標準的な作業手順の作成方法: 専門家のヒントと無料のテンプレート

By Kate Eby | 2019年7月17日 (更新 2024年9月3日)

この記事では、標準的な運用手順 (SOP) の作成方法に関するステップバイステップの手順と専門家のヒントを紹介します。Word や PowerPoint 形式の無料で使いやすい SOP テンプレートや、SOP の準備と作成のためのチェックリストもありますので、ぜひご利用ください。

このページでは、標準的な作業手順の作成方法SOP テンプレートについての詳細、SOP のフォーマットに関する情報、およびその他多くのヒントやベスト プラクティスについて解説します。

標準的な運用手順とは

標準的な運用手順 (SOP) は、チーム メンバーが一貫した方法でタスクを実行できるように導く、ステップバイステップの手順書一式です。SOP は、規制標準への準拠が必要な、複雑なタスクにおいて特に重要です。また SOP は、ばらつきがほとんどない、アウトプットの品質の高い効率的な作業を実現するためにも重要です。 

Giles Johnson

Giles Johnston 氏は、企業向けの業務改善コンサルティングを行う公認技術士で、『Effective SOPs (原題)』の著者でもあります。同氏は、SOP を「タスクの実行を文書化する、合意された最良の方法」と定義しています。 

イノベーションとオペレーショナル エクセレンスを専門とするコンサルティング会社 Firefly Consulting でプリンシパルを務め、『 Innovating Lean Six Sigma (原題)』の主要寄稿者でもある Charles Cox 氏にとって、「SOP は企業の成功に不可欠です。」

SOP は従業員が毎回全く同じ方法で業務を完了できる方法を記したものであり、組織の機能とアウトプットの一貫性、正確性、安全性を維持します。「SOP は何もないところからは生まれません。SOP が必要な根拠を明らかにし、体制の中での位置づけを特定することが不可欠です。多くの場合において、SOP は企業運営の基盤です。SOP がない場合や SOP が不十分な場合、企業のプロセスは損なわれます。プロセスが損なわれると、方針が十分実施されないなどの問題につながります。」と Cox 氏は言います。

どのような組織でも、生産から事業運営、マーケティング、販売、法務、カスタマー サービスに至るまで、すべての部門で SOP を導入すべきです。規定された手順書は、農業、製造、保険、金融など、ほぼすべての分野に適用できます。 

SOP は、労働安全衛生局 (OSHA)、環境保護庁 (EPA)、運輸省 (DOT)、食品医薬品局 (FDA) などの規制当局や、サーベンスオクスリー法 (SOX) などの法令に基づき義務付けられる場合があります。SOP は多くの場合、OSHA 自主的安全衛生管理プログラム (VPP)、IT インフラストラクチャ ライブラリ (ITIL)、シックス シグマ、国際会計基準 (IFRS)、GAAP (米国会計基準)、ISO 9001 などの自発的なベスト プラクティスに準拠しています。

標準的な運用手順が必要な理由

標準的な運用手順 (SOP) は、手順、ワークフロー、作業指示などを含む手順書であり、優れたコミュニケーションを可能にし、プロセスとアウトプットの一貫性を促進します。SOP は、チーム メンバーが共通の目標に向かって取り組むのに役立ちます。マネージャー、チーム メンバー、コンサルタントが協力してプロセスを構築し、そのプロセスを文書化できます。SOP は、定期的なトレーニングやフィードバックと組み合わせて使うことで、チームを成功に導きます。 

SOP は、医薬品製造など、臨床研究や実際の診療において重要です。こうした分野やその他の分野では、SOP によって、トリアージ、発生源の分離、原因と影響の追跡が必要なプロセスが強化されます。臨床現場では、SOP をきちんと整備しておくことで、FDA の警告書や Form 483 指摘事項による制裁から組織を守ることができます。国際品質基準 ISO 9001 では、アウトプットの品質に影響を与える可能性のある製造プロセスの文書化が企業に求められます。 

標準的な作業手順のリマインダーとしての役割と保護

Cox 氏は説明します。「トレーニングには一貫性が必要です。自分たちにしか当てはまらない特質に基づいて新入社員をトレーニングすべきではありません。」Cox 氏によると、製造業よりも、手作業、顧客サービス、対人業務が中心となる保険や銀行などのサービス業のほうが、作業のばらつきが大きくなります。SOP は、企業が手順に一貫性を持たせる上で役立ちます。 

さらに、SOP はスタッフへのリマインダーとしての役割も果たします。「頻繁に行わない作業は、忘れてしまったり、うまくできなかったりします。」と Cox 氏は説明します。「日常的に実行するタスクの場合、詳細な SOP は必要ないかもしれません。しかし、難しい作業や頻繁に行わない作業には、作業指示書が必要な場合があります。実行頻度の低い作業については、たとえば半年ごとにトレーニングを繰り返し行う必要があるかもしれません。SOP に追加する内容を決定する際には、実行頻度、難易度、重要度、およびその手順をなくすと問題が発生するかどうかを考慮してください。」と Cox 氏は言います。

What to Include in your SOP

Johnston 氏は、多くの人が SOP の価値を理解していないと考えています。「多くの人は SOP を、プロセスを文書化したことを証明する単なるチェック ボックスのようなものとしかとらえていません。そうした人々は、SOP を使用すればプロセスを監査できるようになることも、新入社員に正しい作業手順を教えるトレーニング ツールになることも、ましてや業務運営において一貫性を保てるようになるということも、理解していません。」 

