建設プロジェクト管理 (CPM) とは
建設プロジェクト管理とは、建設プロジェクトを成功裏に完了させるのに必要なプロセスを指します。建設プロジェクト マネージャーの役割は、プロジェクトのライフサイクルを通じて、建設プロジェクトのすべての要素が効率的にサポートおよび実行されるようにすることです。
建設プロジェクトが農業、住宅、商業、公共施設、工業、大規模土木、または環境に関するもののいずれであろうと、最も基本的なレベルでは建設プロジェクト管理によって、そのプロジェクトの調整、実行、および計画が行われます。
通常、建設プロジェクト管理には、手元の作業に応じて大きく変動する可能性がある複雑なタスクが含まれており、優れたコミュニケーション スキル、建築プロセスに関する深い知識、および問題解決の能力が必要になります。建設プロジェクト管理は複雑な分野であり、財務、調停、法律、ビジネスなど、さまざまな分野の知識が求められます。
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建設管理の歴史
複雑な建設プロジェクトの登場以来、建設マネージャーは重要な役割を果たしてきました。初期の建設プロジェクトでは建築家が作業を監督していましたが、時間が経つにつれてマネージャーの役割は徐々に専門化され、複雑さが増してきました。
ルネサンス期には、イギリスのサー・クリストファー・レン (Sir Christopher Wren) をはじめとする個性的な建築家が、その設計で知られるようになりました。レンは 17 世紀後半から 18 世紀初頭にかけて、代表作であるセント・ポール大聖堂など、ロンドンの豊かな表情を形作る建物の設計と建築に携わりました。また、高等数学や物理学、さらに設計の専門知識があり、複雑な建設プロジェクトに必要なスキルの種類を予見させる、幅広い知識を有していました。レンは建設現場に毎日出向き、作業の各フェーズを監督しました。
第 2 次世界大戦の時期、プロジェクト管理のルールが米国企業全体で形成され始め、1950 年代を迎える頃には土木建設プロジェクトの指針となっていました。これは、建設エンジニアリング プロジェクト管理の各フェーズと原則が、さまざまな企業プロジェクトに適用されるようになったことを意味します。
建設プロジェクト管理の詳細な部分は、ますますデジタルで実行できるようになっており (以下の「ソフトウェア」セクションを参照)、その傾向は拡大するものと予想されます。この分野では、モバイルフレンドリーなテクノロジーとソフトウェアが重要な役割を果たすことは間違いありません。若手の作業員はそうしたテクノロジーに慣れており、どこにいても作業の管理と追跡を行うことが可能だからです。
建設マネージャーと請負業者の役割
建設マネージャーと請負業者は、プロジェクトの実行において重要な役割を果たします。建設マネージャーは建築作業を調整および監督するとともに、建設に携わる人たちが予算とスケジュールを確実に遵守するようにします。請負業者は建設マネージャーと緊密に連携し、実際の建設作業を担当します。
この役割の詳細については、商業施設の建設管理の包括的ガイドをお読みください。
建設プロジェクトはいずれも設計フェーズから始まり、それが完了すると、建設プロジェクト マネージャーは関心を持つ請負業者に対する入札プロセスを開始します。請負業者が審査対象となるには、公共の安全、意思決定、エンジニアリング、製図、人材、時間管理、コスト管理、および品質管理に対処できることを証明できなければなりません。これらのガイドラインを満たす請負業者が、最低価格、最高価値、または資格 (いずれも一般的な基準です) に基づく判定を通じて選定されます。
建設プロジェクトの入札選定プロセス
プロジェクトの入札選定プロセスでは、プロジェクト所有者はまず請負業者の大規模なグループに情報を伝え、その後、請負業者から入札を募ります。プロジェクト所有者が入札で業者を選定すると、両当事者は支払いモデルについて合意します。
建設プロジェクトの入札の種類
請負業者は、次の 2 種類の入札を予想できます。
- 一般競争入札: 一般競争入札は公共プロジェクトに適用され、通常は公示が行われます。一般競争入札では、どの請負業者も入札することができます。
- 指名競争入札: 民間プロジェクトのプロセスは指名競争入札から始まります。指名競争入札では限定された請負業者のグループに対して、所有者が入札の募集を行います。
建設プロジェクトの入札選定方法
