KPI ダッシュボードのすべて

By Diana Ramos | 2016年3月28日 (更新 2022年8月2日)

重要業績評価指標 (KPI) は、組織の最も貴重な資産であり経費の主な要因でもある従業員の最適化に役立ちます。KPI ダッシュボードでは、人事、売上の推移、マーケティング、生産目標など、特定の目標やビジネス プロセスに対するチームの進捗状況を効率的に確認できます。KPI ダッシュボードを使用すると、現状を図表で把握し、過去の傾向を調べて、より適切で多くの情報に基づいた実際に影響力のある意思決定が可能になるため、業績管理がはるかに簡単になります。 

この記事では、会社の KPI を特定してレビューする方法、KPI ダッシュボードを設計する方法、およびさまざまな種類の KPI ダッシュボードとその使用方法について説明します。また、Excel 形式の無料の KPI ダッシュボード テンプレートも用意しています。また、Smartsheet でさらに簡単にダッシュボードを使用および作成する方法も紹介します。

KPI ビジネス ダッシュボードとは

重要業績評価指標 (KPI) は、組織の成功に欠かせない要因の評価に使用されるビジネス メトリックです。KPI は組織によって異なります。ビジネスでの KPI は純収益や顧客ロイヤルティのメトリックなどですが、政府の場合は失業率などを考慮することでしょう。どのようなメトリックを選択しても、ビジネスの収益に影響するはずです。

KPI ダッシュボードでは、すべての作業を簡単に把握できます。必要な情報が 1 か所にまとめられているため、チームと共有して目標に向けた進捗状況を追跡でき、目標達成のために調整の必要な箇所が分かります。

ダッシュボードは組織固有のニーズと文化に合わせて設計できるため、そのどれもが唯一無二のデザインになります。常に情報が分かりやすく、あらゆるレベルのデータに簡単にアクセスして把握できるようにするには、柔軟性があってカスタマイズできることが不可欠です。

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KPI ビジネス ダッシュボードの発明者

KPI とそれを追跡するダッシュボードの生みの親とされるピーター・ドラッカー (Peter Drucker) は、作家、教授、経営コンサルタントであり、人々がどのように組織化してかかわり合うかを研究した自称「社会生態学者」でもあります。組織の専門家として「メトリックのない戦略は単なる願望です。また、戦略目標と一致しないメトリックがあると時間の無駄になります」と述べています。

ダッシュボードは、実用化するテクノロジーがあったにもかかわらず、1990 年代後半に重要業績評価指標 (KPI) が台頭し、ロバート S. キャプラン (Robert S. Kaplan) とデビット・P. ノートン (David P. Norton) がバランス スコアカードを提唱するまで、まったく普及しませんでした。今日では、ダッシュボードの使用は、目標による管理 (MBO) における重要な要素となっています。この管理モデルでは業績の向上を目指し、そのために経営陣と従業員の双方が合意して組織全体の目標にも適合する目標を明確に定義します。

目標による管理の原則は、この定義された目標に対する実際の業績や成果を測定するための管理情報システムを確立することです。MBO には、従業員のモチベーションとエンゲージメントが向上し、経営陣と従業員間のコミュニケーションが改善するなどの利点があります。 

KPI フレームワークの利点

The KPI Institute (KPI 研究所) の『The State of Performance Improvement and Key Performance Indicator Practice Report (原題)』によると、回答者の 68% が、KPI フレームワークの導入後にビジネス開発にプラスの影響があったと感じました。さらに、43% が改善した (「結果の達成レベルを客観的に評価」できるようになった) と回答し、33% が KPI の結果を意思決定プロセスに統合していると回答しました。KPI フレームワークでは関連する KPI がグループ化されるため、構造とコンテキストが改善し、取り組みが最適化され、特定の KPI の実績が他の KPI にどのように影響するかを把握できます。

優れたデザインの KPI ダッシュボードを使用すると、個人および組織間のメトリックを調べてその情報を活用することがはるかに簡単になります。比較、経時的な傾向の確認、配布の確認、そして組織のさまざまな領域間の関係の確認などが可能です。組織の複数の部門間で情報を共有すると、問題解決、共同作業、予測の合理化が促進されます。 

上記のレポートでは、回答者の 32% が、業績測定において最も困難なのは自社のビジネスに最適な KPI を特定することだったと述べています。次のセクションでは、この特定方法について説明します。

