ガント チャート ガイド

By Diana Ramos | 2019年2月6日

この記事では、ガント チャートの詳細な定義、開発の経緯、およびさまざまな業界でガント チャートを使用するメリットなど、ガント チャートについて知っておくべきすべてのことを説明します。

このページでは、ガント チャートの目的ガント チャートの主な構成要素のリスト、ならびに各業界で使用されているガント チャートの種類の概要を紹介します。

 

ガント チャートとは

ガント チャートは、プロジェクトがどのように進捗しているか、予定通りに進んでいるかどうかをよりよく理解できるように、プロジェクトの個々のタスク、依存関係、リソース、および残りの作業を追跡する、プロジェクトのタイムライン ビューです。

ガント チャートは 2 つの軸で構成されており、垂直軸はタスクの数量を、水平軸は時間を示します。水平軸に表示される時間は、プロジェクトの提案された開始日と終了日に基づいています。

ガント チャート内の各タスクは、水平軸に沿って伸びるバーで表されます。バー、つまりタスクは、同時に完了できるタスク、タスクの完了予定日、および完了したタスクの割合を識別するのに役立ちます。

ガント チャートのバーが一列に並んでいる場合、これらのタスクは同時に完了でき、相互に依存しないことを意味します。これは並列タスクと呼ばれることもあります。チャート上のバーが一列に並んでいない場合は、将来のタスクを開始する前に、前のタスクが完了している必要があることを意味します。これらのタスクは依存タスクまたは依存関係と呼ばれます。

ガント チャートを使用すると、関係者は提案されたロードマップを確認できるため、すべてのプロジェクト要素を最初から最後まで簡単に確かめられます。マーケティング キャンペーンからソフトウェアの展開に至るまで、さまざまなプロジェクトのプロジェクト マネージャーは、プロジェクトのタスク、スケジュール、およびリソースを管理するためにガント チャートを頻繁に使用しています。

ガント チャートは、その有用性からプロジェクト管理で最も人気のあるツールの 1 つと考えられており、以下に挙げる構成要素を追跡する上でも役立ちます。

  • プロジェクト全体の進捗状況

  • タスクとアクティビティの完了

  • 個々のタスクの進捗状況に基づく、プロジェクトの残りの作業量

  • それぞれのプロジェクト タスクが属する作業フェーズ

  • 各タスクを担当するチーム メンバー

  • 開始日と終了日に基づくタスク期間

  • 並列タスクと依存タスク

さらに、さまざまな色、網掛け、記号、およびその他の表記により、完了済み作業の割合、マイルストーン、依存関係、期限切れのタスクを示すことができるため、この視覚的なチャート上でプロジェクトをわかりやすく表現するのに役立ちます。たとえば、プロジェクトの重要なマイルストーンを示すためにアスタリスクや星印が使用されることがあります。これにより、マイルストーンが近づいていること、およびマイルストーンに至るまでのタスクをすべてのスタッフが認識できます。

ガント チャートのメリット

ガント チャートは多くの業界や役割で使用されており、事前に定義されたタイムラインに対して個々のタスクをプロットすることで、プロジェクトのスケジュールを視覚的に示します。プロジェクト マネージャーは、プロジェクトが時間通りに完了するよう、タスクの整理、優先順位付け、および追跡を行うためにガント チャートを頻繁に利用しています。

ガント チャートの重要性と有用性については、「プロジェクト管理におけるガント チャートのメリットと制限事項」の記事をご覧ください。

 

ガント チャートの構成要素

ガント チャートには重要な構成要素が多数あります。それらを含めることで、特定のタイムラインに照らしてプロジェクト タスクを正確かつ効果的に追跡できます。ガント チャートの構成要素として以下のものが挙げられます。