プロジェクトについて、所有者が一般競争入札プロセスを選択するか、指名競争入札プロセスを選択するかにかかわらず、入札が行われ、多数の基準を基にした請負業者の選定が開始されます。
- 最低価格に基づく選定: 利益、つまり入札価格が、プロジェクト所有者にとって主な焦点となります。プロジェクトに対して最低価格を提示した請負業者が落札者となります。
- 資格に基づく選定: このプロセスでは、プロジェクト所有者が請負業者に対し、入札書類と共に参加資格確認申請書 (RFQ) を提出するよう求めます。参加資格確認申請書は、請負業者の経歴、管理計画、組織フロー、および予算とスケジュールの遵守をまとめたものです。その後、プロジェクト所有者は最も適格な請負業者を選択します。
- 最高価値に基づく選定: このアプローチでは、プロジェクト所有者が入札価格と請負業者の資格の両方を考慮して、コストとスキル セットの最適な組み合わせを見つけます。
建設プロジェクトの支払いモデルの種類
所有者が請負業者を選定した後の最終ステップは、支払い契約の交渉です。通常、両当事者は次の 4 つの支払いモデルから選択します。
- 一括払い: 一括払い契約は最も一般的な選択肢です。プロジェクト所有者と請負業者は作業の総コストについて合意します。プロジェクトが成功したかどうか、最終請求額が当初の見積り価格を超えたかどうかに関係なく、所有者はその金額を支払う必要があります。
- コストプラスフィー: その名前が示すように、コストプラスフィー方式にはプロジェクトの総コストと、請負業者に対する、総コストの一定割合の料金 (フィー) が含まれており、所有者はそのすべてを支払う必要があります。この方式ではすべての追加コストがカバーされるので、請負業者にとって最も有利な取り決めです。
- 最大保証価格: 最大保証価格契約では、所有者と請負業者が、総コストと料金の上限となる一定の価格に合意します。
- ユニット プライス: 両当事者がコストについて事前に合意できない場合は、ユニットプライス モデルが選択されます。このモデルでは、所有者がプロジェクトの各フェーズを通じて特定のユニット価格を支払います。
建設管理におけるアットリスク デリバリー方式
CM アットリスク方式 (CMAR) は、建設マネージャーが最大保証金額 (GMP) でプロジェクトを完了させるデリバリー方法です。マネージャーは開発および設計中に GMP の設定を支援し、その後は追加コストの責任を負います。
建設マネージャーは、所有者の利益のために行動するだけでなく、GMP の枠内に収まるように建設コストを管理する必要があります。この取り決めでは最大支払い額が保証されるため、最低価格は通常考慮されません。代わりに、建設マネージャーは他の手段を通じて財務目標を達成するよう取り組みます。
CMAR 契約の利点は予算管理です。プロジェクトの設計が完成するのに先立ち (設計者と所有者の提携期間は 6 ~ 18 か月)、建設マネージャーは設計者と所有者の目標 (設計コンセプト)、およびプロジェクトのスコープを基にした、プロジェクトの建設コストの見積もりに携わりつつ、最適な品質を実現します。建設マネージャーは財務目標を達成しながら、プロジェクトのコスト、スケジュール、品質、スコープのバランスをとるために、潜在的な変更に備える必要があります。
たとえば、再設計の代わりに修正を提案する場合があります。また、所有者がプロジェクトの拡大を決定した場合、チームは価格決定の前に調整を行う必要があります。設計が完成して建設作業員が召集されるのに先立ち、建設マネージャーは予算を管理するために現場を訪問したり、需要を見越して主要な品目を購入したりします。
利点: この取り決めでは、建設マネージャーがリスクを引き受けます。そのため、GMP の超過が自社の責任となることを考慮して、所有者の利益のために行動し、効率的なコスト管理を行うインセンティブがあります。
欠点: コストの超過により、建設マネージャーに多額の費用負担が発生する可能性があります。ミスによる不測の事態がある程度許容されるため、建設マネージャーは GMP に適合するよう作業範囲を縮小し、それによって補償する可能性があります。また、GMP は設計開始前に決定されるため、最良の入札結果だったかどうかを所有者が知ることは困難です。
結論: アットリスク デリバリー方式は、定義するのが困難、スコープが変更される可能性がある、あるいはスケジュールの期限を厳格に満たす必要がある新築と改修両方の大規模プロジェクトに最適です。また、技術的な複雑さ、複数の取引の調整、もしくは複数のフェーズを伴うプロジェクトでも効率的な方法となります。
