ワーク パッケージとは？
ワーク パッケージは、作業分解構成図 (WBS) における最小のコンポーネントであり、WBS のターミナル要素と呼ばれることもあります。ワーク パッケージは、作業分解構成図の作成中に成果物をコンポーネントに分解する際に作成します。成果物をさらなるサブの成果物や具体的なプロジェクト成果に分解できない場合、ワーク パッケージがあることがわかります。ワーク パッケージは、コストと作業期間の両方を把握し、それらを簡単に管理する方法です。
「ワーク パッケージは、ある意味でミニプロジェクトなんです。」と Value Generation Partners (バリュー ジェネレーション パートナーズ) の共同創設者であり、『Project Management for Success Handbook』の著者であるロッド・バクスター (Rod Baxter) 氏は述べています。プロジェクトと同様に、ワーク パッケージには、予算、材料、人的リソース、スケジュールとマイルストーンなどのすべての要素が含まれています。
レポーティング目的の場合、ワーク パッケージは通常 1 人のユーザーが所有し、レポーティング期間内に完了できる作業が含まれますが、その作業が組織に対して定義されている場合があります。ワーク パッケージをさらに分解していくと、ミニプロジェクトを作るアクティビティとなります。
ワーク パッケージを構成するタスクまたはアクティビティは、プロジェクトまたは成果物を分解した結果として組織的に流れる必要がありますが、アクティビティは通常、エンジニアリング分野、地理的な場所、または構造部門を中心にグループ化されます。ワーク パッケージは WBS に固有である必要があります。ワーク パッケージの完了は、他のワーク パッケージに依存する場合があります。
目標や作業分解構成図といったプロジェクト管理の他の概念と同様に、ワーク パッケージでは、ワーク パッケージを作成するアクティビティではなく、結果、製品、または成果物に焦点を当てる必要があります。
タスク、アクティビティ、ワーク パッケージなどの用語は日常的にも使われているため、ワーク パッケージについて理解するのは少しややこしいかもしれません。ただし、Program Management Institute (プログラム マネジメント協会、PMI) のプログラム マネジメント プロフェッショナル (PMP) 試験の勉強をしている場合は、ワーク パッケージとアクティビティの違いを理解することは必須となります。
Project Management Guide
Your one-stop shop for everything project management
Ready to get more out of your project management efforts? Visit our comprehensive project management guide for tips, best practices, and free resources to manage your work more effectively.
作業分解構成図におけるワーク パッケージの役割
PMI の『Project Management Body of Knowledge (邦題: プロジェクトマネジメント知識体系ガイド ) (PMBOK)』によると、作業分解構成図は「プロジェクト目標を達成し、必要な成果物を作成するためにプロジェクト チームが実行する全作業範囲の階層的分解」です。したがって WBS は、プロジェクトに必要なすべての成果物とタスクを決定するための成果物重視のツールです。WBS は、プロジェクトを完了するために必要なすべての作業を分解または分離します。WBS は作業を視覚的かつ階層的に表現するので、ユーザーとそのチームは、プロジェクトを構成するすべてのものを一目で確認できます。
分解は少なくとも 3 つのレベルで行われます。最下位レベルにあるものが、ワーク パッケージです。WBS の各レベルと要素には番号が付けられているため、プロジェクト全体にわたって使用されるさまざまな視覚的表現を通して、WBS が表す作業を簡単に識別し把握できます。
WBS の重要なパートは WBS ディクショナリです。WBS 自体はプロジェクトの概要をすばやく参照できるように視覚化したものですが、WBS ディクショナリは WBS の各コンポーネントの背景を詳しく説明するものです。そのコンポーネントにおける成果物の説明、WBS チャートの要素番号、必要な材料、コストなどの情報が含まれる場合があります。たとえば、小屋を建てる場合、金属の壁が 1 つのコンポーネントとなります。メーカー、金属板のサイズ、および使用されるすべてのボルトとワッシャーの数と名前が、WBS ディクショナリに記載されている場合もあります。
WBS のコンポーネントによって表されるリソースをすべてまとめると、合計で 100% になります。言い換えると、家を建てるために 5 万ドルの予算があって、基礎、電気、配管の 3 つのコンポーネントがある場合、これら 3 つの予算の合計は 5 万ドル以下でなければなりません。同じことが作業時間や材料にも当てはまります。このようにして、プロジェクトのリソースを過剰に使用しないようにすることができます。
ワーク パッケージはいつアクティビティになるのか？