  • タイムライン: プロジェクトを構成しているすべてのタスクを含めた、プロジェクトの開始から完了までに要する時間。

  • アクティビティ: ソフトウェア開発スプリントやマーケティング キャンペーンの開始など、完了させるプロジェクト アクティビティの種類。

  • 先行タスク: 他のタスクを開始する前に完了させる必要があるタスク。

  • 依存関係: タスク間の関係を表します。

  • 推定所要時間または期間: 各タスクに要する時間。これはタイムライン上のバーの長さで示されます。

  • マイルストーン: 実現すべき顕著な進展や守るべき重要な期限を示す、プロジェクトの重要ポイント。

  • 予想時間: プロジェクトを完了させるために要する理想的な時間の長さ。

  • 実際の時間: プロジェクトを完了させるために実際に要する時間の長さ。

  • タスクおよびタスクの進捗状況: プロジェクトを構成する各要素と、それぞれを完了させるのに要する時間。

  • 開始日: プロジェクトまたはタスクの開始日。

  • 終了日: プロジェクトまたはタスクの終了日。

  • 担当者またはリソース: タスクまたはプロジェクトの責任者。

  • タスクの関係: 時間とリソースの観点から見た、タスク間の相互関係。

  • サマリー タスク: 多数のサブタスクを含む包括的なタスク。

  • 予定労力: タスクまたはプロジェクトを完了させるために必要なリソースの数と時間の長さ。

  • 完了率: 特定の時点で完了したプロジェクトまたはタスクの量。

ガント チャートの種類とガント チャート テンプレート

ガント チャートは、規模、部門、業界など、プロジェクトに固有のニーズに基づいてカスタマイズできます。フォーマット済みのガント チャート テンプレートを利用して、自分のプロジェクトにとって最も効果的なガント チャートを作成することもできます。

たとえばソフトウェア開発者は、新製品の開発や既存製品のアップグレードを計画および追跡するのに役立つガント タイムライン テンプレートを使用することで、製品プロジェクトを開始できます。建設プロジェクト マネージャーも同様に、多数の変動要素を伴う厳密で時間に制約されるタイムラインに従う必要があるため、ガント チャート テンプレートによる建設プロジェクト タイムラインに関心を寄せるでしょう。

ガント チャート テンプレートの詳細と、さまざまな業界に必要なすべてのテンプレートの入手については、Excel やその他のツール用のガント チャート テンプレートのページにアクセスしてください。

 

最適なガント チャート ソフトウェアの選択方法

ソフトウェア ツールを活用してガント チャートを作成すると、プロジェクトとその後のすべてのタスクについて、計画立案とスケジューリングに要する時間と労力を大幅に節約できます。ただし、ガント チャート ソフトウェアを評価する際に考慮すべき重要な詳細がいくつかあります。考慮すべき機能として、以下のものが挙げられます。

  • 日常のワークフローに統合し、既存のツールやプロセスに簡単に適応することができる。

  • プロジェクトのタイムラインと相性の良い、シンプルかつ直感的なガント ビューが含まれている。

  • タスクの完了、期限を過ぎたタスク、過剰に使用されているリソースに関するリアルタイムの最新情報を把握できる。

  • プロジェクトのニーズに応じた完全なカスタマイズが可能で、マイルストーンや優先順位付けされたタスクを作成および変更する機能が備わっている。

  • Mac と PC の両方で使用でき、すべてのクラウド サービスと同期できる。

  • チーム メンバーや主要な関係者間で共有して、可視性を高めることができる。

  • 学習、使用、閲覧が簡単である。

  • ファイルのインポートとエクスポート、および追加ドキュメントの添付に加え、ガント チャート内でコメントを直接追加することが可能である。

  • リモート アクセスと共同作業が可能である。

  • ビデオ チュートリアルやオンライン トレーニングなど、役立つリソースが提供されている。

適切なガント チャート ソフトウェアを選択する際に考慮すべきすべての主要機能について詳しくは、こちらのページをご確認ください。

 

ソフトウェアによらないガント チャートの課題

ガント チャートは、タイムラインの変更、タスクの追加、およびチーム メンバーとの共同作業が可能で、適応性が高く更新が容易なソフトウェアで使用すると最も便利です。ソフトウェア ベースではないガント チャートを使用する場合、以下のようなさまざまな課題が発生する可能性があります。

  • 元のガント チャートを作成した後、変更や更新があっても簡単に適応できないため、チャートの読み取りと把握、およびチャートに関する話し合いが困難。

  • 新しいタスクや日付が追加されても、グラフのサイズやフォーマットを変更することができない。

  • 時間と日付にラベルを付けたり、ガント チャートにメモや添付ファイルを直接追加して、詳細の前後関係を把握できるように維持したりすることが困難。

  • 一回限りのチャートが他の場所に出回っている可能性があるため、最新バージョンのチャートで作業しているかどうかがわからない。

  • 社内外の関係者がリアルタイムでアクセスできないため、共同作業が阻害される。

ガント チャートの歴史

ガント チャートは 1890 年代半ばにカロル・アダミエツキ (Karol Adamiecki) によって最初に作成され、その後 1900 年代初頭にヘンリー・ガント (Henry Gannt) がガント チャートと名付けました。現在では、チームがプロジェクトを追跡および管理するのに役立つプロジェクト管理ツールとして幅広く使用されています。

 

最初のガント チャートは、ポーランドの経済学者兼エンジニアのカロル・アダミエツキによって 1890 年代半ばに考案されました。アダミエツキはこの新しいチャートをハーモノグラム (Harmonogram =「スケジュール」という意味) と名付けて発表しましたが、ポーランド語によるものであったため、幅広く用いられるには至りませんでした。しかし、チャートの有用性が損なわれることはありませんでした。