高速施工技法: マサチューセッツ州運輸局は 2000 年代後半の高速橋梁プログラムを手始めに、高速施工技法の採用を開始しました。この技法では、早期の完成に対するインセンティブと、完成の遅延に対するペナルティを定めた契約を締結するとともに、工事現場の閉鎖期間を長く取り、その間に集中的な建設作業を行うことで、プロジェクトの全体的な期間を短縮し、コストを削減しています。連邦政府とカリフォルニア州運輸局も 1994 年のノースリッジ地震後にこの技法を採用し、ロサンゼルス地域の高速道路を迅速に修復しました。
建設プロジェクトの契約および設計モデル
通常、入札プロセスは建設プロジェクトの種類に関係なく一貫していますが、建設業界では次の 2 つのビジネス モデルが想定されます。
- Design-Bid-Build (DBB) 方式: DBB 方式は人気が高く、広く普及しています。このモデルでは、建築家またはエンジニアが設計フェーズを完了させた後、所有者が請負業者を選択できるようになっています。
- デザインビルド (DB) 方式: DB 方式では、DBB 方式とは逆に、設計フェーズと建設フェーズが同じ当事者 (設計施工業者または設計施工請負業者と呼ばれます) によって処理されます。このアプローチでは、設計フェーズと建設フェーズを同時に実行できるため、プロジェクトの完了が早くなります。
上記の 2 つのモデルで述べたように、入札プロセスは設計フェーズから始まります。設計フェーズ自体は、さまざまなアプローチに分けることができます。
- 概念/プログラミングおよび実現可能性: このモデルでは、建物の最終的なビジョンを出発点として用い、ニーズ、目標、目的を決定します。考慮すべき事項として、建物の規模、部屋数、空間の活用方法、さらにはその空間の使用者が挙げられます。通常、この情報はそれぞれの部屋、それらの空間に関する重要情報、および各エリアのおおよその面積を列挙したスプレッドシートに記録されます。
- 概略設計: 概略設計は、空間、形状、パターンを特定するために使用される図面またはスケッチです。当然ながら、建設プロジェクトのすべての部分をスケッチできるわけではなく、この種類の設計に含まれるもののみが対象となります。図面には、材質、色、質感が記されています。またそうしたスケッチにより、平面図や、エレベーターといった構造物の配置場所なども把握できます。
建設プロジェクト管理の 5 つのフェーズ
建設管理プロセスの 5 つのフェーズでは、従来の PM の各フェーズが反映されています。つまり、プロジェクトの立ち上げ、計画、実行、監視、そしてチームが完了目標をすべて達成した後の、プロジェクトの終結です。
1. 立ち上げ
プロジェクトを開始する前に、プロジェクト マネージャーはビジネス ケースを作成および評価して、プロジェクトが実行可能であること、および実施する価値があるかどうかを判断する必要があります。必要に応じて関係者に対し、デュー デリジェンスと実現可能性テストの実施が求められる場合があります。すべての当事者がプロジェクトを進めることに同意すると、プロジェクト マネージャーはプロジェクト憲章またはプロジェクト立ち上げ文書 (PID) を作成します。これにはビジネス ニーズとビジネス ケースの両方が記載されます。
2. 計画
次に、プロジェクト チームが関係者全員向けのロード マップを作成します。これにはプロジェクト管理計画 (PMP) が含まれます。PMP は実行と制御をガイドし、スコープ、コスト、スケジュールのベースラインを設定する目的でプロジェクト マネージャーが作成する、正式な承認済みドキュメントです。計画フェーズでは、次のドキュメントも想定されます。
- スコープ記述書とスコープ ドキュメント: これによってプロジェクトのビジネス ニーズ、利点、目標、成果物、主要なマイルストーンを定義します。
作業分解構成図: 作業分解構成図はプロジェクトのスコープを、視覚的で管理しやすい各部分に分解したものです。
コミュニケーション計画: 目標と目的から、役割、ツール、方法に至るまで、コミュニケーションのあらゆる側面を概説したものです。コミュニケーション計画によって、誤解や衝突を避けるために全員が活用できる共通のフレームワークが生まれます。
リスク管理計画: プロジェクト マネージャーはこれを使用することで、達成できない可能性のある時間やコストの見積もり、潜在的な予算削減、要件の変更、確約されたリソースの不足といったリスクを事前に特定できます。
3. 実行