Johnston 氏は続けます。「多くの人々は、誰かが作成した手順書を業務で実際に使用するものとは考えません。そうした人々にとって、SOP とは作成したら棚に保管しておくものなのです。そうしておいて、ミスを犯すと驚いたふりをするのです。」

Johnston 氏は、かつて対面での顧客フィードバックのプロセスの確立を支援したことのある、あるクライアントを例に挙げました。「そのクライアントは、自身の名前を冠した会社を運営していました。」と Johnston 氏は説明します。「あるとき、私はクライアントの顧客訪問に同行しました。それは、本当に気まずい訪問でした。訪問先の顧客は、大変怒っていたからです。怒り心頭で、耳まで真っ赤になっていました。ただ、彼女はフィードバックを与えるという点では素晴らしい仕事をしました。」と彼は語ります。 

その後、Johnston 氏とクライアントはその苦い訪問を振り返り、気持ちに折り合いをつけようとしました。そのとき、Johnston 氏はクライアントの会社の SOP を棚から取り出して、その訪問で得られたすべての教訓が品質管理システムとしてすでに文書化されていることをクライアントに示しました。「私はこう言いました。『いつこの文書を使うつもりですか?いつになったら活かすのですか?』と。クライアントはしばらく考え、こう言いました。『本当にわかりやすいですね。』私は言いました。『ええ、これは 5 年前にあなたが作成したものですからね。』」

標準的な作業手順を作成する方法

既存の SOP を更新する場合も、新しい SOP をゼロから作成する場合もあります。いずれの場合も、SOP の作成は、ただ座って手順を書くだけの作業ではありません。役立つ SOP を作成するためには、少なくともそのトピックについての基本的な知識を得ておくのが良いでしょう。プロセスや下書きについて、他の人に意見を求めることも必要です。ここでは、標準的な運用手順を作成するためのステップバイステップの方法を紹介します。

  1. 文書化が必要な業務プロセスのリストを作成する。マネージャーの場合は、どのプロセスを文書化すべきかを従業員と検討し、他のマネージャーとリストを比較して作業の優先順位を付けると良いでしょう。
  2. SOP のフォーマットとテンプレートを選択する。Chuck Cox 氏は、フォーマットは組織のニーズが伝わるものである必要があり、すべての企業にとってのソリューションとなるような共通のフォーマットはないと強調します。承認署名や参照資料などのメタデータを含む正式なパッケージが必要か、それともシンプルなチェックリストで十分なのかを検討してください。ワークフローを図で示すと、詳細なプロセスを俯瞰で確認できるようになります。また、ワークフローの略図が情報の把握に役立つ場合もあります。必要に応じて、手順書の作成を開始する前にテンプレートを作成するか、カスタマイズ可能な無料の標準的な運用手順テンプレートをダウンロードしましょう。
  3. SOP が必要な理由を理解する。今取り組んでいるのは、新しいプロセスの文書化でしょうか、それとも既存の SOP とプロセスの更新および改善でしょうか。新しい SOP を作成する場合でも、既存の SOP を更新する場合でも、現場で使われる事実上の SOP と正式な SOP の両方に取り組む必要があるのではないか、と Cox 氏は言います。事実上のプロセスとその手順書には、作業者がいつも実施していることや、これまで分析されたことも正式に文書化されたこともない内容が含まれているものです。「経営陣が好むかどうかは別として、事実上の SOP がたくさん出回っています。厄介なことに、そうした文書は系統立てて整理されていません。日勤の従業員がある SOP に基づいて作業しても、夜勤の従業員が別の SOP に基づいて作業するかもしれません。作業を行う最良の方法を手順書にして関係者全員の賛同を得ることができれば、作業の進め方における変動要素を減らすことができます。」と Cox 氏は説明します。同氏は、多くの場合、プロセスやアウトプットの指標についてチームで話し合うことがないと言います。「SOP は、誰もが従うことのできる形式に従って表面化し、標準化してください。そして、これをチームの仕事にしてください。誰かにプロセスを強いることはできないのです。」
  4. ブレーンとなるメンバーを集めて文書作成に参加してもらう。SOP の作成を任されても、すべてのプロセスに関する詳細な知識や経験があるわけではないでしょう。代わりに、そのプロセスを日常的に実施している人たちに相談してみましょう。基礎資料として使用できる文書がすでにあるかもしれませんが、通常、特定分野の専門家や最前線で働く従業員は情報源として最適です。従業員に参加してもらうと、組織全体で使用するプロセスや文書作成に従業員が貢献できるようなり、結果的に従業員の能力を高めることができます。また、マネージャーである場合、外部コンサルタントへの SOP 作成の依頼については慎重に検討してください。社内で作成した SOP は外注で作成された手順書よりも尊重される、と言う専門家もいます。さらに、文書の作成に取り組むことで、あらゆる取り組みに不可欠なチームとしての団結力を育むことができます。 
  5. 標準的な運用手順の公開方法と共有方法を検討する。プロセスの文書化は常に推奨されますが、文書がどこかに紛れたり失われたりしてしまっては何の役にも立ちません。その文書を日常的に必要とする人が簡単にアクセスできるような保管方法を決めましょう。印刷してバインダーで保管しておくのもよいですし、現場でも現場以外でも誰もが簡単にアクセスして読めるデジタルの文書管理システムを選択することもできます。
  6. 文書の範囲を限定する。作成する文書の対象 (つまり、タスク、部門、チーム、役割) を決定します。また、文書化するプロセスの範囲を決めましょう。 
  7. ユーザーとその特徴を決定する。その SOP を使用するのはどのような人々なのかを考えましょう。プロセスを熟知している人には短い手順で事足りるかもしれませんが、詳細な作業手順書が必要な人もいるかもしれません。また、ユーザーの言語能力も考慮しましょう。英語があまり得意ではない従業員向けに、絵や写真をつけるとよいかもしれません。 
  8. テンプレートをアウトラインとして使用する。どのようなテンプレートを選択しても、それをアウトラインとして考えましょう。手順を調査しながら、文書の構造を気にせずに詳細を追加できます。アイデアについては、この記事の形式とテンプレートのセクションをご覧ください。 
  9. プロセスで実際に SOP を試してみる。作成した手順書に従ってタスクを実行してもらうよう、日常的にタスクを実施する人、知識レベルの違う人々、そのタスクに関する知識を持たない人に依頼します。どの程度試せるかは、使える時間、従業員、プロセスの重要性によります。理にかなった有用な文書にしましょう。「若い頃、エンジニアとして多くの文書を作成しましたが、自分で作成した指示書を今見ても、その通りにできないのです。」と Johnston 氏は笑います。
  10. SOP の成功基準を定義する。作成した SOP が目的にかなっているかどうかを知るために、SOP の指標を定義します。「測定できないものは管理できません。」と Cox 氏は言います。手順書に指標を組み込みましょう。たとえば、「水を加熱する」という指示は曖昧です。しかし、「温度計で 65 度になるまで水を加熱します。」とすれば、その指示は測定可能です。
  11. 経験豊富な外部の人の意見をもらう。可能であれば、その業務やプロセスに関する知識を持つ外部の人に、SOP の確認を依頼してください。大企業、特に規制やその他の基準に基づいて運営されている組織では、SOP の正式な承認手続きが求められる場合があります。品質保証チームや上級職が文書の確認を行う場合もあります。 
  12. 文書の更新や定期的な見直しを計画する。ISO 9001 などの一部の標準では、定期的な内部監査が必要とされます。これまで正式な基準に従っていなかったとしても、これを機にプロセスと文書のレビューおよび更新をスケジュールに組み入れて、SOP が確実に最新の規制と社内の実施計画に準拠するようにしましょう。組織は、少なくとも年に一度は文書をレビューする必要があります。標準的な運用手順の監督責任者を今すぐ決定しましょう。 
  13. プロセスのリスクを評価する。正式な SOP を準備したら、リスクの要因となる可能性を洗い出します。「リスクがどこに潜んでいるかよく確認しましょう。不具合が発生する可能性が最も高いのはどのプロセスか。エンド ユーザーに損害を与えて会社を訴訟に巻き込む可能性が最も高いのは、製品やサービスのどの生産工程か。リスクを最小限に抑えることに取り組みましょう。その次に、財務的な影響を生じる可能性のあるリスクを検討します。」と Cox 氏は言います。「手順書ができた後に、思いもしなかったリスクが表面化することもあります。」と彼は付け加えます。 
  14. SOP を完成させ、実施する。文書の変更や保管場所を追跡するために、文書管理プロセスを決定します。バージョン管理プログラムは、文書の改訂の追跡や古いバージョンの保管に役立ちます。新しい SOP または更新された SOP を共有する前に、その手順書を作成した目的をよく考えてください。行動を標準化する場合や、改善や規制の変更によりプロセスを更新する場合は、従業員が新しい手順に慣れるためのトレーニングが必要になるでしょう。

