究極の IT ダッシュボード: 専門家の回答

By Diana Ramos | 2016年7月15日

最高情報責任者 (CIO) と IT リーダーは、ビジネス変革の最先端に立っています。 テクノロジーは、サポート サービスから多くのビジネスの原動力へと進化してきました。 業界に関わらず、組織の主要な戦略的優先事項と一致している CIO は、より多くの価値を提供し、進歩を加速させる機会を得ています。

このプロセスにおいて、主要なメトリックを 1 つのスナップショットにまとめた IT ダッシュボードは重要なツールです。 IT 組織のパフォーマンスを明確に把握していないと、改善が必要な部分や、どのようなソリューションが有効かを特定できません。

この記事では、IT の専門家から、究極の IT ダッシュボードはどのようなものなのか、またその理由について意見を集めました。 彼らは今後を見据えており、将来の IT ダッシュボードに何が必要かを検討しています。 今日の IT リーダーにとってダッシュボードは不可欠なツールであると CIO たちは同意しています。

「結局のところ、自分の組織で何が役立つのかを判断するのは自分自身です。しかし、必要なデータを用意せず、事実ではなく直感に基づいて組織を率いることは良い選択とは言えません」と、Klipfolio の開発ディレクターである Alireza Pourshahid 氏は述べています。

IT ダッシュボードの起源と主要な基準

最初に、ダッシュボードとは何かということと、その起源を明確にしましょう。 ビジネス ダッシュボードの概念は、1970 年代の意思決定サポート システムの登場とともに生まれ、1990 年代のインターネット ブームで本格的に形成されました。 企業は、組織全体に配置された情報システムからデータを収集し、統合するようになりました。

当初は手作業が多かったこのプロセスは、洗練されていきました。 一部の企業は、データをダッシュボードにまとめるために独自のアプリケーションを開発しました。今もそのアプリケーションに依存している企業もあります。 しかし、現在では、ソフトウェアや SaaS (サービスとしてのソフトウェア) など、多くの既成のソリューションが一般的に使用されています。

PwC の チーフ テクノロジストである Chris Curran 氏によると、IT ダッシュボードの重要な特徴として以下の 5つを挙げています:

  • 1 ページの長さ
  • 読みやすさ
  • デコード不要なデータ
  • 正確
  • 最新 (必ずしもリアルタイムではありません)

 

ダッシュボードと スコアカード

ダッシュボードとバランス スコアカードは同じ意味で使われることの多い言葉ですが、その関係について考えることが重要です。 スコアカードは特定の戦略目標に対する進捗状況を測定することに、ダッシュボードはリアルタイムのパフォーマンス測定に焦点を当てます。

多くの組織が両方の種類の情報を見たいと考えているため、両者の区別はあいまいになっています。 歴史的には、違いは以下のようになります:

 

Dashboard vs Scorecard Chart

 

最も影響力のある IT ダッシュボード

最も有名な IT ダッシュボードといえば、おそらく米国連邦政府のものでしょう。 2009 年に発表されたこのダッシュボードでは、26 の機関による 7,000 を超える連邦政府の IT 投資と、予算やスケジュールに対するパフォーマンスなどの進捗状況を確認できます。

ダッシュボードの作成により、政府の IT プログラムの透明性と説明責任が高まりました。 2011 年、ホワイトハウスが IT ダッシュボードのソフトウェア コードをオープンソース ライセンスでリリースしたことで、このイニシアチブは大きく影響力を持って前進しました。 これにより、このツールは、IT プログラムのコスト効率と効果を高めようとする他の政府や民間企業の模範となりました。

政府の IT ダッシュボードのオープンソース化に取り組んだ Karl Fogel 氏は、Civic Commons の投稿において、「ダッシュボードの魅力は、多くの上級管理者が問題の早期発見に役立つと感じる説明責任のベースライン レベルを設定できることですが、プロジェクトに最も近い人、つまり概要を作成する責任者に大きな負担をかけすぎないようにできることも魅力的です」と書いています。

