スケジュール管理の目的や手法について徹底解説

この記事では、スケジュール管理の目的や手法、さらに活用事例と注意点まで、スケジュール管理の基本的な必要な情報について解説しています。

スケジュール管理とは?

プロジェクトのスケジュール管理とは、実行する必要がある作業、実行する必要がある順序、必要なリソース、リソースの配布方法、および作業のさまざまな部分にかかる時間を管理することです。スケジュールを管理する事で、プロジェクトマネージャーがチームメンバーや利害関係者と効率的にコミュニケーションを取り、協力しながら、プロジェクトを計画通り進めやすくなります。

プロジェクト管理の多くの側面と同様に、スケジューリングは反復的に行われます。スケジュールを作成するとき、プロジェクトマネージャーは予想する作業、タ​​イムライン、およびリソースを見積もります。ただし、この情報はすべて、プロジェクトの進行中に変更される可能性があります。通常、スケジュールはプロジェクトの初期段階で作成されますが、ライフサイクル全体を通じて参照されます。

スケジュール管理の重要性

適切にスケジュール管理を行うことで仕事の効率化が可能となります。仕事の実行スケジュールを決めておくことで無駄な「空き時間」が無くなり、プロジェクトの進捗状況を明確に把握することができるようになります。

また、プロジェクトが滞っている場合にどの段階で何が原因となっているのか確認することができるので、迅速に対応できるという利点もあります。メンバー全員が状況を共有することでプロジェクトが円滑に進めることができます。

スケジュール管理の目的

スケジュール管理の目的について説明します。

1. 仕事の効率化

スケジュール管理は計画的に効率良く仕事をこなすために欠かすことができません。英語の「schedule」の語源をたどると、「予定が書かれた紙片」がもともとの意味になります。

記録・管理されている予定がスケジュールです。

2. 進捗状況の明確化

スケジュールは進捗状況を判断する基準となります。明確なスケジュールが無ければそもそも作業が計画したスケジュールに対して進んでいるのか遅れているのか判断できません。遅延が発生している場合、何らかの対処を行う必要があります。遅延の程度に応じてどのように対応するかを、あらかじめ決めておくこともスケジュール管理です。

3. 共同作業の円滑化

プロジェクトのスケジュールを共有することで、チーム内の共同作業を効率的に進めることができます。

例えば、Aさんの作業の後工程としてBさんの作業がある場合、BさんはAさんの作業の進捗状況を確認しながら自分の作業の計画を立てる事ができます。

スケジュール管理の種類

実際にスケジュールをつくるコツとして、大きく2つの具体的な方法を紹介します。

1. 逆算型

期限から逆算してブレイクダウンしていく方法です。グランドスケジュールやロードマップといった大きいスケジュールから、そのスケジュールを達成するために必要な成果物・タスク一覧を作成し、その一覧に担当と期限つけて時系列に並べると詳細スケジュールを作成する方法です。

2. 積算型

積算型は細かいスケジュールから大きいスケジュールを積み上げていきます。まず、WBSや成果物タスク一覧から、タスクと成果物が全体でどれくらいあるかを把握します。それぞれのタスクに担当者と期限を設定して時系列に並べると詳細スケジュールができ、次にガントチャートで前後関係を見える形にして無理がないかをチェック。最後に、マイルストーンを設定してグランドスケジュールにするという方法です。

実際にスケジュールをつくる際には、逆算型、積算型のどちらかのみを選んで使うのではなく、どちらのツールも使ってつくったスケジュールを、両者を往復させてレビュー、検証します。これは、無理なスケジュールを組まないようにするためです。

スケジュール管理方法

スケジュールの作成を開始する前に、使用するスケジュールのタイプを決定する必要があります。プロジェクトの規模や複雑さ、管理するフェーズ、管理者の役職に応じて最適なタイプを選定しましょう。原則として、プロジェクトが複雑になるほど、スケジュールはより包括的でなければなりません。スケジュールが視覚的に管理されていると、チームメンバーや関係者が進捗状況を一目で判断するのにも役立ちます。

管理すべきスケジュールには3つのタイプがあり、下記の1から3にかけて難易度が高くなっていきます。

1. マスタースケジュール

このタイプのスケジュールは単純なプロジェクトに適しており、作業項目の基本リスト、タイムライン、およびカレンダーが含まれます。マスタースケジュールは、プロジェクトの初期計画段階で作成されます。これには、主要な成果物とアクティビティ、タスクの概要、および完了までにかかる時間が含まれます。 

マスタースケジュールはプロジェクトをシンプルで分かりやすく表現であるため、プロジェクトリーダー、利害関係者、およびチームメンバーとコミュニケーションを取るとき、またはプロジェクトリーダー、利害関係者、チームメンバーから賛同を得ようとするときに役立ちます。チームミーティングやブレインストーミングにも使用できます。たとえば、プロジェクトマネージャーは最初にこのタイプのスケジュールを作成し、チームメンバーと協力してより複雑なスケジュールに発展させることができます。

2. マイルストーンスケジュール

これはより高度なスケジュールであり、複数の主要な期限を持つ大規模なプロジェクトに最適です。これは「要約スケジュール」とも呼ばれ、通常、時間の経過とともにアクションをプロットする棒グラフを使用します。プロジェクトマネージャーに重要なマイルストーンのスナップショットを提供し、通常はプロジェクトのライフサイクル全体で使用されます。