SOP フォーマットとは

SOP フォーマットとは、標準的な運用手順の構成方法を指します。SOP フォーマットを選択する際には、文書を作成する理由を考えてください。規制遵守のためなのか、社内使用のためだけなのか。SOP フォーマットには、正解も不正解もありません。文書のニーズに合ったフォーマットを使用してください。

調査や作成を容易にするために、作業するテンプレートを作成するか探します。組織にすでに SOP テンプレートがあることもあれば、目的や業界に合ったテンプレートがオンラインで見つかる場合もあります。(カスタマイズ可能な無料の SOP テンプレートをダウンロードするには、前述の「無料の標準的な運用手順テンプレート」というリンクをご覧ください。)

SOP 作成の 4 つの構造的アプローチ

SOP の長さとフォーマットは、その手順書でどの程度指示や目的を明確に説明する必要があるかによります。たとえば、書庫の作業者を対象とする梱包の指示書は、FDA に準拠する菓子製造会社で使用される指示とはおそらく異なるでしょう読者が必要なときに必要なものを見つけられるように、手順書の項目を明確に区別してタイトルを付けておくことが重要です。結局のところ、指示書は問題が生じて最も不安になっているときに最も必要とされるのかもしれません。SOP フォーマットの作成には、4 つの構造的アプローチがあります。

  1. チェックリスト: 
     

SOP Formats Simple Checklist

  1. シンプルなチェックリストは精密な To-Do リストのような外観で、各ステップには番号が振られており、完了時にチェック マークを付けます。タスク リストは印刷やオンラインでの保存が可能です。また、繰り返しや再利用が可能などチームに役立つフォーマットで公開することもできます。チェックリストは、測定可能な結果が含まれている場合は特に効果的です。シンプルなチェックリストは完全なマニュアルを作成する負担なくプロセスを把握する手っ取り早い方法で、まだ確立されていないプロセスを実験的に扱う場合に特に適しています。チェックリストは、小規模なチームの場合や、決定がほとんど必要ない手順、決定が不要な手順の場合に適しています。また、プロセスに慣れていない人や、指示に正確に従う必要があるプロセスにも効果的な文書です。

