか次第です」と同氏は言います。「可能な場合はハイブリッドのほうを使用します。と言うのは、プロジェクトをデリバリーする際に最も柔軟性が高まるからです」。
IT インフラストラクチャ プロジェクト管理のベスト プラクティス
IT インフラストラクチャ プロジェクト管理を成功させるには、プロジェクトと組織的目標の調整、強力な部門横断型チームの構築、リスクの計画、および進捗の継続的な監視が必要です。
IT インフラストラクチャ管理の専門家によるその他のベスト プラクティスの一部を以下に示します。
- 適切な要件を収集する: 端的に言えば、自分が何の作業をしているのかを知らなければ、プロジェクトは成功しません。Alexis Nicole White 氏は、ビジネス、機能、技術に関する要件を収集して、適切に計画するよう助言しています。「正しい要件を把握できるよう、適切なすべての関係者を必ず特定してください」と同氏は言います。
- 詳細なプロジェクト計画を作成する:「プロジェクト計画を詳細化することが不可欠です」と Timmerman 氏は言います。「必要に応じて計画から逸脱しても構いませんが、プロジェクト計画はプロジェクト チームのメンバー全員のガイドラインであるべきです。これにより、プロジェクトの進捗に合わせてすべてのチーム メンバーが把握し、理解できるような、統一された目標と目的を作成できます」。
- リスク緊急時対応計画を作成する: 新しい IT インフラストラクチャの調達や展開を開始する前に、リスク管理を理解し、リスクが発生した場合の行動計画を確立します。
- 将来の IT インフラストラクチャ プロジェクトに向けてナレッジ ベースを作成する: Imbarrato 氏は、将来のチームがリソースとして使用できるように、IT 関連のあらゆるプロジェクトに関するドキュメント保管庫を用意することを提案しています。「システム図がない場合は、今すぐ作成してください」と同氏は言います。「システム図があれば、あなただけでなく、IT インフラストラクチャのサポートを担う後任者にとっても役立ちます。インフラストラクチャ チーム向けの用語集はどうですか?すべてのチーム メンバーが、用語、システムの構成要素、フレーズについて同じ理解をしていますか?そうでない場合は、用語集を作成しましょう。これを、新しいスタッフのオンボーディング パッケージに追加してください」。
- 変更を受け入れる: プロジェクトが計画通りに進むことはめったにありません。予期せぬ事態に簡単に対応できるよう、スケジュールと予算に余裕を持たせましょう。「物事は流動的なので、柔軟性を維持することが不可欠です」と White 氏は言います。
詳しくは、一般的な IT プロジェクト管理のベスト プラクティスに関する記事をご覧ください。
Smartsheet で IT インフラストラクチャ プロジェクトを効果的に展開および管理する
シンプルなタスク管理やプロジェクト プランニングから、複雑なリソース計画やポートフォリオ マネジメントまで、Smartsheet は共同作業の改善と作業速度の向上に役立ち、より多くの成果を上げるのに効果的です。 Smartsheet プラットフォームなら、いつでもどこでも簡単に作業の計画、保存、管理、およびレポート作成が可能なため、チームはより効率的かつ効果的に仕事を進めることができるようになります。作業に関して主要なメトリックを表示したり、リアルタイムの可視性を提供したりするために、ロールアップ レポート、ダッシュボード、および自動化されたワークフローを作成する機能も装備されており、チーム メンバーをつないで情報共有を促進することが可能です。 やるべきことを明確にすると、チームの生産性と作業達成能力が向上します。ぜひこの機会に Smartsheet を無料でお試しください。