BPM(ビジネスプロセスマネジメント)とは?特徴と機能について分かりやすく解説

業務プロセスを整理・分析し、最適化することで業務の効率化、生産性の向上を果たすとされているBPMについて、基本的な概要、導入することで期待出来る効果、近年改めて注目を集めている理由についてご紹介します。

BPMとは?

BPM(Business Process Management:ビジネス・プロセス・マネジメント)は、組織内に存在する全ての業務プロセスを対象に、業務プロセスごとの作業工程、それを運用するための業務システム等を分析し、今ある問題を洗い出し、原因を究明し、業務プロセスや作業工程を組み替えたり、簡素化したり、無駄を排除することでより効率的な業務プロセスを実現するための取り組みのことです。

BPMの意味

BPMを通じて、プロセスの最適化、モニタリングと継続的改善の基盤の実装が実現します。その結果として、サービス品質の向上、属人化を排除といった効果が得られます。

最終的にはコスト削減、顧客満足度の向上、売上向上という業績への貢献につながります。

BPMとワークフローの違い

ワークフローとBPMの主な違いは、カバーする業務範囲の違いです。ワークフローは、経費申請のような、小規模な業務フローを意味します。一方で、BPMは比較的大きなマネジメント規模の業務フローを意味し、その業務を分析、改善することが目的となります。

ワークフローは、申請・承認の業務を漏れなく、その流れを早くすることで効率化を図ります。一方でBPMは、申請・承認の業務に関わらず、あらゆる業務の無理・無駄を発見し、業務プロセスを組み変えることで効率化を図ります。

BPMの市場規模

下図は現在(2020年)と5年後(2025年)におけるBPMのグローバル市場規模の成長見通しを示しています。参照元はMarketsandMarketsによる調査です。

BPMのグローバル市場規模

現在グローバルで1兆円に満たないBPM市場ですが、今後5年間で64%拡大し2025年には1.5兆円を突破すると予想されています。現時点ではBPMにリソースを投資できる企業が限られていますが、今後は中小企業でもBPMの導入が進み、それによって市場が急拡大していくと考えられます。

海外・日本におけるBPMの動向

次に、BPMに関する興味深いトレンドをご紹介します。

下図はBPMのトレンドを示すグラフをまとめたもので、欧州・北米を中心に世界の企業(日本企業も含む)を対象としたBPTrendsの調査公益社団法人 企業情報化協会の調査を基に作成しました。

BPMにおける国内外のトレンド

認知・関心の高まり

世界全体で見ると、7割以上の企業・組織がBPMに関心を持っていることが分かります。一方、日本ではBPMの認知度が35%に留まっており、米国、欧州、その他の国々と比べてBPMへの関心度が低いのが現状です。

BPMの取組・活用状況

BPMは特にコスト削減・生産性の向上に効果が高く、世界で75%の企業が「BPMは企業の目標達成に繋がった」と感じています。日本では「BPMが業務負荷の改善に貢献した」と感じる企業が多くなっています。

BPMの費用・予算

2020年現在では多くの企業においてBPMに対する予算が50万ドル以下ですが、調査対象の半数以上の企業が業務プロセス改善に対する予算拡大を計画しています。

BPMツール

世界の62%の企業が既に1、2個の業務プロセス管理ツールを導入していますが、半数以上は現在利用しているツールに満足できていません。今後どんどん高まっていくBPMへの需要から、多くの企業が現状のBPMツールの見直しを行うことが予測されます。

BPRとの関係性

BPMは今までは業務の効率化が最大の目的となっていましたが、ビジネスの強みを引き出すことができるシステムとしてより大きな枠で捉えられるようになりました。

この背景には、デバイスやSNSの活用によってビジネス自体が多様化しているという点が挙げられます。環境の変化に対応し新しい仕組みに対して、実行しながらプロセスを改善して行きたいというニーズに対して、BPMがフィットしていることが、BPMが注目を集める理由です。