その後 1912 年になると、スイスの土木技師であるヘルマン・シュルヒ (Hermann Schurch) は、アダミエツキが 1800 年代後半に考案したガント チャートの概念を応用し、当時関わっていた建設プロジェクトに適用しました。その時点でガント チャートにはまだ名前がありませんでした。このチャートは時間に対してタスクをプロットしたものであり、プロジェクトを順調に進めることを目的とした、ドイツ流の定型的な構造化されたアプローチに主として基づいていました。

1910 年から 1915 年にかけ、アダミエツキとシュルヒのプロジェクト スケジュールを土台として、ヘンリー・ガントというアメリカの機械エンジニアが独自のバージョンを考案しました。ガントはこの新しいチャートを英語で公開し、より多くの人が簡単に利用できるようになりました。

ガントは、チームとリソースにとってタスクを可能な限りシンプルかつ直感的なものにすることを目指しましたが、プロジェクトが厳格なタイムラインとさまざまなリソースに大きく依存している製造業を特に視野に入れていました。

作成者にちなんでガント チャートと名付けられたこの種の視覚的なチャートは、有名なケースで用いられたことで脚光を浴びます。ガント チャートが初めて大規模に使用され、その活用が重要な意味を帯びたのは第 1 次世界大戦中のことでした。アメリカ陸軍武器科長のウィリアム・クロジアー (William Krozier) 将軍がヘンリー・ガントを雇い、ガント チャートをはじめとする効率的なプロセスを使用して軍需品の工業生産を増大させたのです。

その後ガント チャートは、1931 年のフーバー ダムの建設や 1956 年の米国州間高速道路網の構築など、重要かつ時間的制約のある同様のプロジェクトでも使用されました。ウォレス・クラーク (Wallace Clark) は『The Gantt Chart, a Working Tool of Management (原題)』というタイトルの書籍を執筆し、その中でガント チャートについて説明するとともに、ビジネスにとっての効率性を論じています。

しかし、ガント チャートの使用は米国だけに留まることはありませんでした。ガント プロセスの熱心な信奉者であるワルター・ポラコフ (Walter Polakov) は、1929 年にソビエト連邦でガント チャートを活用し、国民経済最高会議と共同で第 1 次 5 か年計画を策定しました。

本来ガント チャートは、紙に手書きで作成するか、磁石のブロックを用いてそれぞれのタスクを示す必要がありました。これはプロジェクトのタイムラインをプロットするのに役立ちましたが、プロジェクトのタスクが更新されたり、タイムラインが変更されたりするたびに、チャート全体を完全に描き直すか、フォーマットし直す必要があることも意味します。

多くのプロジェクトは流動的で、ライフサイクルを通じて大規模な変更が加えられるため、ガント チャートの有用性は限られていました。複雑かつ精巧なチャートの作成が簡単になり、ガント チャートが幅広く使用されるようになったのは、パーソナル コンピューターが発明された 1980 年代になってからでした。

1990 年代の終わりには、インターネットの普及によって共同作業がさらに促進され、ガント チャートをチーム、部門、リソース間で作成、編集、および共有することが可能になったため、Web ベースの多数のアプリケーションやツールに搭載される人気の機能となりました。

その証拠として、ガント チャートは 1999 年にロバート・クライン (Robert Klein) によって「プロジェクトのスケジューリングと管理で最も広く使用されている管理ツールの 1 つ」と認められ、すべてのプロジェクト マネージャーにとって不可欠なツールであるという地位を確立しました。そして 2012 年までに、ほぼすべてのガント チャートがソフトウェアで作成されるようになり、プロジェクト マネージャーはガント チャートをゼロからフォーマットし直したり作成し直したりすることなく、スケジュールの変更を簡単に調整し、作業効率を向上させることができるようになりました。

ガント チャートの使用者と、ガント チャートが効果的である理由

ほとんどの場合、ガント チャートはプロジェクト マネージャーによって、各プロジェクトの生産性と効率性を高めるために使用されます。ガント チャートは、プロジェクト マネージャーが製品の発売を計画したり、マーケティング キャンペーンを綿密に計画したり、クライアントへの成果物の概要などを作成するのに役立ちます。

ガント チャートは、大規模なプロジェクト、小規模なプロジェクト、単純なプロジェクト、複雑なプロジェクトに使用され、業界や職種に固有のものではありません。さらに、ガント チャートは誰でも使用できます。ガント チャートの主なユーザーはプロジェクト マネージャーですが、以下のような人々も職場でガント チャートを活用しています。

