業務改善とは?目的、効果やプロセス改善のフローを解説

近年、働き方改革が注目され、労働生産性の向上が以前にも増して重要になってきました。企業運営において必須ともいえる業務改善ですが、そもそも業務改善とは何なのでしょうか?この記事では、業務改善のポイント、そして効果的な施策について解説します。

 

業務改善とは?

改善すべき「業務」とはどのようなことを指すでしょうか。それは、人・物・金・時間といった資源を投入し、それらを価値に変換するための作業のことです。

「業務改善」とは資源活用を効率化することで、顧客により高い価値を提供することです。業務改善を行うことで、自社の業績を改善できるという点も重要です。

業務改善とは経費削減のことだと考えている人が多くいます。業務改善の結果として経費が削減されることはありますが、経費削減だけを追求するのが業務の最適化に繋がるとは限りません。

業務改善の目的

業務改善の目的とは経営の効率化を行うことです。そのためには、業務プロセスの改善が必要です。小さな改善でも最終的に経営効率化に結びつけば、それは業務改善となります。

業務改善に欠かせないQCDとは?

QCDはそれぞれQuality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)を表しています。これら3つの要素を改善の指標にすることで、業務改善の成果を定量的に判断することができます。

これら3つ要素を連動させ向上させることが大切です。もし1つの要素だけ向上できても、他の要素が切り捨てられてしまうと大きな効果は期待できません。

QCDの関係図

業務改善で期待できる効果

業務改善によって得られる効果について具体的に見ていきましょう。

コスト削減

業務改善によってコスト削減の効果を得られることがあります。

非効率な業務を放置しておくと、業務効率が下がり、無駄が生まれがちです。これらの無駄を排除することで、コストの圧縮が見込まれます。無駄な時間を1日に15分でも減らしていけば、従業員1人当たり1年間で60時間分ものコスト削減効果を見込めます。

業務の効率化

業務のシステム化や自動化、「これまで何となくこの方法で行ってきた」といった業務の見直しなどです。

他にも必要な設備の導入などが業務効率化の手段として挙げられます。作業を効率化することによって作り出した時間を他の業務に充てることが可能となります。

生産性向上

1日30分程度の単純作業を新しいシステムの導入により15分短縮できたとすると、1人当たり15分程度の時間削減ができる計算になります。この数字だと少なく感じられるかもしれません。しかし担当者が30名いる業務と仮定すると、450分(7時間半)もの作業時間短縮が実現するのです。

業務改善の基本的なフロー

業務改善を実施するためには、次の5つのポイントを意識することが大切です。

可視化(既存の問題と、ビジネスプロセスを抽出)

ビジネスプロセスとは、複数の業務の積み重なりで成り立っています。図や表などを用いて業務プロセスを可視化することで、どこに問題があるのか、どう解決したら良いのかが明確になります。

定量化(問題を踏まえ業務改善の目的・目標を明確化)

洗い出した全ての問題を一気に解決できることは非常に稀です。そのため、通常は優先度の高い問題から解決していきます。解決する問題によっては、関連する業務プロセスの問題も同時に解決しなければならない場合もあります。

解決すべき問題が決まったら、何のための業務改善なのかを考え、業務改善の目標を決めます。業務改善の目的と目標を明確にします、特に目標は具体的な数値で表します。これにより、業務改善のための方針と行動が明確になります。

課題化(目的・目標達成に必要な施策を選定)

業務改善の目的と目標が定まったら、それを実現するために必要な施策を洗い出します。施策を選定する際は、各施策を評価する方法・指標も定めましょう。そうすることで、業務改善の効果を定量的に測定することができます。

どんな施策を実行するかによって業務改善の結果が異なるので、最も大切な部分です。

実践化(業務改善を推進)

改善するための施策を実施します。ここで重要なのは、各業務プロセスをKPIを用いて評価していくことです。KPIとは「重要業績評価指標」のことであり、最終目標に対する中間ポイントとなります。