IT ダッシュボードを作成する前に自分の目的を知る

効果的なダッシュボードを作成するには、その目的を明確にする必要があります。 多くの場合、企業にはデータが溢れているため、意味のあるデータとノイズを切り離すことが重要です。 目標によって、最も意味のあるデータは異なりますが、IT ダッシュボードには通常、問題がどこにあるかを明確にするのに役立つ限定的なデータ セットが必要です。 CIO が求めるメトリックには、重要なサポート リクエストをクローズするまでの時間、システム ステータス、部門別プロジェクト パイプラインなどが含まれます。

将来の結果と密接に相関するメトリックからは予測値が得られるため、非常に実用的です。 ラグのあるインジケーターの中にはインサイトが得られるものもありますが、実用性が低い場合もよくあります。 たとえば、変更リクエストの数を監視することで、保留中のリソース需要が浮き彫りになり、CIO がトリアージを行うことができます。 コスト超過やマイルストーンの未達を測定することで効果を文書化できますが、結果が変わることはほぼありません。

IT ダッシュボードで満たされるニーズの一部を以下に示します:

  • 目標に対する進捗状況の把握
  • 上級管理職が設定した目標の追跡
  • IT が企業に提供する価値の文書化
  • IT 全体で何が起こっているかの概要
  • リアルタイムの意思決定をサポートする情報の提供

目標に応じて、ダッシュボードの内容はまったく異なる場合があります。 たとえば、IT 部門と企業目標を一致させることに重点を置いている場合、広範なコスト削減キャンペーンを IT 従業員の目標に対応させて、部門予算を削減できます。 関連するダッシュボード インジケーターとして、関連するイニシアチブの完了率や、さまざまなチームの進捗状況を示すヒート マップなどがあります。

また、IT 部門のポートフォリオ管理を監視する CIO ダッシュボードでは、プロジェクト構成、プロジェクトの順序、実行パフォーマンスに関連するメトリックを取得できます。たとえば、ポートフォリオを短期、中期、長期のプロジェクトに分割した円グラフ、プロジェクトの負荷がどの程度予定通りに予算内で遂行されているかを示すスナップショット、緑/赤/黄のプロジェクト ステータス インジケーター、問題解決率などが含まれます。

必要なものを正確に測定できるようなデータを収集しましょう。 ダッシュボードにはインプットと同じだけの価値しかありません。 要するに、IT ダッシュボードを作成する前になぜ IT ダッシュボードを作成するのかを知る必要があります。

ダッシュボードを作成する際のその他の重要な検討事項として、対象者の理解や情報の利用方法などがあります。 IT マネージャー向けですか?他の部門向けですか?上級管理職向けですか? 携帯デバイスで IT ダッシュボードを確認する場合は、作成する際にそれを念頭に置いておきましょう。 モバイルの画面は小さいため、デスクトップや紙に表示される画面とは異なるフォーマットにする必要があります。

今日の IT ダッシュボードは何を測定すべきでしょうか?

IT ダッシュボードに関する専門家の考えを伺いました。 IT ダッシュボードの重要性、有用な情報を特定するための戦略、作成する際に便利な考え方など、あらゆることを検討しました。 多種多様な従来のダッシュボードをハイブリッドに組み合わせたものが最適なソリューションとなる場合もあります。

PwC の Chris Curran 氏は、以下の 4 種類の IT ダッシュボードを提唱しており、理想的なダッシュボードでは複数の特徴が組み合わせられている場合もあるとしています。

  • プロジェクトごとの支出や、プロジェクトごとのリスク/リターンなどのゲージを見ることができるポートフォリオ ダッシュボード (前述した連邦政府のダッシュボードと同様)。
  • カスタマー サービスの改善や CRM システムのパフォーマンスなど、IT 機能の強化などの目標に焦点を当て、IT メトリックとビジネス メトリックの間のリンクを見ることができるリンケージ ダッシュボード
  • サービスに関するメトリックを社内の顧客に提示するサービス ダッシュボード (たとえば、ヘルプ デスクのチケットをクローズするまでの平均時間、バグ修正リクエストの数など)。
  • コスト削減やコア スキルの訓練を受けたスタッフなど、3 ~ 5 つの改善目標に基づく改善ダッシュボード