    プロセスで多くの決定が求められる場合は、詳細な階層型チェックリストが適しています。階層型チェックリストは、主要なプロセスと、サブプロセスの詳細を記録します。プロセスが監査される可能性のある正式な文書の場合は、そのプロセスを説明する別の大まかな手順を追加することを検討してください。必要に応じて、大まかなステップを個別のタスクに分解し、機器の情報やその他の情報に関する項目を別に設けます。このようにすることで、情報の追加によってプロセスがわかりにくくなる可能性を防ぐことができます。
     

SOP Formats Detailed Checklist
  1. 組織図: 複雑な手順や標準的な作業手順マニュアルの場合、組織図があればユーザーがプロセスの責任者を理解するのに役立ちます。

  2. プロセス フロー チャート: フロー チャートは、プロセス全体の視覚的な概要を提供し、各プロセスがどのように関連し合っているかを示します。フロー チャートは、手順の詳細なステップの背景情報も提供します。フロー チャートは、多くの決定を求められるプロセスに適しています。さらに複雑なバージョンとして、SIPOC (または COPIS) ダイアグラムと呼ばれるスイムレーン図があります。こうした複雑な図は、サプライヤー、インプット、プロセス、アウトプット、顧客を説明するために使用します。
     

Process Flow Chart
  1. ステップ: 手順の一般的な形式には、番号付きのシンプルな逐次的ステップや階層的ステップがあります。シンプルな逐次的ステップは、可能性のある結果の数が限られるシンプルなタスクが対象の、番号で順序立てて整理されたステップバイステップの手順です。

SOP Formats Simple Steps
  1. 階層的ステップとは、決定点での分岐を含む 10 個を超えるアクションで構成される手順です。
     

SOP Formats Hierarchical Steps

文書の構造

文書は組織のニーズに応じて詳細な場合もあれば、単純な場合もありますが、ほとんどの SOP では、以下に示す構造的要素のうち少なくとも一部が使用されています。

  • 文書管理情報またはメタ情報: SOP の各ページには、文書管理情報を記載する必要があります。多くの場合、この情報はヘッダーに表示され、次のような詳細が含まれている必要があります。
    • 短いタイトルまたはドキュメントの ID 番号
    • 改訂番号および日付
    • ページ番号 (多くの場合、「#/#」の形式)。ページ番号は通常、右上に表示されます。ページ番号やその他のメタ情報がフッターに含まれているデザインもあります。
  • タイトル ページ: SOP のタイトル ページには、識別情報だけでなく、承認署名やバージョン情報が含まれていることがよくあります。 
  • 目次: 目次は、読者が必要な文書のセクションを見つけるのに役立ちます。PDF やオンライン ドキュメントの場合、ハイパーリンクされた目次は、目的の情報にユーザーを直接誘導するために不可欠です。 
  • 目的: 文書を作成する目標をごく簡単に説明します。 
  • 範囲: 範囲は、手順の責任者や手順で説明する活動を示します。文書の範囲外を説明するのにも有益です。 
  • 用語、用語集、定義: 曖昧な意味を持つ可能性のある、または文書の対象者が理解できない可能性のある語句、言い回し、頭字語、略語、活動を定義します。
  • 手順: 手順には、タスクの実行方法に関する段階的な説明が含まれており、以下の項目などが含まれる場合もあります。特定の情報を必要とする読者が簡単に見つけられるように、各項目を明確に表示しましょう。
    • 校正情報
    • 機器の破損を防ぐための注意事項
    • 設備と備品のリスト
    • プロセスの SOP とは別の、検査および監査手順
    • 実施方法
    • 記録管理
    • 安全または健康に関する警告
  • 参照および関連文書: これには、他の SOP が含まれる場合があります。必要に応じて、正式なタイトルと文書番号を記載します。 
  • 役割と責任: これらの活動の実施に責任を負う役割を指定します。 
  • 付録: 手順の本筋から外れる可能性のある補足資料などです。ワークフロー図もここに追加できます。 
  • 改訂履歴: 多くの場合、表紙の改訂履歴欄や、文書の最初のほうのページに表示されます。
  • 承認署名: 組織によっては、承認者による SOP の承認が必要な場合があります。承認者欄は、多くの場合、表紙や文書の最初のほうのページに表示されます。署名欄の詳細については、上記のリンク「無料の標準的な運用手順テンプレート」をご覧ください。

標準的な運用手順テンプレート

テンプレートを使用すると、書式設定を気にせずにコンテンツに集中できるため、SOP の作成が容易になります。以下のテンプレートも無料でダウンロードでき、組織のニーズに合わせてカスタマイズできます。

画像を使用した標準的な運用手順テンプレート

 ジャイルズ・ジョンソン画像-SOP-テンプレート

Giles Johnston 氏のこの PowerPoint 作業指示書テンプレートは、画像と短い箇条書きによって指示をわかりやすく説明する形式になっています。このテンプレートには、デッキ内の各スライドに画像 2 点と短い文章か箇条書きを記載するスペースが設けられています。また、作成者名、日付、スライド番号、スライド タイトルのスペースもあります。

画像を使用した標準的な運用手順テンプレートをダウンロード

PDF  |  PowerPoint

シンプルな標準的な運用手順テンプレート

 簡易SOP標準作業手順書テンプレート

Johnston 氏はこの基本的な作業指示テンプレートも提供しています。作成者、手順書タイトル、日付、手順書番号、版数などの付帯情報のほか、このテンプレートには手順の背景を説明するスペースと、実際のステップを記入するスペースが設けられています。Johnston 氏が言う通り、どちらのテンプレートも「実際に記入されるまでは、かなり基本的な見た目」のテンプレートです。