ガントチャートは、より包括的なプロジェクトのスケジュールを可視化するための最も一般的なツールの一つです。ガントチャートは、プロジェクトのタスクとそれらを完了するために必要な時間を表す2次元の棒グラフです。プロジェクトの開始日と終了日を、このチャートのマイルストーンで注目します。このようにして、マネージャー、チームメンバー、および利害関係者は、個々のタスクとマイルストーンへの進捗状況を追跡し、プロジェクト全体の実際の進捗状況を、推定、または「ベースライン」の日付と比較できます。 

3. 詳細なプロジェクトスケジュール

これは、大規模で複雑なプロジェクトに最適な詳細なスケジュールです。また、プロジェクトのライフサイクル全体で使用できます。プロジェクトの複雑さに応じて、スケジュールはステージまたはフェーズに分割され、それぞれに独自のサブスケジュールがある場合があります。 

プロジェクトマネージャーは詳細なスケジュールを使用して次のことを行います。

  • 毎日、または毎週の作業を追跡および管理する
  • ステークホルダーに進捗状況を伝える
  • 作業項目間の関係(または「依存関係」)を識別、追跡、および計画する
  • リソース、作業項目、または期限に対する制約を特定、追跡、および計画する
  • リソースをより効果的に管理してプロジェクトを軌道に乗せる 

PERTチャート(「ネットワーク図」、「ネットワーク分析図」、または「アクティビティネットワーク」とも呼ばれます)は、詳細なスケジュールを視覚化するためによく使用されます。ガントチャートは単にタスクとマイルストーンを経時的にプロットするものですが、PERTチャートはタスクとマイルストーンのネットワーク、およびそれらの間の依存関係を経時的に示します。 

 

PERTチャートのサンプル図

PERTチャートまたは図は、多くの場合、先行と後続の関係を示すために矢印を使用します(たとえば、タスクAは先行タスクであり、タスクBを開始するために実行する必要があります。後続タスクであるタスクCは、タスクAとタスクAの両方まで開始できません。 Bは完全です)。これらの関係を描くことは、依存関係と制約を識別するのに役立ちます。

もちろん、使用するスケジュールと視覚化のタイプは、最終的にはチームや利害関係者とのコミュニケーションに最適なものに基づいています。

スケジュール管理のポイント

プロジェクトマネージャーは定例会議や朝会、あるいはメールやプロジェクト管理ツールでプロジェクトがスケジュールどおりに進んでいるか日々の進捗を把握し、遅延や新たなタスクの発生など、計画したスケジュールからの変更が起こったときには速やかに次のような対策を検討して、影響を最小限にします。

1. 統合

複数のタスクが同時に進行している場合、それをまとめて1つのタスクにすることを統合といいます。例えば、開発に遅れが生じている場合、計画では開発の次にするはずだったテストを、開発と同時進行(開発とテストを1つのタスクにまとめる)で行い、期限に間に合わせるようにします。

2. 分割

遅れが生じているタスクを複数のタスクに分けることを分割といいます。1人に任せているタスクがボトルネックになっている場合、人員を増やしてタスクを分割し、スピードアップを図ります。

3. 前後調整

前後調整とは、前後のタスクを組み替えることでマイルストーンや期限に間に合わせることをいいます。

このほかにも、想定外の遅延やできているはずの成果物が提出されないなど、プロジェクト全体に明らかに影響を及ぼす危険があると認められる場合には、プロジェクトマネージャーは進捗確認のタイミングを短くし、状況をこまめに把握するようにしましょう。

スケジュール管理の注意点

現実とかけ離れた根拠や正確性に欠けるスケジュールを立てると、進捗も遅れてしまいます。必要な技術がなければタスクを消化する時間がかかるため、必然的にスケジュールを圧迫してしまいます。

また、何か新しいツールを導入することでスケジュールが狂うケースもあります。新しい取り組みに対して環境が整っていないのに導入するケースが多いです。

それを防ぐ方法として、多くの企業で既に導入されているExcelのテンプレートを活用したスケジュール管理があります。

マネージャーの主な役割はプロジェクト全体の進捗を管理し、遅れ分を修正することです。自分が現場のタスクを担うのではなくメンバーとコミュニケーションを取り、円滑にプロジェクトを進めなければなりません。

そもそもプロジェクトマネージャーがプロジェクトの適切な管理方法を実施できているかどうかが重要です。もし、プロジェクト管理を効率的に実施できていないのであれば、管理方法を学んで効率化を図らなければなりません。

体系的なプロジェクトの管理手法を学ぶためには「PMBOK」の内容を把握すると良いでしょう。PMBOKは「Project Management Body Of Knowledge」の略で、プロジェクト管理に必要なノウハウや知識をまとめたものです。

管理者は現場を最適化する役割を担いますが、同時に効果的な方法を模索しなければなりません。

まとめ

プロジェクト管理におけるスケジュール管理の目的と手法、活用事例、注意点について解説してきました。

スケジュール管理は計画的に効率よく仕事を進めるためには必須です。プロジェクトのマイルストーンをチェックポイントとしてスケジュールを作成し、スケジュール管理を運用していきます。しかし、プロジェクトは不確実な要素が多く、状況も日々変化するのでスケジュール管理には困難も伴います。

プロジェクト管理ツールを利用することによってスケジュール管理を効率化しプロジェクトを順調に進めて下さい。

プロジェクト管理の本来の定義を確認したり、どのような管理方法がふさわしいのか、もう一度立ち戻って理解したいという方は、プロジェクトマネジメントの全体の概要をこちらの記事にまとめています。是非ご覧ください。

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