ヘルスケア プロバイダーに電子患者記録などの情報システムを提供しているカナダの Manitoba e-Health の元 CIO でコンサルタントの Roger Girard 氏は、顧客重視の IT 部門が社内のビジネス ユニットにサービスを提供するためにはダッシュボードが不可欠だと述べています。 「彼らの満足度が、あなたの未来を左右するのです。 クライアントに信頼されれば、より多くの予算で、より多くのことを行うことができます。 したがって、常に可能な限り最高のサービスを提供していることを定量的に証明する必要があるのです」

最優先事項は、IT ダッシュボードに顧客満足度や対応率、解決率など、IT システムのユーザー エクスペリエンスをリアルタイムで示すインジケーターを含めることです。 「顧客は手間のかからない体験を受ける権利があります。 これがあなたの責務です」と、Girard 氏は 付け加えました

また、Girard 氏は、ダッシュボードには、問題や問題の集まりを監視するシステム インジケーターが含まれるべきであり、IT スタッフが問題の修正と強固なシステム パフォーマンスの維持に責任を持つ必要があると考えています。 最後に、彼は全体的な組織目標と強く関連しているビジネス インジケーターについて主張しました。 たとえば、Girard 氏が製薬メーカーの CIO として働いていた当時、注文を受け取り、処理し、遂行するスピードは、IT 部門と強く結びついていた上に、全体のミッションにとって重要でした。

「単なるバックエンド ユーティリティではなく、IT 部門が会社とつながることが重要です。 このサービスはビジネスの成功に不可欠です」と Girard 氏は述べています。

 

イギリスの伝説的な IT の第一人者である James Martin 氏は IT ダッシュボードを広める活動をしていますが、ほとんどの IT ダッシュボードは、それを推進するプロセスではなく、アウトプットの測定にしか焦点を当てていないと語りました。 「車のダッシュボードに例えると、さまざまなダイヤルや警告灯はあるが、ステアリング ホイール、足回り、スイッチがないようなものです。 確かに、何が起こっているかを確認することができますが、コントロールすることはできません。 ただ車に乗っているだけです」と、Martin 氏は述べています。 「これはメトリックについてよく発生する問題の 1 つです。 南に向かって時速 45 マイルで進んでいると経営陣に伝えた後、東に向かって時速 60 マイルで進むように言われたとします。 メトリックはあなたが望まれた仕事をしていないことを明らかにしますが、方向転換と加速を同時に行うのは難しいでしょう。 そのため、コントロールできない場合、優れた一連のメトリックは両刃の剣となる可能性があります」

ほとんどのダッシュボードには、金銭、サービス提供、問題領域、リスクを監視するインジケーターが必要だと彼は述べています。 そのため、予算を追跡したり、障害やセキュリティ違反などのインシデントを追跡したりすることが重要です。 さらに、少なくとも最初のうちは、小さなメトリックに焦点を当てるよう主張しています。それらのメトリックは、すでに積極的に使用されている情報と、使用したいがまだ追跡していない情報で構成されている必要があります。

金融サービス情報プロバイダー BAI の CIO であるCarol J. Skarlat 氏は、今日の IT ダッシュボードはシステム パフォーマンスとアップタイムの統計、プロジェクト マイルストーン、リソースの負荷、予算のパフォーマンスを示す必要があると考えています。 ユーザー システムや Web サイトの場合、ダッシュボードにはピーク時のパフォーマンス時間、ユーザー アクセス数、ページ閲覧数とサイト滞在時間、Google アナリティクスが含まれている必要があります。 「ダッシュボードは、システムの障害、システム別の未解決バックログ、全体的なロードマップも一覧化する必要があります」と Skarlat 氏は述べています。

将来の IT ダッシュボードはどのようなものでしょうか?

