リソース管理とは?
リソース管理はプロジェクト管理の一部で、人的資産および物理的資産 (資金、資材、設備) を効率的かつ効果的で、経済的に活用するように設計されたプロセスのことを指します。 リソース管理のゴールは、リソースを 100% 活用することです。そのためこれは、管理、維持、成功の実現のための最も困難なプロセスの 1 つであるといえます。
リソース管理とは、人的リソースを含め限りあるリソースを整理していき、プロジェクトを完了へと導く、技術であり科学です。 ともすれば混沌とした状態にもなりかねないプロセスをうまくコントロールしていくには、Word 文書や Excel スプレッドシート、プロジェクト管理ソフトウェアを (個別に、または組み合わせて) 使用するという方法もあります。 どのようなツールを使用するにせよ、予算とスケジュールを守ってプロジェクトを進めるには、プロジェクトの初日から完了予定日まで、リソースを常に把握しておく必要があります。
リソース管理が重要な理由
リソース管理で大切なのは、最終的なプロジェクト目標から「逆算」し、人的リソースも非人的リソースも含め、すべてのリソースを最大限に活用できるよう、計画を立てることです。 「『終わりを思い描くことから始める』とは、スティーブン・コヴィーの有名です」と、Zucker は指摘します。
さまざまなタイプのリソース管理とマネージャー
リソース管理を一般的に行っている分野としては、大規模製造業、建設行、ハイテク、ソフトウェア、広告、マーケティング、調査、コンサルティング/専門サービスなどがあります。 小規模な企業では、従業員が 2 つ、または 3 つの職務を掛け持ちして、業務をこなすことがあります。一方、規模の大きな企業では、マネージャーが特定の担当領域の調整役を担う場合があります。
以下のリストには、さまざまな種類のリソース管理と、リソース管理を開始する際に役立つテンプレートが示されています。
- リソース管理: リソース マネージャーは、リソースを適切な形で活用するガイドとなるコースを描きます。数か月前から数年先までのコースを描くこともあります。 リソース マネージャーは通常、PMO (プロジェクト管理オフィス) およびそのプロジェクトのマネージャーと協力して、コスト、リソースの可用性、期限を厳格に管理しつつ、プロジェクトに対して人員が最適な形で配置されるようにしていきます。 プロジェクト マネージャーがリソース マネージャーの役割を果たす組織も多くあります。 規模の大きなリソース管理についての詳細は、「Transform Your Business with Enterprise Resource Planning」をご覧ください。
- プロジェクト管理: プロジェクト マネージャーは、タスクとチームを管理し、明確に定められた順序とスケジュールにて、所定の目標が達成されるようにします。 PMO を持つ組織では、プロジェクト マネージャーが従うべき基準を設定し、維持しています。 この PMO 基準は、多くの場合、プロジェクト マネジメント協会 (PMI) によるプロジェクト マネジメント知識体系 (PMBOK) のベスト プラクティス ガイドラインに沿っています。 無料のツールやヒントについては、プロジェクト管理リソース とマーケティング ソリューションのページをご覧ください。
- 人事管理: どの企業においても、その主たるリソースは人です。自社に「合う」人材を見つけ、管理していくことは、戦略的にも戦術的に重要です。 人事管理には、人材募集活動と適切な人材の選定、適切な オンボーディング プログラムの実施、パフォーマンス評価および報酬と手当に関する仕組みの策定が含まれます。 また、スタッフのやる気、安全性、福利、労働法への準拠も考慮する必要があります。 人事部門のマネージャーとチームは、従来のように所定のタスクをこなすことに留まらず、より戦略的な組織的役割へと進化しています。 詳しくは、「Human Resource Management 101: Functions, Policies & Procedures」および「Welcome to the HR Revolution: Strategic Human Resources Management」をご覧ください。