各ワーク パッケージは、ワーク パッケージを完成するために必要なアクティビティやタスクへとさらに分解されます。アクティビティは通常、「昼食を作る」などの動詞や名詞として表現されます。アクティビティとワーク パッケージの違いはどうすればわかるのでしょうか？ワーク パッケージには、プロジェクトに貢献する特定の製品または結果 (プロジェクト管理では成果物といいます) があります。アクティビティだけでは、プロジェクトの目的を達成するのに役立つ完成品や結果は生み出すことはできません。
計画パッケージとワーク パッケージ
作業分解構成図には、計画パッケージという別のコンポーネントを含めることができます。計画パッケージは、基本的に将来に行われる作業のコンポーネントとなります。通常、作成しようとしている作業または成果物の範囲はわかっていますが、まだ割り当てられておらず、スケジュールも決められていません。計画パッケージをアクティビティに分解すると、ワーク パッケージになります。
ワーク パッケージによるプロジェクト管理はどのように役立つのか？
ユーザーとチームがとりあえず仕事に取り掛かりたい場合、わざわざプロジェクトを分割することは大げさな作業に思えるかもしれませんが、ワーク パッケージには真の目的があります。以下は、ワーク パッケージが持つメリットの一部です。
- スケジュール調整と予算編成。ワーク パッケージをアクティビティに分解すると、アクティビティがアクティビティ リストにまとめられるため、スケジュールとプロジェクト予算を作成できます。ロッド・バクスター (Rod Baxter) 氏は、プロジェクトに応じて、アーンド バリュー マネジメント、コスト差異、コスト効率指数、主要スケジュール指数といった主要なプロジェクト メトリックを把握できると述べています。
- より簡単な見積り。時間、人員、コスト、材料などの見積もりは、小規模においてのほうが簡単となります。晩餐会を計画していて、使い捨てフォークやディナー ロールなどの価格がわからない場合、総費用額を決めることはできません。
- 同時実行アクティビティ。ワーク パッケージを分割すると、プロジェクトで同時実行アクティビティを行うことができるようになります。複数のチームが異なるアクティビティに同時に取り組むことができます。
- 相互依存性の明確化。すべてのワーク パッケージが識別されると、どのタスクが他のタスクに依存しているかを確認できます。たとえば、晩餐会を行う場合、ケータリング業者に最終的な参加者の人数を教える前に招待状を送って、出欠確認を行う必要があります。
- 有限制御。見積もりと同じで、管理しているものの詳細を知っていれば、何かを観察し管理するのは簡単となります。この知識は、諸刃の剣でもあります。建設プロジェクトや経験の浅いチームにおいて、プロジェクトに高い費用がかかる場合やリスクの可能性が高い場合は、その度合いに応じた管理を行う必要があるかもしれません。ただし、特に経験豊富なチームでアクティビティとタスクの管理を行うと、実際にはマイクロマネジメントを行ってしまっている場合があるのです。
- 成果を示す。責任分担表 (RAM) に記録された詳細なスケジュールと作業義務により、チームは職務と期限を一目で確認することができます。頻繁に行われるアクティビティやワーク パッケージをうまく完了させることで、チームの士気を高めることができるのです。
- 関係者向けのビュー。プロジェクトによっては、関係者と上級管理職は、作業分解構成図の階層のさらに上位にある成果物に最も焦点を当てる必要があります。しかし、ワーク パッケージ ビューは、段階的な達成度を測定し表示するのに適した方法です。
効果的なワーク パッケージの作り方
作業分解構成図を含む他のプロジェクト計画ツールと同様に、ワーク パッケージの定義はチームで行うものです。プロジェクト マネージャーは、対象分野の専門家や経験豊富な作業者からアドバイスを得て、ワーク パッケージを完成するために必要なアクティビティを決定する必要があります。そのことを念頭に置きつつ、以下の手順に従って効果的なワーク パッケージを作成しましょう。
- 分解しすぎない。適切なワーク パッケージのサイズを判断するには、ワーク パッケージを完成させるためにかかる時間が 8 時間未満または 80 時間以上ではあってはならないという 8/80 ルールを試してみましょう。もう 1 つの有効性が実証されている対策は、ワーク パッケージを報告期間中に完成できるかどうかを検討するというものです。
- 見積もりを念頭に置く。分解が、プロジェクトにかかる時間とお金を見積もるのに役立つということを忘れないでください。
- 責任の割り当て。報告と管理を行うために、ワーク パッケージを 1 人に割り当てる必要があります。
- ユニークなものにする。同じワークパッケージを WBS の他の場所で繰り返し使ってはなりません。ワーク パッケージ は独自のものである必要があります。
ワーク パッケージとアクティビティの例
1. 学校の建設
2. 小屋の建設
3. 大きなパーティーの開催
Smartsheet を使ってワーク パッケージを簡単に管理
ニーズに合わせ変化に対応できるようデザインされた、柔軟性のあるプラットフォームで、チームの能力を最大限に引き出しましょう。 Smartsheet プラットフォームなら、いつでもどこでも簡単に作業の計画、保存、管理、およびレポート作成が可能なため、チームはより効率的かつ効果的に仕事を進めることができるようになります。作業に関して主要なメトリックを表示したり、リアルタイムの可視性を提供したりするために、ロールアップ レポート、ダッシュボード、および自動化されたワークフローを作成する機能も装備されており、チーム メンバーをつないで情報共有を促進することが可能です。 やるべきことを明確にすると、チームの生産性と作業達成能力が向上します。ぜひこの機会に Smartsheet を無料でお試しください。