将来を見据えて、Skarlat 氏は、IT リーダーはもっと複雑さに備える必要があると述べています。「メトリックが減ることはないでしょう。増えるだけです。 モバイル サイトのようなテクノロジーの変化に伴い、CIO はダッシュボードを絶えず見直し、進化させなければなりません。 資本と経費の見積もりを含む 3 年分のテクノロジー ロードマップを作成すると、企業が投資の優先順位を決定するのにも役立ちます」

「より多くのデータを生成しようとすると、量と速度が課題になります。 メトリックを追加することは難しいでしょうが、将来の嵐に乗り切るために、より多くのデータを集め、より多くのメトリックを用意することが必要になります」と、Klipfolio の Alireza Pourshahid 氏は語りました。 「より多くのメトリックを用意する場合、例外管理と通知が非常に重要になると思います。 ウォールボードに対応しているだけでなく、Slack などの共同作業ツールにレポートを送信できるツールを見つけることが重要です」

将来の IT ダッシュボードで克服すべきデータ統合の課題

将来を見据えて、IT リーダーたちは、IT ダッシュボードの最大の課題の 1 つは社内のアプリケーションとクラウド ソリューションの両方に存在する多種多様なビジネス システムのデータを統合することであると同意しました。 すべての情報を抽出してスプレッドシートにマージするのではなく、シームレスに結びつけるようにしましょう。それができなければ、IT ダッシュボードの実用性と最適な意思決定が限定されてしまいます。

データに基づく世界において、データはアクセス可能で統合されていなければ役に立ちません。 「監視したい他のシステムは常にあるため、さまざまな API やシステムと統合でき、異なるデータ形式を取り込む機能を備えた監視システムを見つけることがますます重要になります」と Klipfolio の Pourshahid 氏は述べています。

Girard 氏は、多数の企業の何百ものアプリケーション、何千ものサーバーやソフトウェアを扱う大規模な医療機関の例を挙げています。 これらのさまざまなソースからのメトリックを統合することは非常に困難です。 他の業界でも、エンドツーエンドの企業リソース計画スイートが役立つ場合があります。 このような場合は、理想的なダッシュボードを比較的楽に構築できます。 「適切なダッシュボードを構築する上で最も難しいのは、データを取得することです」と述べています。

医療組織向け IT ダッシュボードによる可視性の向上

医療組織が適切なタイミングで適切な意思決定を行うためには、膨大な量のビジネス クリティカルなデータや情報を可視化する必要があります。 このデータには、患者の履歴やステータス、施設情報、メンテナンス リクエストなどが含まれます。 関係者が適切なタイミングで適切なリソースにアクセスできるようにするには、すべてのシステムが円滑に動作していることを、医療 IT チームが確認する必要があります。 そのための方法の 1 つは、リアルタイムの IT ダッシュボードを使用することです。

医療組織は、保護対象の保健情報 (PHI) や個人識別情報 (PII) など、HIPAA に準拠して安全に保護しなければいけない個人情報を取り扱います。 医療組織は、インサイトの向上、データの保護、機密情報の追跡および管理、パフォーマンス概要の確認、最高の患者体験の実現のために、有用で視覚的なビジネス オペレーションのスナップショットを提供するツールを必要としています。

Smartsheetは、医療機関が作業効率を向上させ、ビジネス プロセスを縮小し、HIPAA の規制要件をすべて満たし、またはそれを上回りながら、PHI の安全な管理と保存を可能にする作業実行プラットフォームです。 レポートを合理化し、資産やリソースを追跡および管理して、ビジネス クリティカルなすべての情報を 1 つの一元化された場所に整理することで、ビジネスを効率的に運営することができます。 レポートと情報を包括的なリアルタイム ダッシュボードにロールアップして、透明性と説明責任を向上させることができます。

Smartsheet を活用して成果を最大限に高める方法について詳しく知りたい方は、 医療分野での Smartsheet の利用に関するページを確認ください。

 

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