またビジネスプロセスの管理と改善が1回限りで終わるのではなく、一定のサイクルを回しながら常に最適を追い求めて改善を図り、業務の生産性を向上させていく点がBPMの大きな特徴です。

こうしたBPMの考え方の探ってみると、「BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)」という言葉にたどり着きます。

BPRでは、ビジネスプロセスの現状を分析して、より良い方向に改善していきます。

BPMの目的

BPMは業務改善を繰り返すことにより、効率的な業務プロセスを作り上げることを目的としています。現場のスタッフが自分たちで積極的にPDCAサイクルを回して、業務改善を行い続ける環境を整えることが可能です。

また、全社的な戦略に基づいてビジネスモデルを変化させられる組織を作ることができ、変化するビジネス環境に素早くに対応できるようになります。

BPMのメリット

BPMの活用には、いくつかのメリットがあります。

最初に挙げられるのは、業務プロセスの可視化により、業務プロセスの課題を見つけることができ、改善策を検討することが出来ます。

さらにコストを大幅に抑えられるというメリットもあります。部署・部門が多い企業では、部門ごとに連携プログラムの開発を行うよりも、BPMツールを利用した方が全体として大きなコスト削減に繋がります。

BPMを活用した業務改善

企業の多くの問題は業務プロセスのモデル化ができていないという原因のことが多く、業務の改善がうまく進まないことが多いのはこのためです。業務プロセスにおける課題を発見できたとしても、業務プロセスがモデル化されていなければ問題の解決が難しくなります。

BPMを導入することで業務プロセスのモデル化が可能になります。モデル化が出来ていれば、PDCAサイクルを正常に回すことが可能になり、業務プロセスの継続的な改善が出来るようになります。また、モデル化することで業務プロセスの標準化はもちろん、状況に応じた最適化なども自在に行うことができるようになります。

業務改善について基礎から体系的に理解したい方は、業務改善に関する記事をご覧ください。

業務改善・効率化の手法

BPMに関する調査・研究、研究会の開催、人材育成等を行い、その普及と実践を促進することにより、企業や団体の経営革新を図り、わが国の社会・経済及び産業の健全な発展に寄与することを目的としている一般社団法人の日本BPM協会では、BPMについて「BPMは、業務プロセスのPDCAサイクルを回して業務の成果を上げるための、新しいアプローチです」と説明しています。

引用:日本BPM協会 BPMとは

「PDCAサイクル」はビジネスパーソンなら誰もが知っているフレームワークです。

PDCAサイクルは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価・分析)」「Act(改善)」という4つの工程に当てはめて、業務プロセスを継続的に改善していくためのフレームワークです。

PDCAの概要図

 



実際には業務プロセスの挙げだしと現状の分析・評価から始めるので、PDCAサイクルを使いBPMを実施して行きます。BPMとPDCAは非常に関連性が深く、かつBPM成功に欠かせないフレームワークです。

業務改善手法の詳細については、業務改善手法・フレームワーク・PDCAについての記事をご覧ください。

業務分析

業務フローを見直し、業務の手順や方法を改善するための必要となるのが「業務分析」です。業務分析を行い業務実態を知り、可視化することで、改善するべき課題を発見することができます。

業務分析の具体的な手順やポイントについては、業務分析についての記事をご覧ください。

業務プロセスのモデル化

BPMにおいて重要なことは業務プロセスのモデル化とプロセスの設計です。モデル化によって可視化された業務プロセスに改善し、問題点の解決と業務効率化を実現していきます。

プロセスモデリング表記法のサンプル図

具体的なモデリング手法について学びたい方は、業務フロー図・ビジネスプロセスモデリングの概要をご覧ください。

業務改善レポート書き方

業務改善レポートには適切な書き方があります。業務改善した方がよいと感じることは多々あると思いますが、それを伝えるためには、業務改善報告書等を作成し提出する必要があります。