- 天然資源管理: 土地や土壌、水、植物や樹木などを未来の世代に引き継げるよう、これらを管理していくことです。
- 財務リソース管理: ここでは、資産 (現金、株式、社債など) と 負債 (ローンなど) の両方を含む、お金に関するすべてが関係します。
- エンタープライズ資産管理: ここでは、企業や非営利団体などの組織の資本資産が管理対象になります。
- 公的資産管理: 市、郡、都道府県、国家など、政府の資本資産が管理対象になります。
- デジタル資産管理: デジタル アイテム (企業の文書、メディアなど) を保管し、安全性を維持します。
- 施設管理: これは、オフィス、データ センター、倉庫、病院など、建物の運営に関連します。
- インフラストラクチャ管理: 道路、橋、電力網、下水道などの構造物の建設、運用、メンテナンスを行います。
- 在庫管理: 在庫を維持し、利益と顧客満足度の最大化を図ります。
- IT サービス管理: 多くの場合、SLA ベースの契約により、サードパーティを通じて、組織の情報テクノロジー資産とサービスの監視を行います。
包括的なリソース管理のベスト プラクティス
リソース管理は継続的なプロセスであり、監視を怠らず、リソースの可用性、さまざまなプロジェクトのニーズ、優先順位の変更に基づいて、常に調整していくことが求められます。 以下のプラクティスに従えば、リソース管理をより効果的なツールにすることができます。
- 一元化されたリソース プールを構築して、プロジェクト間のリソースの割り当てを支援し、プロジェクトや作業の優先順位付けに関する一般的な取り組みをサポートします。
- プロジェクトの期間中、リソースの割り当てと可用性を追跡することで、リソースを最大限に活用できるように、また遅延を防げるようにします。
- 人材だけでなく、金銭面のリソースや在庫、物質的リソースも追跡します。
- 人員一人ひとりの最新のスキルと強みを常に把握し、スキル セットの変化を見逃さないようにして、人材を効果的に活用できるようにし、人的リソースの平準化を支援します。
- 業務を過剰に割り当てないようにして、マルチタスクや燃え尽きを抑制します。
- 制約のあるリソースの可用性を中心に計画を立て、そうしたリソースへの過剰な負担を回避します。
- タスクとプロジェクトの優先順位を決め、KPI の達成をサポートし、ビジネス ニーズに沿うように、戦略的にリソースを配分します。
- 先々にどのリソースが不足するかを見極め、そのリソースを増やすように計画します。
- 組織全体のさまざまな働き方をサポートして、効率性を高めます。
- プロジェクト以外の時間も追跡し、人員への過剰な割り当てや作業の遅延を防ぎます。
- 最も大切な資産の満足度と生産性を常に確保します。
- 人材とは人であり、人は安定感と安心感、パフォーマンスに基づく公正な報酬、昇進の機会を求めるということを決して忘れないようにします。
『Relationship Between Human Resource Management Practices, Enterprise Strategy and Company Outcomes: Service Industry of China (人事管理、企業戦略、企業業績の間の関係: 中国のサービス分野)』(著者: Nausheen Syed、Lin Xiaoyan、Syed Kamran Ajmal、Khan Mansoor Shaukat) と題された研究論文では、次のような仮説が提示されています。
- サービス企業では、人事管理とその企業の業績に密接な繋がりがある。
- サービス会社では、人事管理と事業戦略との間に密な関連性がある。
- 戦略志向は、企業の業績向上に結びついている。
- サービス企業では、企業戦略に人事管理を組み込むことで、それを業績にプラスの形で、また大幅に反映させられると考えられる。
中国での企業研究にて収集したデータを基に、上述の研究者らは、リソースの戦略的配分、人材という貴重な資産の満足度の確保、成長の機会の提供といった施策を実施することが、組織のパフォーマンスの向上につながると、示すことができました。
人材管理の主要素