ここで作業が始まります。通常はすべての当事者がキックオフ ミーティングに参加し、その後はプロジェクト チームがリソースの割り当て、プロジェクト管理計画の実施、追跡システムの設定、タスクの完了、プロジェクト スケジュールの更新、および必要に応じてプロジェクト計画の変更という重要な作業を開始します。
4. パフォーマンスと監視
監視フェーズは、多くの場合実行フェーズと並行して行われます。進捗状況とパフォーマンスを測定し、各項目が全体的なプロジェクト管理計画に沿っていることを確認するために、このフェーズが必要になります。
5. 終了
この最終フェーズでプロジェクトは完了となります。結論として、プロジェクト マネージャーはポストモーテム会議を実施して、プロジェクトのうち目標を達成できた部分とできなかった部分について議論します。その後、プロジェクト チームが残存タスクのパンチ リストを作成し、最終予算を実行するとともに、プロジェクト レポートを発行します。
専門家による新任の建設プロジェクト マネージャー向けのヒント
建設プロジェクトの管理は、新任のマネージャーにとって困難に感じられることがあります。実践的な経験の獲得やコミュニケーションの促進から、継続的な教育への取り組みに至るまで、この分野の専門家による最高のアドバイスを集めました。
ここでは、建設管理の専門家 6 人による重要なヒントを紹介します。
「私の 1 番のアドバイスは、学習を決してやめないことです。私たちが Construction Junkie を作ったのも、それが大きな理由です。建設業界では何十年も前から同じことが続いていますが、改善の余地は常に存在しており、絶えず改善が行われるべきです。現在コンクリートで見られる進歩を見てください。コンクリートは何世紀にもわたって使用されてきましたが、コンクリートが自ら亀裂を修復する方法が科学者によって解明されつつあります。また、重量コンクリートとして使用できるほどの強度がある、透水性コンクリートの製造方法を研究している科学者もいます。学習をやめれば、進歩も止まります」。
— シェーン・ハドモンド (Shane Hedmond) 氏、ConstructionJunkie.com 編集長
建設プロジェクト管理の各段階
建設管理は設計段階から始まり、その後は建設前段階と調達段階へと続きます。そこから、チームは建設と試験運用を完了させます。所有者が入居し、建物が仕様を満たしていることが確認されると、プロジェクトは完了します。
建設プロジェクトの各段階を以下に挙げます。
1. 設計
これは建設プロジェクトの第 1 段階であり、完了すると入札プロセスが始まります。Design-Bid-Build (DBB) 方式では、所有者は完成した設計に基づいて請負業者を選定します。
この段階ではまず、建物に関する規制や規則、部屋の数、建物の規模、および空間の広さに基づいて、建築家かエンジニアが設計の実現可能性を評価します。次に、必要な機器と資材の種類、およびそのコストを調査しつつ、概略設計やスケッチを作成します。
2. 建設前
この時点で入札プロセスは終了し、所有者はすでに請負業者を選定していることになります。次に請負業者は、契約管理者、プロジェクト マネージャー、フィールド エンジニア、および監督者から成るプロジェクト チームとペアを組みます。その後はチームが建設現場の準備を整えます。このチームは現場調査を実施して土壌を検査するとともに、環境面の問題など、発生し得る予期しない状況を特定します。
3. 調達
ここではプロジェクト チームが、必要な機器、資材、労働力を調達します。言い換えれば、プロジェクトを完了させる上で必要となるすべてのものを購入するのが調達段階です。この段階の複雑さは、プロジェクトと会社の規模によって異なります。通常、全国規模の大手建設会社には調達部門があり、数百件のプロジェクトを対象とした労働者の雇用と資材の購入を一度に行っています。一方、小規模なプロジェクトの場合、監督者が地元の建築資材会社から限られた数量の資材を購入したり、現地の労働者を雇ったりすることがあります。
4. 建設
建設段階を開始するにあたり、監督者は下請業者や資材ベンダーとの会議を手配し、協力して作業するための基本ルールを定めます。次に、チームは建設開始に向けて準備を整えるとともに、一時的な保管施設の設置、現場の安全確保、資材および取り扱い計画の作成、安全プログラムの確立といった活動を完了する必要があります。その後、チームは建設を開始します。
5. 試験運用