シンプルな標準的な運用手順テンプレートをダウンロード

Word  |  PDF

文書管理用の標準的な運用手順テンプレート

 文書管理 SOP テンプレート

作業関連の資料を集める際には、書式、命名規則、保管、アーカイブの体制を標準化する必要があります。この文書管理用の標準的な作業手順テンプレートは、管理する文書、書式や名称、番号、保管、アーカイブの方法を決定するのに役立ちます。このテンプレートには、文書管理および文書管理手順書の更新に誰が責任を持つのかを明確にするための欄が含まれています。

文書管理用の標準的な運用手順テンプレートをダウンロード

Word  |  PDF  | Smartsheet

縦長の標準的な運用手順テンプレート

 簡易SOP標準作業手順書テンプレート

縦長のこの SOP テンプレートには、多くの人が SOP そのものととらえている内容が含まれています。このテンプレートには、手順書を規定してその目的を説明する欄だけでなく、参照資料、必要な物品や設備、トラブルシューティング情報、品質管理の詳細、手順書の配布先一覧の欄も設けられています。 

縦長の標準的な運用手順テンプレートをダウンロード

Word  |  PDF

標準的な運用手順の作成方法

Charles Cox 氏は、SOP の作成プロセスを次のように総括します。「事実上の SOP を踏まえ、標準の手順を検討し、毎回まったく同じやり方ですべてを作成してください。そうすれば、皆それに慣れ、常に同じ期待を持って文書を参照するようになります。文字を減らし、画像やグラフィックを増やします。必要に応じて、動画も追加します。事実上の SOP や事実上の作業指示の領域から抜け出すために必要なことは何でもやってください。」 

Giles Johnston 氏は、「手順書の作成作業を楽しめる人はあまりいない」という別の視点から、視覚的支援が必要だと考えています。大卒の人なら文章を書くことに慣れているかもしれませんが、従業員の中には大卒の学歴を持っていない人もいます。 

「活動を文書化できる能力を誰もが持っているわけではありません。書き方を心配する必要がなく、文章を書き連ねるかわりに画像を取り込めば、もっと迅速に、もっと多くの SOP を作成できます。」と Johnston 氏は強調します。 

小さいスペースで可能な限り多くの情報を伝えることに集中したほうがよいでしょう。上記の画像を使用した標準的な運用手順テンプレートの PowerPoint のスライドや箇条書きは、このような簡潔な伝え方の良い例です。「簡潔なほうが効果的な場合があります。」と Johnston 氏は言います。

また、必要な詳細はすべて含めるようにしてください。「これまで何度も目にしてきたことですが、一部のステップを飛ばしてしまうことが多いのです。」と Johnston 氏と嘆きます。「そうして完成を急ぎ、結果として使い物にならないものができあがります。」彼は、手順を作成する際にはステップバイステップの手順の「肝心なところ」を準備しておくよう助言します。

Johnston 氏は続けます。「私はクライアントに、ステップ 1 を実施すると魔法のようにステップ 2 が現れます、と冗談を言います。本当は、把握する必要のあるステップはプロセス全体で 15 個あるかもしれません。さらっと通り過ぎてしまいがちなので、プロセスのすべてのステップを理解することが重要です。 

「ステップ 1 の前に装填作業があるかもしれませんし、その前に調整やメンテナンス チェックがあるかもしれません。そうした情報すべてを把握する必要があります。」と Johnston 氏は言います。 

自信を持って SOP を作成するためには、他に何を知っておくべきでしょうか。留意すべき重要な要素をいくつか紹介します。 

  • 以下の問いに答える: 手順は、関連性と管理が重要です。以下の手がかりを使って、プロセスとワークフローで何を行う必要があるのかを明らかにします。
    • 誰が何をするのか?
    • どのように行うのか?どのような手順に従うのか?どのようなツールを使用するのか?どのくらいの頻度でそのステップを実行するのか? 
    • その結果どうなるのか? 
  • 曖昧さや専門用語、くどい言い回しを避ける: ステップに正確さや明確さが欠けていると、ユーザーは手順に従う際に行き詰ってしまう可能性があります。SOP を記述する際の例を以下に示しますので、参考にしてください。
    • ステップの説明が不十分な例: エンドウ豆の種をまく前に、必ずスコップで畑に畝を作るようにしてください。
    • 上記ステップの説明の改善例: 畝を作り、エンドウ豆の種をまきます。
    • 手順には目標が明確な言葉を使用する: たとえば、「ビーツとオニオンを植える」は曖昧ですが、「ビーツの種 50 個とタマネギの種 75 個をまく」は測定可能な目標を提供します。
  • 手順の設計: 識者の中には 3 回以上行うものには手順が必要だが、それでも手順書が必要なのは特定のプロセスだけだ、と言う人もいます。プロセスが単純で、習慣となっており、よく知られている場合は、手順書を作成しません。たとえば年に 2 回だけ実行する複雑なプロセスの場合は、手順書が必要です。注意点は、プロセスがすぐに変更されることがわかっている場合は、手順書の作成を避けることです。SOP は、パフォーマンスの一貫性を確保するのに十分な (それ以上は不要) 詳細が必要です。
  • 画像とチャート: 優れた画像は 1,000 語に相当し、一目で情報が伝わります。また、フロー チャート、グラフ、写真、図、あるいは動画を使い、長いテキストのかたまりを分割することで、情報を分かりやすくすることができます。作業指示は、主にグラフィックスで構成される場合があります。ただし、実施方法、必要なツール、健康および安全上の警告を説明する必要がある場合は、視覚性とのバランスを取ることを忘れないでください。画像だけでは不十分な場合もあります。 
  • May、Must、Should の使い分け: May にあたる「~してもよい」とは、何かを実施する許可を意味します。Must にあたる「~しなければならない」とは、何かを実施する必要があるということです。また、Should にあたる「~すべきである」とは、行為が条件次第であることを意味します。
  • 体裁の調整: 文書は走り読みができるようにしましょう。リストと箇条書きを使用しましょう。長いテキストのかたまりは、グラフィックス、チャート、図で分割するとユーザーがプロセスを理解するのに役立ちます。 
  • SOP の公開と保存: SOP を印刷物で公開する場合でもオンラインで公開する場合でも、マネージャーや従業員が作業場所にかかわらず (このご時世なら、リモートであろうと現場であろうと)、SOP にアクセスできるようにしてください。文書が見つけやすく読みやすければ、ユーザーはプロセスに従うでしょう。 
  • 正しい表記を使用する: 大企業や他の大企業と連携する部門は、ワークフローの文書化に共通の言語を頻繁に使用しています。このトピックの詳細については、こちらのビジネス プロセスのモデリングと表記法 (BPMN) に関する記事を参照してください。企業はこの表記法を自社のニーズに合わせて変化させることが多いですが、小さな店舗の場合は BPMN で十分に効果が期待できます。 
  • ユーザーの視点から書く: ユーザーのトレーニングと経験レベル、およびユーザーがネイティブ スピーカーかどうかを考慮します。規制要件に準拠した文書を作成し体裁を整えるアプローチは、包装ラインで従業員が使用する手順書のプランとは異なる可能性があります。