 

会社の KPI を特定してレビューする方法

KPI ダッシュボードの構築を開始する前に、顧客とその要望について把握できるような重要業績評価指標を特定する必要があります。つまり、ビジネスとその目標を把握し、ビジネス目標を測定可能なゴールに変換して、それぞれのゴールに合った KPI を選択することになります。 

KPI を特定する際は、次の手順を検討します。 

  1. メトリックの特定をチームの取り組みとして行います。従業員を関与させると、関連性が高く、現実的なメトリックとなります。連携して作業することで、従業員は積極的に関与し、ゴールや自分の業務と企業戦略との関係性をより明確に理解し、目標達成への責任感が強くなります。 
     
  2. SMART の基準を使用します。S.M.A.R.T. ゴールは、プロジェクト全体で構造と道筋を示し、達成すべきことをより適切に特定できるように設計されています。この方法は、企業戦略に沿った目標を設定する場合に特に効果的です。各測定値は、ビジネスの目的に特化し (Specific)、測定でき (Measurable)、達成でき (Achievable)、組織の成功に関連していて (Relevant)、時間的な計画に基づいている (Time phased) ものであり、事前定義された関連する期間ごとに値や成果が表示される必要があります。     
     
  3. 優先するゴールを 3 つ選択し、各ゴールの KPI は 3 つ以下にします。KPI や測定基準を、最も直接的で最も多くの証拠を示すゴールとリンクさせることに重点を置きます。 
     
  4. メトリックを追加したいという衝動を抑えます。効果的な KPI にするには、積極的に管理する必要があります。KPI を増やすようにプレッシャーをかけられるかもしれませんが、メトリックは業務にとってきわめて重要であるか、改善目標と密接に関連している必要があります。   
     
  5. 構造化された根拠に基づいてレビューします。ビジネス環境などの要素は時間とともに変化するため、機敏に対応することが重要です。KPI の調整が必要となることがありますが、その場合には、関連性を保ち、SMART 基準を使用して KPI の総数を少なくしてください。 
     
  6. 成功を共有する機会としてレビューを利用します。チーム メンバーとの定期的なレビューは、優れた作業を認め、モチベーションを高く保ち、意見を求める機会となります。注意の必要な領域がある場合、チームは適切な状態に戻すためのアイデアに協力して取り組むことができます。 

KPI ダッシュボードを優れたデザインにする 5 つの要素

ダッシュボードという用語は、自動車や航空機のダッシュボードに由来しており、視覚的な表現を使用して主要な機能をモニタリングする場所です。適切にデザインされた KPI ダッシュボードを使用すると、ビジネスにメンテナンスが必要かどうかや、最高のパフォーマンスで稼働しているかどうかが分かります。

優れた KPI ダッシュボードのデザインは次のとおりです。

  1. 読みやすくて分かりやすい。データをカテゴリと KPI 別に論理的にグループ化して、すぐに把握できるようなビジュアルにします。Amazon (アマゾン) や Yahoo (ヤフー) などの情報豊富な主要 Web サイトで使用されている Web ページ テンプレートに従うのも、そのための方法の 1 つです。専門家によって使いやすさが継続的にテストされているため、デザインやナビゲーションのアイデアを得るための優れたリソースとなります。 
     
  2. 更新が簡単。ビジネスの成長や状況の変化に合わせて、直感的に操作できるプラットフォームを選択するか、自社のシステムやワークフローと連携する使い慣れたプラットフォームを選択します。また、簡単に修正できると、より幅広い展開が促進されます。 
     
  3. 現状把握のための情報と過去の傾向の宝庫。特定したカテゴリとそれをサポートする 1 ~ 3 つの KPI を使用すると、達成した進捗、過去の作業、効率良くゴールに進むために必要な変更をすぐに把握できるようになります。 
     
  4. 情報の視覚的表現に関してベスト プラクティスと位置づけられる。シンプルであるほど効果的であるため、「装飾」は排除します。車のダッシュボード インターフェイスは、ユーザーにとって使いやすいデザインを実現する上で重要なヒントになります。アニメーションなどの視覚的要素は、理解が深まると思われる場合にのみ使用します。 
     