建設が完了すると、試験運用段階が始まります。試験運用プロセスは 2 つの部分で構成されています。まず、建物を所有者に引き渡す前に、プロジェクト チームがシステムと機器をテストして、すべて正しく動作していることを確認する必要があります。次に、新しい建物内のシステムの操作と保守について、チームが所有者側の担当者に研修を行う必要があります。
6. 所有者の入居
所有者が新しい建物に移ると、保証期間が始まります。これはすべての資材、機器、および建物の品質が、契約書に記載されている期待事項を満たしていることを保証するものです。保証には明示の保証 (契約書に明記され、含まれている内容) と黙示の保証 (法律で定められている、または義務付けられている内容) の 2 種類があります。
7. プロジェクトの終了
この最終段階では、未解決の問題を解決します。チームは残存している契約上の義務を正式に完了し、プロジェクトを終わらせます。また、未完了タスクを列挙したプロジェクトのパンチ リストを作成したり、プロジェクト後のレビューを実施したり、教訓を文書化したり、プロジェクト ドキュメントをアーカイブしたり、プロジェクト完了レポートを作成したりする場合があります。
建設プロジェクト管理における予算の設定方法
プロジェクト マネージャーは常に金銭について考えなければなりません。プロジェクト開始前の予算見積もりから、請負業者の雇用と支払いに至るまで、財務管理はプロジェクトを成功に導く最も重要な要素の 1 つです。
建設における金銭の問題について知っておくべきことを以下に挙げます。
1. 建設費の決定と契約
請負業者への支払いや、契約書への価格の記載については、さまざまなオプションがあります。競争入札プロセスでは、請負業者が入札を提出して、プロジェクトに取り組むことになります。これらの入札は、所有者が指定した一括払いまたはユニットプライス方式で提出されます。一括払い入札とは、請負業者による作業の合計金額を指します。ユニットプライス入札は、労働量や資材の量が不確実なプロジェクトで使用されます。
民間企業の所有者の中には、競争入札を募る代わりに交渉による契約を行い、単一または複数の請負業者を選抜して契約を締結する場合があります。これにより、価格設定の柔軟性が高まります。交渉による契約では通常、プロジェクトの直接費に加えて、コスト プラス固定割合、コスト プラス固定価格、コスト プラス変動価格、目標見積もり、または最大保証金額ないしコストのいずれかの方法で決定された料金を、請負業者に払い戻す必要があります。
2. コスト見積もりと予算設定
コストの見積もりは、建設プロジェクトへの入札を提出するために作成され、受注後にプロジェクトの予算を確立するために使用されます。このプロセスでは、建物のコストの見積もり、ユニット プライスと一括払いの見積もり、現場関連の経費と一般的な諸経費、入札手続き、および人件費が決定されます。コストの見積もりは、建築見積もり担当者や見積もり担当主任といった専門家によって作成されることもあります。プロジェクト マネージャーがコスト見積もりの唯一の責任者ではない場合でも、プロジェクトのスコープを理解できるよう、そのプロセスに精通している必要があります。
3. コスト管理の監視
プロジェクトが始まると、プロジェクト マネージャーはプロジェクトのコストを監視するプロセスを迅速に作成する必要があります。コスト管理の監視フェーズを早期に開始すればするほど、プロジェクト マネージャーは問題箇所をより早く特定できます。たとえば、ある項目が見積もりよりも大幅に高額な場合、プロジェクト マネージャーはその差異の理由を特定し、そのコスト増加が予算の他の部分に影響を与えるかどうかを確認する必要があります。
4. 資本改善計画 (CIP)
資本改善計画 (またはプログラム) は、資本プロジェクトと機器購入の特定、スケジュールの提供、および計画における資金調達オプションの識別を目的とする、4 ~ 10 年間の計画です。この計画によって、政府機関、戦略計画、および当該機関の年間予算が結び付きます。CIP には、すべてのプロジェクトまたは購入予定機器のリスト、優先順位の高いプロジェクト、プロジェクトの資金調達計画、プロジェクトの建設フェーズのスケジュール、プロジェクトの正当性、および経費の説明が含まれます。
5. プロジェクトの会計
プロジェクト マネージャーおよび/または当該機関の会計部門は、当該年度のプロジェクト予算を作成し、支出を記録および報告し、請負業者の請求書を確認して支払うとともに、キャッシュ フローを管理する必要があります。資材から労働力に至るまで、建設プロジェクトではさまざまなコストが発生します。コストは直接コスト (労働力、資材、下請業者、土地) と間接コスト (間接的な労働力、監督、ツール、機器、消耗品、保険、サポート費用) に分かれます。