従来の標準的な運用手順の問題

文書に難しい専門用語やつまらないレイアウトが含まれていることが原因で、従業員が SOP を避けることもあります。かつて技術系や製造関係の環境では、曖昧な用語が満載の分厚いマニュアルが定番でした。FDA など特定の基準では正式なレイアウトが求められる場合もありますが、だからといって手順や作業指示にシンプルな言葉やユーザー フレンドリーな設計を反映させることができないというわけではありません。

手順書の書き方

大まかなプロセスとワークフローを理解したら、各手順を文書化します。手順書の作成に熱心な人も、気が乗らない人も、手順の文書化に必要な時間を少なく見積もることは避けましょう。明確で効果的な文章を書くには、次の手順を実行します。

  • 簡潔で明確なステップバイステップの手順を、発生する順に詳細付きで書く。 
  • ステップは、原因と結果を説明するものと考えてください。たとえば、湯を沸かすには次の手順を実行します。 
    • 1. 電気ケトルを蛇口に持って行きます。 
    • 2. 水を入れます。 
    • 3. 電気ケトルのスイッチをオンにします。
  • 必要な数 (ただし、それ以上は不要) の単語を使って、ステップを明確に説明する。
  • 可能な場合は、専門用語、長い言葉、技術用語を避ける。
  • 第三者の視点に立って書く。
  • 能動態を使う。たとえば、「ビーカーは空の状態にしなければならない」ではなく、「ビーカーを空にする」という表現にします。また、各ステップには動作を簡潔に示す動詞を使用することも検討してください。
  • 意思決定ポイントを明確に記述する。
  • 組織に最も適した言葉遣い、文体、書式で SOP を作成する。

標準的な運用手順マニュアル (品質マニュアル) を作成する方法

標準的作業手順マニュアルは、ISO 9001 で品質管理システムの品質マニュアルとして知られていますが、組織の多くの手順を一元的に集める方法を提供します。マニュアルは、シンプルなものでは Microsoft Word 文書の集まりである場合もあり、その場合はマスター文書や伝統的なバインダーにまとめます。「オペレーション マニュアルは、業務の日常的な実施方法に関する手引きです。」と Johnston 氏は説明します。 

Charles Cox 氏にとっては、「実は、会社の文書に含まれる情報は、従業員が期待に応えたり期待を超えようとする能力に影響を与えます。文書が適切に機能しなければ、情報へのアクセスや理解が困難になります。そうなってしまうと、人は独自のアプローチを作り上げ始め、不要なばらつきが増え、品質の低下につながるのです。ITIL などの一部の分野では、SOP マニュアル用の特殊な名称があります。ITIL では、SOP マニュアルをラン ブックと呼びます。 

Cox 氏によると、SOP マニュアルは単体で成立する場合もありますが、通常は方針、プロセス、手順、作業指示とともに、品質マニュアルに含まれます。「企業がこれら 4 つの要素をどのように分割するかは、経営陣の裁量によります。」と彼は説明します。「時として、業務に直接影響を与えるわずかな方針しか品質マニュアルに含まれず、残りの方針またはすべての方針は上層部や上級幹部だけがアクセスできる方針マニュアルに記載されることがあります。」と彼は付け加えます。

また、品質マニュアルに SOP、検査手順、作業指示のみが含まれる場合もあります。「文書の配置方法はさまざまで、情報へのアクセスを必要とする人々のニーズを満たせる配置にする必要があります。文書の体制を設計する前に、作業環境を明確に理解する必要があります。」と Cox 氏は強調します。

Johnston 氏は、あるクライアントがフランチャイズのために作成したものを次のように説明しています。

  • システム全体がどのように機能するかを策定し、そのプロセスをマニュアルにまとめる。
  • そのマニュアルに基づき、望ましい状態を大まかに説明したプロセスを作成する。
  • そのプロセスに基づき SOP を作成する。 
  • トレーニングのため、SOP を参照しスキルの指標を設定する。 