『Assessment Centers in Human Resource Management (人事管理における評価センター)』(著者:George C. Thornton III and Deborah E. Rupp) では、充実した人事管理プログラムの高レベルな機能が整理されて、説明されています。 この本は、プロセスにて評価センターを用いることを中心に展開されていますが、こうしたカテゴリは一般的な人事管理にも適応できるものです。
- 人材募集: 募集中のポジション (現在と将来の両方) に適していると思われる人材を探します。
- 選定: 候補者の中から最も適任な人物を選びます。
- 配置: 採用した人材を、そのスキルや能力に合ったポジションに配置します。
- トレーニングと育成: 仕事で成功し、前進するために必要な、ツール、スキル、トレーニングを提供します。
- パフォーマンス評価: 各自の功績と能力を評価し、足りない部分を補い、改善する計画を立てます。
- 組織開発: 効率性と生産性を向上させられるように、組織構造を変更します。
- 人事計画: 将来に備え十分な人員を確保します。
- 昇進および配置転換: 各自のスキルと変更した組織のニーズに合わせて、新しいポジションへの移動を実施します。
- 解雇: 人員を減らすプロセスは楽しいものではありませんが、外部的要因や優先順位の変化によって、余剰人員が発生したり、そのスキルが組織のニーズと合わなくなった人員がいたりする場合は、これを検討する必要があります。
リソース管理テンプレート
以下のテンプレートは、リソース配置を追跡するための構造作りに活用できるものです。 これらを活用することで、リソースの可用性と割り当ての状況を確認し、過剰な割り当てを追跡できます。
人員配置または人員募集計画
チームに適した人材を見つけることは、リソース管理と組織の成功を左右する最も重要な要素の 1 つです。 人員配置計画を立て、適切な人材を適切なタイミングで配置できるようにしましょう。 このテンプレートでは、目標、予算、ステータス、コメントといった列を使用して、ひと目でわかりやすくし、人員配置をより管理しやすいものにしています。 また、人員配置のニーズに応じてカスタマイズして更新することもできます。
財務リソース管理
組織の目標を達成するためには、財務の計画を立て、整理し、管理し、監視していく必要があります。 また、資金を最も効果的に活用するためには、チームにて目標を設定して合意し、ポリシーの策定および評価を行い、戦略や戦術、行動計画を実践していく必要があります。 財務マネージャーは、組織の財務状況に関する責任を負い、意思決定においては経営陣と相談することになります。 財務リソース管理の詳細については、「無料の財務計画テンプレート」と「あらゆる会社に利用できる、無料のビジネス予算テンプレート」をご覧ください。
プロジェクト予算テンプレート
この実用的なテンプレートを使用すると、プロジェクトやタスク別にコストを管理しやすくなります。 プロジェクトの種類によっては、設備や契約社員、物資といった個別のプロジェクトに固有の費用を含めてもよいでしょう。 実際の費用を予算と照合しながら追跡しておくと、将来のプロジェクト用に予算をモデル化する際にも活用できます。
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流通管理または流通管理計画
流通管理とは、予測される需要を満たすために、どの商品を、どのくらいの量で、どこに用意すべきかを判断して、商品をより効率的に提供する、体系的なプロセスです。 この目的は、商品の発注、輸送、在庫量を減らすことで、コストを削減しつつ、在庫不足を最小限に留めることにあります。 流通マネージャーは、在庫の枯渇を予測し、不足が発生しないように補充計画を立てます。 この役割では、複雑な通信や IT システムに精通している必要があり、また多くの場合、メーカーやサプライヤー、小売業者、消費者との連絡役を果たします。
在庫管理テンプレート