請負業者の請求書を管理するには、プロジェクト チームと会計部門が緊密に連携する必要があります。プロジェクト チームは請求書を確認して、作業が適切に完了したことを確かめます。その後、会計部門が、請求書が契約上適格かつ金額が契約と一致していることを確認します。
建設プロジェクトの整理とスケジュール設定
提案依頼書 (RFP)、契約書、請求書、設計図など、建設プロジェクトで必要となるドキュメントを追跡することは困難な場合もあります。建設プロジェクトは非常に大規模かつ複雑であるため、効率的な組織とスケジュールが不可欠です。
建設プロジェクト管理における組織戦略
記録や契約管理から、契約上の調達計画や日常的な組織化に至るまで、あらゆる建設プロジェクトには、整理と管理を必要とする情報の流れがいくつかあります。
以下に、一般的な組織戦略を概説します。
記録管理: 記録管理では、プロジェクトの記録 (紙のコピーと電子コピーの両方) の配布、保管、および検索を安全かつ確実な方法で制御します。プロジェクト マネージャーは、送受信したすべてのドキュメントが記録管理のスペシャリストによって、当該記録を追跡するソフトウェアを使って転送されていることを確認する必要があります (この方法では、プロジェクトに関するすべてのドキュメントと情報の中央ライブラリも作成されます)。
契約管理: プロジェクトを管理するプロジェクト チーム メンバーの役割と責任、および契約書とドキュメントの管理を担当するプロジェクト スタッフの役割と責任を明確に定義することが重要です。契約管理計画の目的は、請負業者の作業を指示および承認する権限の保持者、請負業者による作業の監視および報告方法、請負業者への支払いおよび承認方法、契約の変更方法、ならびに必要となる財務監査などを記載することで、契約管理に関する期待事項と手順を定めることです。
契約上の調達計画: プロジェクト マネージャーには、建設計画に沿った調達活動を実施する責任もあります。管理しなければならないタスクとして以下のものが挙げられます。
- 予想契約金額の設定
- 各契約の作業範囲 (SOW) の作成
- 調達ドキュメントやその他の必要なドキュメントの標準化
- プロジェクトのスケジュールに合わせた、契約への完了日の追加
試験運用の計画とリスト: 試験運用の計画とリストは、設計段階の早い段階で作成を開始し、プロジェクトの進行に合わせて継続的に更新する必要があります。試験運用計画は、建設中における試験運用プロセスの方向性を示し、スケジュール、役割、責任に関連する問題を解決するとともに、報告、承認、調整を支援するのが目的です。これは、建物が設計通りに、また所有者の運用要件通りに機能することを確認する体系的なプロセスです。
プロジェクト管理プロセス: プロジェクト管理プロセスは、建設プロジェクトのスコープ、コスト、スケジュールを追跡および管理するものです。このプロセスの目標は、ベースラインを確立すること、ベースラインに照らしてパフォーマンスを追跡すること、完成時のパフォーマンスを予測してベースラインと比較すること、および変更を特定してベースラインへの影響を監視することです。
プロジェクト要件定義文書: 作業明細書とも呼ばれるこのドキュメントには、プロジェクトの成果物の詳細が記載されています。プロジェクト要件定義文書 (PRD) では、プロジェクト マネージャーが作業範囲とプロジェクトで達成する内容を説明します。これは、関係者、チーム メンバー、および外部の関係者の全員がプロジェクトの目標を理解するのに役立ち、初期の期待事項の記録として機能します。
竣工図: これは記録図とも呼ばれ、プロジェクトの終了時に請負業者が提出する編集済みの図面です。この図面には、建設プロセスの途中で作業図面に加えられたすべての変更が反映されており、契約に含まれるすべての要素の寸法、形状、および位置を示します。竣工図によって、既存の設計を一目で確認したり、元のドキュメントからの逸脱を捉えたりすることができます。
日常文書: プロジェクトの諸活動の日誌、ログ、および日報を作成することで、作業完了後の参照資料として活用したり、損害を軽減したりすることができます。この種のドキュメントによって、疑問にどのように回答したか、問題がどのように解決されたかを示したり、特定の日に異常な状況があったかどうかを追跡したりすることが可能になります。日々のログを作成することで、後日問題が発生した場合に備えて、プロジェクト全体の記録を紙で残すことになります。