オペレーションまたは SOP に関するマニュアルは、手順のデータベースとしてうまく機能する場合がありますが、その中ですべての情報を必ず連携させる必要があります。Johnston 氏は、みなしご (つまり、文書システムの他の部分との連携がないページや手順) を生み出さないよう注意を呼び掛けています。ユーザーがコンテンツを偶然見つける場合もあります。「連携が優れているということは、コンパスを持つようなものです。どこに取り残されても、元の場所に戻ることができます。」と Johnston 氏は言います。 

しかし、Johnston 氏はこう警告します。「手順を見つけるのが困難な場合、忙しくて時間がなければあえて手順を探そうとしません。ただ通常通りに作業を進め、結果として誤った方法で作業するというリスクを冒すことになります。」

標準的な運用手順の階層

手順は、確立または規定された方法とプロセスを定義することにより、管理システムの一部となります。手順はプロセスの一側面であるステップに基づいて作成されますが、ステップは各作業者によってばらつきがある場合があります。SOP は全体的なフレームワークを提供するもので、作業指示書はそれよりも頻繁に変更されます。「手順には、誰が、いつ、何をするのかを説明します。SOP は、関係性と管理の手段を説明します。」と Johnston 氏は言います。SOP 文書は決してトレーニングに代わるものではありません。 

以下は、SOP 文書の階層です。 

  • 手順: SOP の手順は、プロセスを説明します。プロセスや手順は他の文書と比べて簡単には更新できないため、更新の頻度も低くなります。世界の多くの地域の建設・建築業界においては、施工計画書が作業の実施や機器の使用のための最も安全な方法を説明する手順書として使われているようです。工事安全衛生計画書は、ユーザーが厳格な手順に従わないと重大な問題が発生する可能性のあるプロセスを詳しく説明します。 
  • 作業指示書とチェックリスト: 作業指示書とチェックリストは、新人が対象である場合や、頻繁には実施しない作業や重要な手順の場合に、作業方法を詳しく説明する文書です。言葉による説明に加えて、制御状態の写真や画像 (スイッチ、画面、ダイヤルなど) によって情報をすばやく伝えます。作業指示書とチェックリストを作成する際には、写真や画像を説明するラベルと注釈を必ず含めます。
  • プロセス マップ: まずプロセス マップで複雑な手順を図示するとよいでしょう。SOP に番号やラベルが付いている場合は、マップ内で関連する SOP に言及できます。たとえば、ある機器の校正手順が必要な場合は、マップ内でその手順と関連の SOP に言及します。マップは、すべての SOP を含む総合マニュアルの代わりに、または総合マニュアルと連携して機能する場合もあります。オンライン ドキュメントの場合は、マップとさまざまなドキュメントを簡単にリンクできます。
  • スキル マトリクス: スキル マトリクスは、チーム内の個人が持つ能力やコンピテンシーを明確かつ視覚的に示す表または一覧です。また、スキル マトリクスを使用すると、スキルやコンピテンシーを、そのプロセスやタスクを完了する方法を解説する SOP と関連付けることができます。主な目的は、人々とそのスキルの理解、開発、配置、追跡を支援することです。 

Cox 氏によると、人事部門はさまざまなスキル マトリクスを保有していますが、効率を上げるためには現場のマネージャーがこうした情報を持っている必要があります。そうすれば、技術的な質問があったときに、マネージャーは社内の誰に問い合わせればよいかわかります。さらに、チーム メンバーが病気や休暇で休む場合に、マネージャーは特定のタスクを代わりに実行できるのは誰かを判断できます。 

「興味深いのは、社員を採用してトレーニングを行った後は、うまくいくようただ願っていることです。」と Giles Johnston 氏は嘆きます。「SOP を作成したら、その SOP を直接参照するスキル マトリクスを作るとよいでしょう。そうすれば、誰かが作業を始めるときに、作業を実施する正しい方法を学ぶことができ、作業の結果をその基準と比較して判断できます。誰に質問すべきかがわかり、最適のメンバーを配置して追跡することができます。」と彼は勧めます。

標準的な運用手順の目的

SOP は、独自の事業プロセスと、業界標準、法的基準、社内規格、競争的標準に従ってプロセスを完了するために必要な手順を説明するものです。手順とは、テキストが多いかグラフィックスが多いかは関係なく、ステップバイステップの解説のことを指します。

標準的な作業手順は定期トレーニングの基礎となるもので、パフォーマンス評価のための体系化した指標を提供する必要があります。SOP は、以下の項目の達成にも役立ちます。 

  • 事業の売却時の価値を向上させる
  • 効率と収益性を向上させる
  • プロセスの安全性、効率、規制遵守に対する従業員の信頼度を構築する
  • 健康で安全な職場環境を形成する
  • ベスト プラクティスを実施する
  • スケジュールを実施し、それにより時間とお金を節約する
  • 規制および基準の遵守を徹底する
  • 従業員の説明責任を向上させる
  • コミュニケーションを改善する (SOP があることで全員の認識が一致する)
  • プロセスが再現可能になり、誰もが同じ方法でプロセスを完了できるようになる
  • プロセスの拡張性を高める
  • 従業員を仕事に慣れさせる
  • 自然環境への悪影響を防ぐ
  • プロセスの不具合を防ぐ
  • 財政や従業員に関するトラブルについての潜在的責任から雇用主を保護する
  • プロセスと、顧客や関係者へのアウトプットの一貫性を確保する
  • 安全衛生の問題や不適合につながる可能性のある既知のリスクを管理し、改善する 
  • 社内外で意見の不一致が発生した際に、問題解決に焦点を当てる
  • エラーと是正措置を減らす
  • 会社のビジョンと目標を統一する