  • オペレーション、スケジューリング、財務、マーケティングに携わるマネージャー

  • プロジェクト スポンサー

  • CEO、CTO、CIO などの経営幹部

  • IT およびソフトウェア開発チーム

  • リモート チーム

ガント チャートは非常に汎用性が高く、ほぼすべてのプロジェクトに適用できます。そのため、ほとんどの人がプロジェクトとすべての構成タスクをより簡単に、視覚的な形で、効率的に計画および追跡できると考えています。また、指定されたプロジェクト マネージャーだけでなく、チーム内の全員がプロジェクトを管理できるため、チームはより迅速に作業を完了できます。

ガント チャートの用途

ガント チャートは各業界においてさまざまな方法で使用できるため、プロジェクト管理リソースとして非常に人気があります。具体的に言えば、ガント チャートは建設、イベント計画、ソフトウェア開発などで使用できます。各業界におけるチャートの使用方法は以下の通りです。

  • 建設: 大半の建設プロジェクトは固定的で時間的制約があるため、建設チームと PM が構造化されたタイムラインを作成したり、依存タスクを決定したり、リスクが現実のものとなる前にそれを特定したりする上でガント チャートが役立ちます。それにより、プロジェクトを予算内で時間通りに、契約の制約内で完了させることができます。

  • イベント計画: イベント計画には多数の変動要素と厳しい期限が伴いますが、ガント チャートによってすべてのスケジュール調整を管理し、イベントに至るまでのタスクと当日のタスクを視覚化するとともに、ベンダー、スタッフ、クライアントなど、該当するすべての関係者に最新情報を提供することができます。

  • ソフトウェア開発:ガント チャートを使用し、すべてのタスクと、各タスクを完了させるために必要なリソースの概要を視覚的に表示することで、チームはスプリントを計画したり、展開を追跡したり、プロジェクトのすべての反復を調整したりすることができます。

前述の用途に加えて、ガント チャートは次の業界でも活用されています。

  • 医療/ヘルスケア

  • 政府

  • 公共事業

  • 石油、ガス、エネルギー

  • 金融

  • 専門サービス

  • エンジニアリング

  • 建築

  • マーケティング

  • 製造

  • 通信

  • インフラストラクチャ

  • 軍隊

ガント チャートに関連するアイテム

ガント チャートは、依存タスク、リソース、およびチームのスケジュールといったあらゆるプロジェクト要素を、プロジェクト マネージャーとチーム メンバーの両方が計画、管理、追跡するのをサポートする重要なプロジェクト管理機能です。 ガント チャートに加えて、プロジェクトを開始から終了まで管理するのに役立つさまざまなプロジェクト管理ツールがあります。 そうしたツールの一覧とそれぞれの簡単な説明については、『Project Management Tools (プロジェクト管理ツール)』の記事をご確認ください。

各ツールの詳細、テンプレート、ベスト プラクティスのヒントについては、以下のページをご覧ください。

  • かんばんボード: タスクをバックログ、進行中の作業、完了などさまざまな段階に分割することで、チームがワークフローを表示、管理、および整理できるようにする視覚的な作業管理手法です。

  • プロジェクト タイムライン: ビジネス レポートから学年のカリキュラムまで、重要なイベントを追跡してスケジュールを管理することができるよう、タイムライン上に特定のタスクをプロットする方法です。

  • 作業分解構成図 (WBS): プロジェクト全体の目標とスコープに基づいてプロジェクトのタスクを個別の成果物に分割し、そうしたプロジェクト タスクによって構成されている作業の階層を示します。

  • PERT チャート: 複雑なプロジェクトに含まれるタスクを分析および追跡し、時間の推定と利用可能なプロジェクト リソースを評価するためのツールです。通常はクリティカル パス法 (CPM) と併用されます。

Smartsheet のリアルタイム ガント チャートでプロジェクトの可視性を改善する

シンプルなタスク管理やプロジェクト プランニングから、複雑なリソース計画やポートフォリオ マネジメントまで、Smartsheet は共同作業の改善と作業速度の向上に役立ち、より多くの成果を上げるのに効果的です。 Smartsheet プラットフォームなら、いつでもどこでも簡単に作業の計画、保存、管理、およびレポート作成が可能なため、チームはより効率的かつ効果的に仕事を進めることができるようになります。作業に関して主要なメトリックを表示したり、リアルタイムの可視性を提供したりするために、ロールアップ レポート、ダッシュボード、および自動化されたワークフローを作成する機能も装備されており、チーム メンバーをつないで情報共有を促進することが可能です。 やるべきことを明確にすると、チームの生産性と作業達成能力が向上します。ぜひこの機会に Smartsheet を無料でお試しください。

 

シンプルで使いやすいプラットフォームで、従業員、プロセス、ツールをつなげましょう。

Smartsheet を無料で試す Get a Free Smartsheet Demo