業務分析とは?
業務分析とは、業務を小さなタスクに細分化・可視化し課題を特定するプロセスです。
業務分析を行うことで、業務を効率的に改善することができ、社会や業界のトレンドに適応することも可能となります。
業務分析の目的
社内の生産性を向上させるために業務の手順や方法を改善するための最初のステップが「業務分析」です。業務分析で現在の業務の実態を可視化することで、改善のポイントや課題を発見することが目的です。
業務分析の必要性
業務を続けていく上で業務改善は必須であり、その為には業務分析は非常に重要なステップです。トラブルなどが発生しない状況であっても、業務改善を十分に行っていないと無駄な作業が発生してしまうことがあります。日常的に行っているいる業務を、あえて分析して課題を抽出することで課題を特定し、業務の効率化を図ることが必要です。
分析項目の可視化
分析する項目を明確にするため、対象業務を細分化し、可視化します。その目的は工数や従事者数の把握、役割の認識などであり、可視化することから分析が始められます。
業務分担表
どの業務を誰が担当しているか、人数やその人物の役割まで分かるようにします。第三者が見ても分かるように担当業務を細分化することが必要です。
この作業を進めることで、業務分担表が部署全体の業務を円滑に回すツールになります。
業務フロー図
業務は複数の部署が重層的に関わることが多いため、各部署間の関係や業務の流れが分かるように図式化します。目に見えづらい仕事の流れを見える形にし、仕事の流れを関係者間で把握し共有する必要があります。
業務体系表/業務内容表
業務体系表を使うと簡単に業務の棚卸を行うことができます。色々な業務の棚卸しを行っていくので、すべての業務を整理するにはかなりの時間がかかります。
ポイントは、洗い出した各業務の現状手順をまず明確にすることです。そこから「無駄」を発見して、「最良なやり方」を探索していきます。
各業務の作業手順が整理できたら、特に多くの時間を費やしている上位2割程度の業務を選出して、それらを改善対象とします。
理想は全体業務の改善ではあるものの、すべての業務を対象としてしまっては改善効率が悪くなってしまうため、優先順位を決めて取り組むことが大切です。
業務量調査票
業務量を計測する指標は部署や業務内容により異なります。例えば営業やサービス関係だと、対応顧客数や案件数などが指標となるでしょう。
業務量調査の際は、どんな業務があるかを整理するだけでなく、従業員ごとの業務量を把握して、1日の業務回数や負担を明確にすることも必要です。その上で業務量平均化などの改善を行います。また、トラブルやミスなどの発生件数も必要に応じて調査対象にします。
業務分析の手法
具体的な業務分析の手法をいくつかご紹介します。
社内に蓄積されたデータの分析
データ分析の第一歩は、必要なデータの取得から始まります。BIやデータマイニングといったツールを活用したいと思っても、必要なデータが無ければ分析することができません。まずはデータを収集し、分析できる形に変換して蓄積すること。そこから、BIツールによるデータの可視化や、データマイニングツールによる予測分析を行うことができます。
社内には多くのデータが存在するも、どのデータを分析に使えばいいのか分からない、ということも多いでしょう。「データ」というと販売データや顧客の属性といった項目を連想しがちですが、それだけではありません。社内のあらゆるデータを検討してみましょう。
業務日報の分析
業務改善のために収集した情報に対して、分析を行います。その対象には、社員の業務日報、顧客からのクレーム記録などが含まれます。
日報やクレーム記録には、現場で日々発生するトラブルに関する情報が含まれており、そのトラブルの原因を追究することで業務改善のための課題を特定できます。
アンケート・ヒアリング調査の実施・分析
「アンケート調査」や「ヒアリング調査」では、現場の問題点や課題などの情報や、改善策につながるアイデアの収集が行えます。「業務内容表」や「業務量調査票」からは得られない定性的な情報を収集することがポイントです。
社会・業界の動向の分析
社会や業界の動向を把握する方法としては、既存データや各種メディアの活用が考えられます。新聞や雑誌、業界紙、専門誌など、市場の状況を観察することが必要です。官公庁、金融機関などが公開している統計データやレポートも重要な情報源となります。こうした情報は、最近ではインターネットで比較的容易に入手できるようになっています。
このような社会や業界動向の分析は、新たな市場へ参入する際に特に重要になります。中小企業庁の調査によると、海外進出した企業は「同地域への投資経験のある日本企業」「取引金融機関」「日本の取引先」「現地政府機関」「業界団体」などから、多くの情報を収集しています。そして、こうした情報収集のあり方が、企業の成長にも大きく影響しています。
ツールを活用した業務分析
業務分析から改善に向けたツールには「BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)」があります。BPMは業務の課題を抽出・分析し、解決のための新しい業務プロセスを構築し継続的な業務改善を行います。
この継続的な業務改善を行うためには、ただ分析するだけではなく、確実に次の改善へと繋げていく必要があります。その為にPDCA(計画、実行、確認、課題の改善)サイクルで改善を重ねていくことが重要になります。
業務分析のポイント
大切なの事は業務を分析するだけではなく、業務改善に繋がるような行動に繋げることです。改善に繋がらない分析は時間とコストを浪費するだけなので、行っている業務分析が業務改善に繋がるのか、常に考えながら分析を行っていきましょう。
業務分析の注意点
複雑なデータ分析を行う場合、Excel等の汎用的なツールでは限界があります。それらのツールでデータ分析を行うと、一部の作業の効率化や自動化が必要だと感じることが出てくるでしょう。
特にデータの量があまりに多いと注意が必要です。膨大な量のデータを分析するようになれば、その段階でデータ分析に特化したツールの導入を検討するのもおすすめです。
まとめ
プロセス管理や業務改善は多くの企業に求められます。その為には業務分析が必要であり、分析精度の高さによって成否が大きく変わります。従って、業務分析は戦略的に十分な時間をかけて行い、業務改善につながる問題点の特定を行いましょう。
BPM全体について基礎から体系的に理解したいという方向けに、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の概要をまとめていますので、こちらも是非ご覧ください。
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