SOP は豊富な情報源となる可能性があるにもかかわらず、多くの場合棚に追いやられていたり、ファイル共有システムの迷路に埋もれていたりします。Giles Johnston 氏は、SOP を参照することを事業活動に組み込むことを奨励しています。「SOP をトレーニングだけではなく、ミーティングに関連付けてください。通常、SOP の一部の要素はミーティングに関連しています。関係者の考え方を導けるよう、特にプロセス ミーティングに反映されるべきです。SOP は実施している作業と別にしたり、離れたところに置いたりするものではありません。実のところ、実施している作業と同義なのです。」 

Johnston 氏は、ミーティングに SOP の発表を組み込んだ会社について語ります。各シニア マネージャーにそれぞれ異なる SOP が与えられ、その SOP をミーティングでどのように適用するのかを要約して 4 分間で発表するよう求められました。「自覚していなかったか忘れていたことを再び職場に取り込むことは、面白い試みでした。」と Johnston 氏は言います。

彼はまた、新入社員が業務をこなせるようになるまでに 3 か月もかかっていた企業の例も挙げています。SOP に十分な画像を盛り込み、表現を明確にし、スキル マトリクスを追加したところ、新入社員は約 4 時間で業務をこなせるようになりました。

手順の例

手順書は、タスクを完了するために必要なステップ、特にプロセスやサイクルのステップを示します。通常は、手順内のステップ (サブステップが含まれている場合もあります) に連続した番号を割り当てます。通常、指示書に含めるステップは 7 つ以下に抑えます。以下に、業務用食洗器で皿を洗浄する手順の例を示します。

  1. 食洗器とシンクの間に水切りかごを置きます。
  2. 汚れた皿やカトラリーを水ですすいで、食べ残しをすべて取り除きます。しつこく残っているものがあれば、シンクの右上にあるスチール ウールたわしでこすって取り除きます。 
  3. 水切りかごに皿を入れます。ボウルとカップは下向きに入れます。
  4. 水切りかごがいっぱいになったら、食洗機の水を加熱します。スタート ボタンと注水ボタンを同時に押します。水が出始めたら、スタート ボタンからは指を離しますが、注水ボタンは温度計の針が黄色のゾーンの中央に来るまで押し続けます。 
  5. 水切りかごを食洗器にセットし、両扉を閉じます。 
  6. スタートを押します。食洗器から皿どうしがこすれるような音がする場合は、注水ボタンを押してさらに水を追加します。完了すると、食洗器は自動的に停止します。扉を開く際には、蒸気が吹き出し、皿が熱くなっていることがあるので注意が必要です。

ビジネスにおける SOP とは

SOP は、社内規格だけでなく業界標準や法的規格に従って作業を実施するために組織で使用する手順を詳細に説明します。手順書とは、文章か図か、紙かオンラインかにかかわらず、作業を実施する方法を解説した文書のことを指します。

標準的な作業手順が必要な理由

SOP は品質管理システムの重要な一部です。標準的な作業手順は、品質業務において繰り返し発生するタスクについて説明したものです。書面による SOP では、タスクを実行するために必要な方法を詳細に記しておくことで、エラーを削減できます。プロセスとトレーニング計画を更新した場合は、SOP も更新する必要があります。この手法に従うと、SOP はプロセスの変更を従業員に通知する手段になります。SOP は、品質に重大な影響を与えるプロセス (CTQ) に不可欠な場合があります。

標準的な運用手順の保存および公開と役立つツール

SOP は書式を整えるだけでなく、全員が簡単にアクセスできるように保管する必要があります。ソフトウェアが役立つ場合もあります。たとえば、ビジネス プロセス管理ソフトウェアを使用すると、手順をオンラインで保存し、使用状況を一目で追跡できます。文書の作成、評価、更新、公開に使用できる製品はいくつかあり、その一部を以下に紹介します。

  • Evernote
  • Hackpad
  • Pipefy
  • Process Street
  • SweetProcess
  • Wanderlust
  • WorkFlowy

標準的な運用手順の歴史的根拠

標準化と SOP は工業化の産物ですが、その中でも特に大事故を防ぐ取り組みの成果と言えるでしょう。1856 年にペンシルベニア州で起こった列車事故は、交差点に差し掛かった 2 台の列車の運転士たちが、運行規則についてそれぞれ異なる解釈に基づいて行動した結果、発生しました。世論の高まりによって手順書の標準化が進められ、現在の SOP が整備されました。この悲劇的な事故は、考慮されていないプロセスと非公式のコミュニケーションが問題を引き起こすことを示した一例です。この例はまた、いかにステップバイステップの手順によってプロセスが明確になるかということも示しました。

効果的な、自動化された標準的な運用手順およびワークフローを Smartsheet で作成する

ニーズに合わせ変化に対応できるようデザインされた、柔軟性のあるプラットフォームで、チームの能力を最大限に引き出しましょう。 Smartsheet プラットフォームなら、いつでもどこでも簡単に作業の計画、保存、管理、およびレポート作成が可能なため、チームはより効率的かつ効果的に仕事を進めることができるようになります。作業に関して主要なメトリックを表示したり、リアルタイムの可視性を提供したりするために、ロールアップ レポート、ダッシュボード、および自動化されたワークフローを作成する機能も装備されており、チーム メンバーをつないで情報共有を促進することが可能です。 やるべきことを明確にすると、チームの生産性と作業達成能力が向上します。ぜひこの機会に Smartsheet を無料でお試しください。

 

作業遂行に Smartsheet がフォーチュン 100 社の 90% 以上から信頼されている理由をご覧ください。

Smartsheet を無料で試す Get a Free Smartsheet Demo