在庫管理とは、在庫品目と非資本資産を監督することです。 在庫マネージャーは、メーカーから倉庫、そして販売ポイントへと続く商品の流れを監督します。 入荷品目と返品品目の両方に対して、詳細な日次記録も作成します。 在庫管理は、組織の規模に関係なく、複雑になりがちですが、そこには必ず実施すべきプロセスが設定されています。 在庫マネージャーは、在庫チームおよび倉庫チームをリードし、スタッフを採用し、スケジュールを作成し、在庫状況を監視することで、在庫の補充タイミングを把握します。 また、時間を重視し、 在庫不足ゼロという完全を目指します。 テンプレートの詳細とダウンロードについては、「Inventory Management 101: From Simple Inventory to Cloud-Based Management」をご覧ください。
このテンプレートを使用すると、在庫レベル、注文リクエスト、再注文履歴を 1 つのビューで確認できます。 在庫量の減少を知らせるアラートを設定したり、モバイル端末でステータスを確認したり、供給状況を追跡したりすることも可能です。
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スペース管理
スペース管理 とは、効率性を最大限に高めるために物理的なスペースを管理することを指します。 これは簡単なようで、実は複雑です。 製造や倉庫 (複数の拠点を網羅する Amazon の巨大なオペレーションを想像してみてください) といった場面では、スペース計画が非常に重要な取り組みになります。 また、小売りにおいても重要で、利益率の改善や、消費者にアピールできるディスプレイ作り、全体的な売上の拡大のための重要な要素になります。 一般的に、スペース マネージャーには、インテリア デザイン、建築、エンジニアリングの経験があります。
情報テクノロジー管理
事業戦略と企業のテクノロジーのベクトルを合わせるには、情報テクノロジー (IT) 管理が必要です。 IT マネージャーは、最大限の価値を創出するため、サイロのないテクノロジー環境を追求します。 また、IT 機能とインフラ環境の間に相乗作用のあるクリエイティブな協調関係を構築し、施設、管理、セキュリティ、サーバー、ネットワーキング、ストレージをひとつにまとめます。 IT の統合と自動化を実現できれば、組織の規模に関係なく、どの企業でも、アプリケーションを迅速に運用できるようになります。 IT 管理においても、他のリソース管理プロセスと同様、ビジネス上の不足の需要に対して、より迅速にリソース調整を実施できるようになるというメリットがあります。
医療利用管理
「医療利用管理は、患者ケアや医療保険の利用に関するもので、専門性の高い管理になります」と、Zucker は述べています。 「医療利用レビュー」とも呼ばれるこの管理では、適用される医療保険プランの規定に基づき、エビデンスベースの基準を用いて、医療の手順、サービス、施設の適合性と医療要件を評価します。 この管理は、コストを最小限に抑えるうえで、また推奨される処置が適切かどうかを判断するうえで、効果的です。 医療利用マネージャーは一般的に、さまざまな管理担当者や臨床医と協力して仕事を進めます。
効果的なリソース管理のテクニックと原則
「私たちは、チームの活用状況と請求可能性に加え、スタッフのスキルもモニタリングしています。これらすべてによって当社のキャパシティを把握できるからです」と、Hunter は述べています。 「当社のチームは基本的にプロジェクト ベースであるため、日々の利用状況や負荷のバランスを管理し、業務を順調に進めるうえで、これらのツールが重要な役割を果たします。 また、データを活用して、稼働率を判断しています。 プロジェクト管理パートナーは、財務レポートを用いてデータを詳細に追跡し、予測される収益および利用状況を実現できるかどうかを確認しています」
リソースを効果的に管理するには、以下で説明するようなさまざまなツール、テクニック、原則、規律を用いる必要があります。
- リソース計画: まずは、プロジェクトを完了させるために必要な、すべてのリソース (人的リソースも、非人的リソースも) の詳細なリストを 作成します。 このプロセスには、チーム メンバーにも参加してもらいましょう。プロジェクトには、管理者が知らないリソースとする部分もあるためです。 可能性のあるすべての項目に対して計画を立てるのがよいでしょう。実施しなかった計画があったとしても、ニーズを過小評価して最後の最後にそのツケを慌てて払うはめになるよりはマシだといえます。 多くの点で、リソース計画は財務計画と考えられます。