そして最後に、施工図が作成されます。施工図はプロジェクトの最終的な仕様と図解であり、建築業者が建設のために使用したり、請負業者が入札に追加したりします。
建設プロジェクト管理におけるスケジュール戦略
ドキュメントを整理して、プロジェクトのスケジュール作成に必要な情報の優先順位付けを行います。明確に定義されたスケジュールは、計画立案、潜在的なリスクの特定、キャッシュ フローの予測、およびリソース要件の評価に役立ちます。
以下に、スケジュール設定の基本的および高度な手法を概説します。
- ガント チャート: ガント チャートは建設スケジュールを作成する最も簡単な方法です。タスク名、日付、期間、終了日を、階層化された横棒グラフに変換することで、プロジェクトのタイムラインを視覚化できます。Smartsheet におけるガント チャートの作成と使用についてご確認ください。
- クリティカル パス スケジューリング: スケジューリングの手法として、クリティカル パス法が最も広く使われています。この手法ではプロジェクトの最短完了時間と、プロジェクトの全タスクの開始日と終了日を計算します。これにより、遅延した場合にプロジェクト全体を遅れさせる重要タスクが特定されます。クリティカル パス法はタイムラインの短縮、リソースの管理、計画と実績の比較に役立ちます。詳細については、「クリティカル パス法への究極のガイド」をお読みください。
- ライン バランス: このスケジューリング手法は反復的な作業に最適であり、道路建設で頻繁に採用されています。これは、特定の計画に照らして測定された、時間に関連する事実の収集、計測、提示を目的とする管理制御プロセスです。ライン バランス スケジュールでは、次のステップに遅延が発生しないように、各ステップにリソースを割り当てる必要があります。
- Q スケジュール: この形式の建設スケジュールでは、アクティビティの順序、タスク間の関係、およびプロジェクト完了までの総コストを考慮します。このスケジュールには建設現場全体が含まれ、2 つの競合するアクティビティが同じ場所で同時に発生することを防ぎます。この手法は現実に最も近いものですが、特別なソフトウェアが必要です。またプロジェクト マネージャーにとっては、生成されたさまざまな代替スケジュールのコスト分析を評価しなければならないため、負担が増える可能性があります。
建設プロジェクトに伴うリスク
建設プロジェクトは常に発展しており、不確実性によってプロジェクト チームに対立が生じる可能性があります。建設プロジェクト マネージャーは、紛争を解決し、リスクを特定して軽減するとともに、法的影響を把握する責任を負います。
建設プロジェクト マネージャーが知っておくべきことを以下に挙げます。
紛争の解決方法
どのようなプロジェクトでも、必ず対立が生じます。チームの生産性を維持し、連携して作業できるよう、紛争を解決するのがプロジェクト マネージャーの仕事です。プロジェクトで発生する可能性がある対立として、コミュニケーション不足、明確性の欠如、利害の対立、リソースの制限、権力闘争などが挙げられます。対立はそれぞれ異なりますが、解決のために採用できる戦略がいくつかあります。
- 調停: 両当事者間の紛争を解決するために、第三者の調停人が雇われる場合があります。この戦略は最も安価で、かかる時間も最短です。
- ミニトライアル (ミニ裁判): ミニトライアルは、有償のアドバイザーや弁護士を伴って、非公式な場で行われます。合意には拘束力がなく、破棄される可能性もあります。ミニトライアルは調停よりも多くの時間と費用がかかります。
- 仲裁: 仲裁は費用と時間が最もかかる対立の解決方法です。証人と証拠が提示される間、弁護士が各当事者の代理となります。その後、仲裁人が裁定を下し、その最終決定は拘束力のある合意となります。
リスク管理計画の策定方法
プロジェクト マネージャーは予防に重点を置くことで、突発的な問題への対処に費やす時間を減らし、その影響を軽減することに多くの時間を費やせます。リスク管理計画は、プロジェクトのあらゆるリスクを管理するために使用され、リスク管理におけるプロジェクト スタッフの役割を定義し、潜在的なリスクを特定して、確率と影響度に基づいて分類します。
法的原則を理解する
