業務改善におけるフレームワークとは?
フレームワークとは「枠組み」を意味し、業務改善や経営戦略の問題解決に役立つ思考やツールを指します。「業務改善フレームワーク」は、効果的な業務改善を推進するための分析方法のことを意味しています。
業務改善を実施する時には、有効な業務改善手順を知り、推進することが大切です。また、様々なフレームワークを理解しておくと、問題原因の特定・改善計画立案など、業務改善における様々な場面で役立ちます。
尚、IT業界でのフレームワークは、システムソフトウェアを開発する上での「枠組み」だったり、ウェブサイトの「デザインフレーム」を示します、この場合の意味とは異なります。
フレームワークを活用するメリット
業務改善を進める上で、フレームワークを活用するメリットとは何でしょうか。
それは、業務に関する情報を整理し、改善すべき業務を特定しやすくなることです。
業務改善を進める際には、業務に関わる関係者にヒアリングを行い、可視化を行う必要があります。業務プロセスの関係性は業務プロセス図で可視化します。効率的に可視化する方法の1つとしてフレームワークを用います。
代表的な業務改善フレームワークと特徴
ここでは、業務改善に用いられるフレームワークを7つ紹介します。
BPMN
BPMNとは、ビジネスプロセスモデリング表記法(英語: Business Process Model and Notation)のことで、業務プロセス (Business Process) の定義や描画法に関する国際標準です。
ビジネスプロセスモデリングは、手描きのシンプルな図から、充分な実装情報を記載するための拡張可能な要素を含む複雑なものまで多岐に渡ります。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、問題の原因を論理的に分解して真因を特定するフレームワークです。問題や課題をツリー状に書き出して過不足なく分解していきます。
その目的によって「原因究明ツリー(WHYツリー)」「問題解決ツリー(HOWツリー)」「要素分解ツリー(WHATツリー)」に分類することができます。
原因究明ツリーは、このような場合に「なぜそうなっているのか?」という視点で、問題を分解して階層化し、根本原因が何なのかを突き止めることによって解決法を導く手法です。
問題解決ツリーは、特定のケースで「どのようにすべきか?」という視点で、問題を分解して階層化し、実践する具体的な方法や解決策を導く手法です。最初に問題を取り上げるという意味では、原因究明ツリーと似ていますが、こちらはより今後のアクションに直結している活用方法です。
要素分解ツリーは、このように複雑なもの、膨大なものなどの要素を、漏れなくダブりなく挙げていくことにより「何で構成されているのか?」を整理して導き出す手法です。
KPT
KPTとは、Keep(維持すること)、Problem(改善すべき問題)、Try(次に挑戦すること)の頭文字で、アジャイル開発でよく使われる振り返りのフレームワークです。
Keep、Problemを個人またはチームで出し合います。
Tryは次に挑戦することを意味しますが、挑戦という言葉に囚われると、問題点の改善ばかりに目が向いてしまいます。現状うまく行っていることを継続・習慣化していくことも重要です。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、事業を主活動と支援活動に分けて、ビジネスのどの工程でバリュー(付加価値)を創出しているかを分析するためのフレームワークです。バリューチェーン分析を行うメリットは2つあります。1つ目は各活動におけるコストを把握してその削減を行えること。2つ目は自社の強みと弱みを整理し、競合との差別化戦略を導き出せることです。
ECRS
ECRS(イクルス)の原則とは、英語でEliminate(排除)、Combine(統合)、Rearrange(交換)、Simplify(簡素化)の略で、業務改善のフレームワークです。
ECRSは、業務フローを可視化するフレームワークではなく、業務を改善する為のフレームワークです。業務フローを可視化した後、その業務を止める、簡素化するなどの作業を行います。無駄な業務を客観的な判断軸で指摘することで、業務上の無駄な重複や対立を防ぎます。
PDCAサイクル
PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4ステップから成るフレームワークです。このフレームを軸に業務を遂行することで、円を描くように1週4ステップを繰り返しながら継続的に業務改善を行います。
5W2H
5W2Hとは、業務指示や報連相等のコミュニケーションを取る為のフレームワークです。5W2Hを使うことで、伝えたいことがしっかりと伝わるようになります。
5W2Hは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、How(どうやって)、Why(なぜ)、How Much/How Many(いくらで、どれくらい)のことです。
When、Where、Whoの「いつどこで誰が」は、「場面設定」を表しています。
What、Howの「何をどうする」は、「出来事や行動」を表しています。
Whyの「なぜ」、How Much/How Manyは、理由や背景を表しています。
どういう場面でどういう出来事や行動が起こり、それはどのような理由や背景から必要なのか。これらを相手にしっかりと伝えることができればコミュニケーションを円滑に行うことができるのです。
フレームワーク選定のポイント
フレームワーク選定には絶対的な正解がありません。複数のフレームワークでアプローチし、プロジェクトの内容やメンバーの仕事の進め方にあったものを採用するのが良いでしょう。目的は業務の効率化であり、綺麗にフレームワークを描くことではありません。
フレームワークを扱うメンバーの業務や仕事の進め方も考慮して、業務改善の行動につながるフレームワークを選定することが必要です。
目的に合わせたフレームワークの活用
「小さな規模の業務改善でわざわざフレームワークのようなものを使う必要はない」という考え方もあります。しかし、業務改善フレームワークの導入することで得られることは業務の効率化だけではありません。このフレームワークが会社全体の問題解決の共通言語となり、業務改善に対して会社・チームが一丸となって取り組める基盤となります。
まとめ
今回紹介したフレームワークは、必ずしもすべて使用しなければならないというわけではありません。各フレームワークの効果を理解し、業務改善の種類によって使いわけることが大切です。
業務改善フレームワークは単純なものから使い始め、効果を実感することで、導入の促進が行えます。また、日常業務の改善だけではなく、大規模な業務改善への取り組みもシンプルなフレームワーク活用から始められます。
BPM全体について基礎から体系的に理解したいという方向けに、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の概要をまとめていますので、こちらも是非ご覧ください。
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