- 見積りと予測: リソース管理で完璧を達成することはほとんど不可能ですが、それでもそれを目指す必要があります。 プロジェクトの優先順位が明確になったら、十分な時間を取ってスケジュールと予算を見積りましょう。 完了したプロジェクトを振り返り、何がうまくいかなかったかなども検討して、合理的な見積りと予測に役立てましょう。 また、経営陣の発言には耳を傾ける必要がありますが、見積りと予測は現実に即して実施すべきであり、経営目標や合理的ではないタイムフレームに適合するものでありません。 見積りは定期的に更新して、新しい意思決定やリソースの変化、そうした変化がプロジェクトに与える影響などを反映するようにしましょう。
プロジェクトの流動的な部分にはすべて目を光らせ、時間、タスク、リスク、変化を継続的にコントロールできるようにします。 データを 1 か所で視覚的に確認できるようにすると、透明性もチーム メンバー間のコミュニケーションも向上し、スケジュールや承認された予算を守ることができます。
プロジェクト管理ダッシュボード テンプレートをダウンロードする (Excel)
- リソースの分類と優先順位付け: オリジナルのリソース計画リストを使用して、各項目を評価し、優先順位付けをします。 プロジェクトやビジネスの内容を踏まえて階層を決定していきましょう。 この優先順位付けプロセスでは、相対的な緊急性と重要性を比較して、限りあるプロジェクト リソースに対応できるようにします。 優先順位を慎重に設定して、期間や予算が変更された場合にも、最も重要な要件に即座に対応できるようにしましょう。
- 責任分担マトリクス: 必要なリソースの優先順位が決まったら、責任分担マトリクス (RAM) を使って、タスクやプロジェクト全体の完了に責任を持つ人を決定します。 プロジェクトの全範囲における役割と責任も、このマトリクスを使って明確にします。 多くの場合、RAM はシンプルな RACI チャート (担当者、説明責任者、相談先、報告先) で表現します。 チャートは、個人または役割に名前を付けることで作成します。 詳しくは、「RACI のすべてを網羅したプロジェクト管理ガイド」をご覧ください。
- リソースの過剰な割り当て: 過剰な割り当てとは、割り当てられたタスクを予定された時間内にチーム メンバーが完了できないことを意味します。 これは残業コストにつながるもので、最悪の場合はプロジェクトが失敗してしまう可能性もあります。 リソース バランスは極めて重要であるため、プロジェクトのライフサイクル全体を通じてチームの仕事量をモニタリングし、毎日ではなくとも定期的に仕事量をチェックしましょう。
リソース ヒストグラムは、プロジェクト チームを視覚的に表現したものです。 この形式でステータスを確認すると、過剰な割り当てを防ぎやすくなります。 心配なエリアがみつかれば、仕事量が少なめなチームメンバーにタスクを移しましょう。 このテンプレートは、毎週のチェック シートと、リソース管理と割り当てステータスを視覚的に表現したヒストグラムとの組み合わせになります。 また、このテンプレートは、スタッフやサプライ、設備などリソースが持つニーズに合わせて調整することができます。 データを入力すると、ヒストグラムが自動的に作成され、分析が可能になります。
リソース ヒストグラム テンプレートをダウンロードする (Excel)
- リソース依存とスケジューリング: リソース依存とは、コア ワークの達成が 1 つのチームに過度に依存していることを意味します。その依存先が外部のリソースである場合は、これは特にマイナス要素になります。 リソース依存は、バックアップの不足やリソースの不足につながる可能性があります。 したがって、タスクを複数のリソースに分散させるか、リソースが利用できなくなった場合に備えて代替プランを用意しておくようにしましょう。 チーム メンバーが複数のプロジェクトを抱えているという状況はよくあることです。リソースを効果的に管理するためには、そのすべてのプロジェクトを考慮する必要があります。 チームのキャパシティを可視化するスケジュール テンプレートについては、「Word 用/Excel 用無料業務スケジュール テンプレート」をご覧ください。