契約に関する交渉、管轄地域の免許に関する要件への対処、保険の加入、作業現場の安全管理を行う必要がある場合、プロジェクト マネージャーは法的原則を理解することで時間とコストを節約できます。建設管理には法的責任の領域がいくつか存在します。入札額が見積もりを上回ったり、諸経費が膨らんだり、プロジェクトが遅れたりした場合、瑕疵ある作業を検知できなかったとして損害賠償を求められる可能性があります。大半の専門業務賠償責任保険では、施行の欠陥 (製作や設置など) や経済的リスクは一切対象とならないため、プロジェクト マネージャーは適切な補償を受けられるようにするとともに、法的責任や損害賠償を回避するためにできる限りのことを行わなければなりません。
品質管理計画の作成方法
品質管理計画は、建物が特定の基準を確実に満たすようにすることが目的です。品質管理は、プロジェクトが所有者に引き渡される前に行われる最終ステップであり、最高水準を満たしていることを確認するための一連のシステムと手順で構成されています。プロジェクト マネージャーは、プロジェクトの品質の計測方法を評価し、プロジェクトの段階的な監査プロセスを作成するとともに、計画の修正とレビューを通じて新たな問題領域を見つける必要があります。また、安全管理とその規則、建築基準、コンプライアンス規則に関する知識も必要であり、これらの側面を計画に含めなければなりません。
建設工事による環境や近隣への影響を予測し、対処する方法
建設プロジェクト マネージャーは、免許、許可、および現地の規制について計画を立てることができますが、予期しない障害は避けられません。過剰な泥、植生、絶滅危惧種、および文化財といった問題に対処する方法について以下に概説します。
粉塵と泥: 過度に粉塵の多い状態では、土をある場所から別の場所に移す際はもちろんのこと、建設車両が現場を走行するだけでも発生する場合があります。粒子状物質 (粉塵) が増加すると、近隣の企業や住宅に被害が及ぶ可能性があるため、建設プロジェクトの所有者は粉塵の量を制御する必要があります。簡単な対策として、敷地内に散水車を走らせ、そのエリアに水を散布することが挙げられます。しかし、これによって泥ができ、建設車両を介して周辺地域に散らばる可能性があります。この状況に対抗するために、プロジェクト所有者は道路清掃車を導入して道路を清潔に保つ必要があります。
雨水汚染: 建設プロジェクトにより、その土地に異物が混入することがあります。嵐が発生した場合、流出した雨水によって、そうした潜在的な汚染物質が近くの河川、湖、帯水層、湿地、または沿岸水域に運ばれる可能性があります。
絶滅危惧種: 建設現場で絶滅危惧種が発見された場合、当局が状況評価を終えるまで、現場での作業を中止しなければなりません。決定が下されると、請負業者はその絶滅危惧種に害を及ぼさないように適切な行動方針を実施します。
植生: 保護される生物は動物だけではありません。建設現場の樹木や植物も環境保護対策の対象となる可能性があります。建設プロジェクト マネージャーはフェンスやセキュリティ テープなどを使用して、そうした植物が成長できる安全地帯を指定しなければならない場合があります。
湿地: 湿地は米国で最も厳重に保護されているエリアの 1 つです。請負業者や建設業者は、汚染物質や規制対象外の物質がこれらの制限区域に混入しないよう、特に注意する必要があります。
歴史的遺物または文化財: これには矢じり、陶器の破片、原始時代の道具、骨などが含まれます。建設現場で遺物が発見された場合、それらを調査して除去するまで、すべての作業を中止しなければなりません。
持続可能な建築プロジェクトの管理方法
持続可能な建築プロジェクトを監督するプロジェクト マネージャーは、そのプロジェクトが環境にどのような影響を与えるかを理解し、廃棄物が適切に処分されるようにするとともに、持続可能な資材と効率的な建築方法を使用する必要があります。また、地域特有の環境問題やコンプライアンス基準についての理解も求められます。
グリーン コンストラクションは、構造物のエネルギー効率と環境への配慮を高めることに重点を置いており、建設業界で大きな成長を遂げつつあります。グリーン ビルディングという用語は、実際の構造物と建築プロセスの両方を環境に配慮したものにする取り組みを指します。多くのグリーン プロジェクト マネージャーは、建造物環境性能認証システムである LEED (Leadership in Energy and Environmental Design) の文書化要件に関する実用的な知識を有することが求められます。
Smartsheet で建設プロジェクト管理を改善
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