様々な施策を実施し、設定したKPIの達成を目指します。そこで、各施策に対して具体的な完了数値・期間を設けることで、各施策を評価していくことができます。

定着化(効果を確認できた改善内容を現場に定着させる)

1つ1つの施策を完了させ、当初の業務改善目標を達成した場合、それに応じてどのような効果が表れたのかを評価します。業務改善の結果をしっかりと評価して、今後定着させていくべきかどうかを判断しなければなりません。

評価の結果効果があれば、現場へと定着させていきます。

 

業務改善の具体的な施策

業務改善を行う際に、何から始めるのかを見極めるのは簡単ではありません。ここでは具体的な改善策を見ていき、実施できる改善方法を確認して下さい。

 

社内リソースの適切な配分

社内にどのような業務があるのか整理するため必要なのが「業務の棚卸」です。小さな作業を含めた全ての業務を一覧表に整理して可視化します。

作業の種類と作業量、その作業内容を分かりやすくまとめることで、改善すべき業務や作業内容を特定することができます。

また、業務量に偏りがないかを確認することも重要です。特定の時期や一部の担当者に業務が集中している場合、適切な配分が行われていない可能性が考えられます。このようなケースでは繁忙期をずらしたり、業務量の多いタスクについては分散して実行するなど、対策を講じていきましょう。

 

業務の外注

外部の専門業者に業務委託する「アウトソーシング」を利用できる業務がないか検討しましょう。

業績に繋がりにくい業務をアウトソーシングすることは、業務改善の対策として有効です。時間のかかるデータ入力や雑用に近いような業務をアウトソーシングすれば、自社のコア事業に集中して取り組めるでしょう。

必要なとき必要なだけ外部に依頼することで、人件費を変動費化し、不要な人材確保や設備投資にかかる無駄になりがちなコストを削減できます。また、自社で行うよりも高いクオリティを得られる場合もあるでしょう。

 

ペーパーレス化・DXの推進

今のまま業務を進めていると、紙の消費量が増大しがちです。「ミーティングの共有資料」「シフト表」「見積書」「請求書」などの書類を印刷して用意すると、それだけ紙のコストがかかります。書類をデータで準備する、ファイルを共有するといった対策を行うことで、紙のコストを抑えられます。また、これまで紙で管理していた書類をデータ化することで、見つけやすくなるというメリットもあります。書類やデータを探す手間を省くことができれば、これも業務改善になります。

 

業務改善ツールの導入

業務改善に役立つさまざまなシステムやツールが販売されているので、それらを導入する方法があります。具体的には、「タスク管理システム」の導入することで、タスクの整理や検索が効率的に行えるようになります。また、「経費精算システム」を導入することで、経費の参照や把握が容易になります。

このようなシステムを導入することで、これまで煩雑だった業務が効率化できるだけでなく、業務改善を行いやすい環境を用意することができます。業務の負担の軽減や効率化に役立つツールを活用してみましょう。

業務改善の注意点

分析を行うと、数多くの施策が候補として考えられることも少なくありません。

効果が期待される施策をたくさん挙げられるのは良いことですが、実行する負担やコストを考えると、導入できる施策数や予算は限られます。また、分析を行う立場では有効だと思った施策も、現場の担当者にとっては見当違いな施策だと見なされる場合もあります。

考えられる施策のうちどれを実行するかは、十分に検討をすべきです。また、施策の効果を評価する際は、必ず現場の担当者の視点を盛り込みましょう。

どうしても「無駄の削除」に思考が傾いてしまうことがあります。無駄を省くという考え方で業務を分析した後は、必ずその業務の価値についても考えましょう。業務改善に最適な施策を検討・導入していくには、ノウハウやフレームワークに偏り過ぎず、ビジネスの本質的な価値を念頭に置くことが大切です。

まとめ

業務改善のための考え方や施策は豊富にありますが、重要なのは「施策を導入すること」ではなく「業務の成果が上がること」です。

そのためには施策を導入して満足するのではなく、本当に求めた成果が出ているのか、というポイントで継続的に評価・改善することが必要です。

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