- リソースの平準化または平滑化: リソースの平準化はリソース管理における難しい調整の一貫として実施されるもので、リソースの平滑化とも呼ばれます。 これは、1 つまたは複数のプロジェクトを対象に、リソースの可用性を把握し、管理していくことを意味します。 たとえば、特定のタスクに対して計画済みタイムフレームを延長したり、チーム メンバーへの過剰な割り当てや割り当て不足を回避したり、チーム メンバーの燃え尽きを防いだりすることも、ここに含まれます。
- 稼働率: この稼働率を見れば、チーム メンバーに割り当てた時間のうち何パーセントが使用されているかを数字として具体的に把握することができます。 目標は、時間 (またはお金) を無駄にすることなく、キャパシティを最大限に活用することです。 稼働率を計算するには、対象となる人員の実働時間と、その人物の稼働可能時間を用います。 たとえば、あるコンサルタントの稼働可能時間が 100 時間で、そのうち 80 時間働いている場合、稼働率は 80% となります。 つまり、そのコンサルタントは 100% の稼働率に達していないため、時間を調整する必要があるかもしれません。
リソース管理の概念と戦略
リソース管理では考慮すべき要素がたくさんあるため、プロジェクトをさらにコントロールできるテクニックを持っていると便利です。 以下は、プロセスを進めるために役立つツールと戦略です。
フィッシュボーン図: プロジェクトで問題が発生した場合は、その根本的要因を特定する必要があります。そうすることで、そこから学び、解決策に取り組むことができます。 根本的要因を理解するには、日本の品質管理の専門家である石川馨が考案したフィッシュボーン図 (別名「石川ダイアグラム」) を活用するのもよいでしょう。
この図に取り組むことで、目に見えている大きな問題に対処するだけの解決策で終わる事態を避けやすくなります。 これは、試行錯誤に時間がかかりすぎる場合や、問題が非常に複雑な場合、根本的要因を理解したい場合、潜在的な原因が数多く考えられる場合に、便利です。 この図を使用するメリットの1つは、その視覚的なレイアウトにあります。これにより、情報を集積して視覚化し、異なる要素を結ぶ関係性を把握しやすくなります。
フィッシュボーン図テンプレートをダウンロードする (Excel)
複雑性、柔軟性、未知の事態への備え: リソース管理では、未知の事態に対処することが一般的であり、そのためマネージャーには柔軟性と、複雑さに対処する力が必要であると、Remley は述べています。
「たとえば、クライアント サービス チームがどんなに努力をしても、すべての成果物を提供するために 6 か月の契約社員が必要なのか、12 か月の契約社員が必要なのか、明確な見込みが立たないとします。 この問題の一部は人員配置計画ですが、実際に仕事を開始してみないことには、彼らが適切な人材かどうかは判断できません。 この場合、私たちなら、最初の時点では契約社員の役割の 50% に人員を割り当て、仕事の増加に合わせてさらに 25% を追加することにします。 残りの 25% は、不測の事態が発生したときのため、また成果物の期間にのみ契約する特別なスキルを持った人員用に、確保することにします」
リスク管理: 「リソース管理は、毎日直面する問題であるため、リスクの高い側面があります」と、Remley は述べています。 「リソースは、新しいプロジェクトや可視性の高いプロジェクト、新しいビジネスに取り組むために、既存のチームから「借りてくる」存在であり、リソース マネージャーは、チームを『再編成』することを余儀なくされます。 同じ人材をめぐってチーム間で交渉が発生することも多く、その交渉の中心にはリソース マネージャーがいます。 クライアント サービスのリーダーがこの交渉に加わることも少なくありません。人材を特定の取り組みから別の取り組みに移すには、納期の後ろ倒しが必要になることもあるためです。
変更管理: プロジェクトによって職場に変化が生じることもあります。 そのためマイルストーンでは、必ず、プロジェクトだけでなく全体的な職場環境に対しても、プラスとマイナスの両面を評価する必要があります。 影響を測定してモニタリングし、プロジェクトのスポンサーやチーム メンバーに報告しましょう。 一方で、企業は常にプロセスやシステム、スタッフの役割、責任を常に変革し、効率性向上のために新しいテクノロジーを活用しています。したがってリソース マネージャーも組織の変化と無関係ではいられません。