業務改善レポート(業務改善提案書)は、対象業務に直接関係が無い第三者でも理解できるように具体的かつ客観的な書き方が必要です。どんな業務をどのような方法で改善するのか、改善するとどう良くなるのかを記載します。

また、業務改善報告書は業務改善提案書と呼ばれることもあります。意味は同じですが、報告書はまれにトラブル対応報告として扱われるケースもあります。

BPMツールの活用

BPMにおける業務プロセス設計は簡単には行なえません。業務プロセスをモデル化した後に定量的・定性的分析を行い、問題点の挙げだしを行った上で設計していく必要があります。

初めてBPM導入に取り組む際に、これは大変な作業です。かといって、業務改善を外部のコンサルタントに依頼するとコストがかかります。

そこで注目されているのが、BPMツールを導入することでBPMを支援するというアプローチです。

BPMツールの選定方法

BPMツールを選ぶ際に重要となる3つの選定ポイントをご説明します。

業務プロセスを柔軟に変更できるか

BPMでは既存の業務プロセスを分析し、改善を繰り返します。環境の変化などによる業務プロセスの変更に対して柔軟に対応できることが大切です。既存システムとの連携が出来ていない場合には、業務プロセスの変更に多くのコストや時間がかかり、対応のスピードが遅くなってしまう懸念があります。

操作しやすいか

BPMはあらゆる業務プロセスを対象とするため、システム担当以外が扱うことも考えられます。そのため、なるべく多くの社員が扱えるようなBPMツールを選ぶことが大切です。グラフィカルユーザーインタフェースを採用しているなど、プログラミングなしでも構築できるBPMツールを選べば、簡単に操作することができるでしょう。

価格が予算に適しているか

BPMツールを検討する際には、導入によってどのくらいのコスト削減が見込めるか検証しましょう。

BPMツールは色々な機能を持っていますが、高機能のBPMツールはその分価格も高額になります。導入をする企業にとっては大きな投資となるため、価格と機能のバランスを考え、複数のツールを比較し検討してください、自分たちにとって必要な機能を事前にピックアップし、不必要な機能に投資をしないようにすることが重要です。

BPMによる業務改善の成功事例

企業が抱える問題の多くは「業務プロセスのモデル化」ができていないという根本的な原因によるものです。業務の改善によって業績向上を目論んでもうまくいかないことが多いのはこのためです。業務プロセスにおける何らかの課題を発見したとしても、業務プロセスがモデル化されていなければ問題の解決は困難です。こういった状態ではいくらPDCAサイクルを回しても本質的な改善活動はできません。

BPMを導入すれば業務プロセスのモデル化が可能になります。そのため、PDCAサイクルを正常に回すことが容易になり、結果として業務プロセスの継続的な改善活動が実現するのです。また、モデル化することで業務プロセスの標準化はもちろん、状況に応じた最適化なども自在に行うことができるようになります。

業務プロセスが可視化できれば、進捗状況もリアルタイムで把握することもできます。全社において「誰が」「どこで」「何を」しているかということがわかるため、メンバーの管理もシステムで効率的に行うことができるというメリットも生まれます。

BPMの注意点

BPMでは業務プロセスをフローチャートなどで再定義し、業務量とボトルネックの把握を行います。調査や集計といった作業が多くなるため、調査時の方法・手順、レポートフォーマットの統一化が重要になります。調査基準やレポートの形式が決められていないと、定量的な評価ができず、正しく課題の抽出行えない場合があります。

トップダウンフローチャート、デプロイメントフローチャート、詳細フローチャートの3種類のフローチャートの図

まとめ

このように、BPMは企業の目標を達成するための業務改善活動には不可欠といえる存在です。

BPMの導入により、企業で発生する様々な業務プロセスを可視化することができます。これにより従業員の業務プロセスへの理解度が深まり、効率的な業務プロセスを実現することが出来ます。

BPMツールを利用すれば、業務プロセスのモデル化やシミュレーション、モニタリングなど複雑な作業も、システムの機能で迅速かつ正確に実現することが可能になります。

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