  5. 一目で判断できる構成。ダッシュボード上のオブジェクトは 7 個以下に抑えるのが目安ですが、表示密度はオーディエンスや見せる量の経時変化よって異なる場合があります。初心者は一度にすべてのデータを見ると混乱する可能性がありますが、KPI ダッシュボードの使用に慣れると、関連情報を表示するためのクリックの回数を減らしたいと思うかもしれません。  

 

KPI ダッシュボードの種類

KPI を決めたら、KPI を追跡して表、折れ線グラフ、棒グラフ、ゲージなどでデータを可視化することによって、ビッグ データが示す内容と組織全員の認識を一致させることができるようになります。ダッシュボードによって、ビジネスの成長を促す複数のデータ ポイントが統合され、自動化されます。

ダッシュボードには主に 3 種類あります。 

  • 戦略型/エグゼクティブ向け。組織のあらゆるレベルの管理者や経営陣が、組織の健全性を把握するために必要な情報や、拡張や改善の潜在的な機会を特定するために必要な情報を確認できます。戦略型ダッシュボードでは、複雑な意思決定に必要なすべての詳細情報が提示されるわけではありませんが、さらなる分析の機会が明確に特定されるようにするべきです。シンプルで、集約されたメトリックを含むダッシュボードにする必要があります。
     
  • 分析型。データから傾向を把握するために、時間と複数の変数間で比較します。分析型ダッシュボードには、戦略型や運用型のダッシュボードよりも多くの情報が含まれることがよくあります。把握することがゴールであるため、分析型ダッシュボードは戦略型や運用型のダッシュボードよりも複雑になる場合があります。分析型ダッシュボードでは、表示するデータの詳細度を上げていくなど、データをうまく操作する必要がありますが、重要なことは常に時間と複数の変数間でデータを比較できることです。 
     
  • 運用型。リアルタイムで運用をモニタリングして、標準からの逸脱をユーザーに警告します。運用型ダッシュボードでは、ユーザーに特定のアラートが示され、標準の運用に迅速に戻すために必要な情報が正確に伝わる必要があります。

ダッシュボードでは、主にこれらのカテゴリやフォームが採用されますが、2 種類を組み合わせたものが必要になる場合もあります。どのような種類の KPI ダッシュボードを使用する場合でも、管理者とスタッフが質問に対する回答をリアルタイムで取得してアクションを実行できるように、データがすべて 1 か所に統合されている必要があります。  

CEO レベルの KPI とアクション、経営陣レベルの KPI とアクション、従業員レベルの KPI とアクションに合わせて、短期、中期、長期のアクションをサポートできます。ダッシュボードを継続的にテスト、評価、調整しながら使用して、ビジネスを成長させましょう。

Excel の KPI ダッシュボード テンプレート

Excel の KPI ダッシュボード テンプレート

  KPI ダッシュボード テンプレートをダウンロード

この Excel の KPI ダッシュボード テンプレートでは、複数の KPI を表とグラフの両方で表示できます。メトリックを比較し、KPI ごとに平均と目標を表示できます。目標予算と実際の予算、予算合計、目標収益と実際の収益、収益合計、利益率、負債対株主資本比率のグラフがあります。

この Excel テンプレートには 2 つのシートがあります。すべてのグラフを含む KPI ダッシュボード用のシートと、ダッシュボードを構成する生データを追加および編集できる KPI データ用のシートです。KPI 情報を追加するには、KPI データのシートに移動し、自社情報に合わせて各数値を入力します。各表には、各列を合計する数式や、利益率、純経費などの他のメトリックを計算する数式が、あらかじめ入力されています。

 

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ニーズに合わせ変化に対応できるようデザインされた、柔軟性のあるプラットフォームで、チームの能力を最大限に引き出しましょう。 Smartsheet プラットフォームなら、いつでもどこでも簡単に作業の計画、保存、管理、およびレポート作成が可能なため、チームはより効率的かつ効果的に仕事を進めることができるようになります。作業に関して主要なメトリックを表示したり、リアルタイムの可視性を提供したりするために、ロールアップ レポート、ダッシュボード、および自動化されたワークフローを作成する機能も装備されており、チーム メンバーをつないで情報共有を促進することが可能です。 やるべきことを明確にすると、チームの生産性と作業達成能力が向上します。ぜひこの機会に Smartsheet を無料でお試しください。

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