リソース管理の KPI: 「目標をしっかりと理解できたら、その目標を達成するためのプロセスを進めていきます」と、Zuckerは説明します。 「プロセスを形にしていくと、『このステップやプロセスからはどのように価値が生み出されるのだろう?』という問いが生まれてくるはずです。その際は、現在使用している指標から現実的な情報が提供されているかどうかを確認することが重要です。 そして『これらの指標や KPI は、戦略目標に沿った行動の動機付けになっているだろうか?』と問うのです」
Zuckerは、リソース管理組織が間違った行動を動機付けする指標を作成してしまうことも少なくないといいます。 「たとえば、経営陣が、その年のプロジェクトにリソースを完全に割り当てるという目標を立てたとします。 ほとんどのプロジェクトは 3 ~ 4 か月しかかからないため、リソース マネージャーは現在の割り当ても、次に予定されている割り当ても、把握しています。 しかし、8 ~ 9 か月先にメンバーがどのようなプロジェクトに取り組むかはわかりません。 その場合、組織の目標に沿っているように見せるために、存在しないプロジェクトに人を割り当て、彼らが解雇されたり、他に割り当てられたりしないようにする可能性もあります」
Remley が懸念しているのは人員配置です。 「リソース管理の KPI はエンゲージメントの種類によって異なります。 大規模な人員契約の場合、確保したチームの活用状況を監査し、合意されたスコープで成果物が創出されることを確認することが重要です。 その活用状況報告の正確性を示すのが KPI ということになるかもしれません。 逆に、チームが複数のプロジェクトに取り組んでいる場合、KPI は偶発的なスタッフ コストの管理に集中することになるかもしれません。 効果的なリソース管理とは、必要とされるチームのタイプを把握し、それらのチームとスキル セットをマッピングすることです。 臨時スタッフを探す際には、適切な人材を適切な料金で見つけ、それにより約束した成果物の提供と利益の確保を実現することになります。 その臨時スタッフが 1 時間に 150 ドルを請求する人材で、その同額しかクライアントに請求できないのなら、その人材は事実上ゼロ利益の人材となるため、適切ではありません」
ソフト スキルとスタッフのモチベーション: ほとんどの「リソース」は人であり、最終的にプロジェクトの成功を左右するのも人です。 「リソース マネージャーとプロジェクト マネージャーには高度な交渉スキルが必要です。プロジェクト管理チームはそれぞれ、(当然のことながら) 自プロジェクトが最優先されるものと考えており、そうしたチームの間で交渉を行う必要があるからです」と、Remley は述べています。 「マネージャーは、各チームやプロジェクトの (しばしば相反する) ニーズのバランスをとり、進路を決めていく必要があります。 その結果、ときには全員が均等に不満げに見えることもあります。完了すべきすべての事柄を完了するために、各プロジェクトの優先順位を下げることもあるからです」
Hunter もこの意見に同意し、次のように述べています。 「リソース マネージャーは、実際的でありながら、人々への共感の心も持つ必要があります。 リソース マネージャーへのプレッシャーはあらゆる方面から寄せられ、優先事項が競合する場合には、感情的な迷いを捨てて、仕事にとって、クライアントにとって、組織にとって何が最善かに基づいて意思決定を下す必要がある場合もあります」
アジャイルを適用する: アジャイルの支持者である Zucker は、この手法は人を重視するものであるため、技術的なプロジェクトにも、非技術的なプロジェクトにも適した、リソース管理ツールだと考えています。 「アジャイルは、部門を横断した強力なチームを作ることを重視しています。 この場合のチームは常に連携して、高いパフォーマンスを発揮できるようにします。 業務に優先順位を付け、プロダクト バックログに従って、最も価値の高い項目から着手します。 このモデルではチームが設定されます。 毎月のラン レートは共有され、一定です。 そのため、アジャイル型のプロジェクト管理では、リソース計画も見積りも非常に簡単です。 人数と毎月のレートを掛け合わせれば済むからです。 チームは、取り組むべき仕事がある限り、強力なチームであり続けます」
独自のリソース管理計画を策定するには
「私には秘策などありません。ただ何年もの経験と、(レベルとスキルの両方で) 適切な人員配置ができるように現実的な計画を作り、仕事を完成させたいという思いがあるだけです」と、Hunter は述べています。 「リソース管理計画とプロジェクト管理計画は、すべての関係者の拠り所となるものでなければなりません。そのため、その仕事を説明できる人たちと一緒に計画を精査していくことが重要だと思っています」
Hunter は自身の PMO にとって何が機能するかをすでに見つけています。 「私たちには、実証済みのプロセスがあります。そこには、日々の負荷バランスをとるための主要ツールとなる Smartsheet も含まれます。 Smartsheet のおかげで、チームは、使いやすく、誰もが自身の仕事量を常に把握できる Web ベースのソリューションを活用できるようになりました。 私たちは Smartsheet などのツールを使用して、計画した作業量 (割り当て) と予測される工数を比較して、適切な計画を立てられるようにしています」
Remley にとって重要なのは人です。 「リソース、つまり人材計画を策定する際の重要な原則は、そのプログラム計画のすべての要素に目を通し、その計画を遂行できる適切なチームが揃っていることを確認することです。 呼びスタッフは必要か? 主要なスキル セットは社内で調達可能か? プロジェクトの一部をアウトソースする方が賢明かなど、 すべての成果物を把握して、必要なスキルを確保する必要があります。 マーケティング キャンペーン用に一時的な Web サイトを用意するなら、UX は必要か? 看板コンテンツは動画にするのか?コンセプトをクライアントに売り込むために必要な絵コンテを作れるのは誰なのか、なども検討する必要があります。 リソース管理を効果的に実施するには、 すべての要素を考え、それらのすべてを社内のスキルセットと照らして検討する必要があります。 ツールについては、プロジェクト計画には Microsoft Project を、利用登録には 10,000ft Plans を、プロジェクトに対するコストの追跡には Power Bi を使用しています」
効率性と可視性を高めるリソース管理システム
概念から完了まで、さまざまな側面を持つリソース管理。個人においても、チームにおいても、そのリソース管理を支援するツールやシステムはさまざまあります。 Excel を使用して独自のツールを作成することも可能ですし、無料のオンライン ソリューションから複雑なエンタープライズ向け製品まで、数多くのプログラムのなかから、最適なものを選択することも可能です。 こうしたシステムでは、マネージャーに対しても、チーム メンバーに対しても、関連するすべての情報にアクセスできる単一のアクセス ポイントを提供することで、長期プロジェクトの進展を追跡できるように設計されています。
ベストインクラスのソフトウェアには、計画、予算編成、請求書発行、在庫管理、人材の割り当て、タスクの管理 (タスクの割り当てや完了までの追跡を含む)、ファイル共有など、あらゆる要素が含まれています。 その主な目的は、プロジェクトの開始時点から、すべてのチーム メンバーがプロジェクトの状況を視覚的に把握できるようにすることで、組織の効率性を向上させることにあります。
Smartsheet による効果的なリソース管理
10,000ft by Smartsheet は強力なリソース管理ソフトウェアで、プロジェクトに関連する要素である「誰に」「何を」「いつ」を効果的に管理するのに役立ちます。 10,000ft なら、プロジェクトに最適なチームをすばやく編成し、プロジェクトのスケジュールと予算を維持できるだけでなく、自信を持ってビジネス ニーズを予測することも可能です。 やるべきことと担当者を明確にすると、チームの生産性と作業達成能力が向上します。ぜひ 10,000ft の無料デモをご覧ください。