記録管理とは
記録管理 (RM) は組織の部門の 1 つで、記録情報管理 (RIM) とも呼ばれており、企業のライフサイクルを通して記録を処理するシステムの構築と維持を担当しています。RM には、記録の作成から廃棄に至るまでのすべてのものが含まれますが、基本的には、ビジネス上の取引に含まれるものすべてが含まれます。
記録管理について言及する際に、情報ガバナンス (IG) という言い方をする人もいます。IG とは、規制、法律、環境、運用上の要件を満たすことを前提に、組織の現在と未来を支える情報を管理することです。これには、組織構造、ポリシー、手順、プロセスが含まれており、組織内に保管されている情報すべてを管理するうえで必要です。
記録とはいったい何を指すのか?
記録とはいったい何を指すのでしょうか?その答えは少し込み入っています。国際標準化機構 (ISO) は、独立した非政府系の国際的組織で、162 の国家標準化団体を通じて世界的に実施される国際標準を策定しています。ISO 15489-1:2001 では記録のことを「組織または個人が、法的義務の履行またはビジネス上の取引において証拠および情報として作成、受領、維持する情報。」と定義しています。ISO 15489 は、概念と原則、そしてガイドラインの 2 つの部分で構成されています。この 2 つの部分が組み合わさって包括的な記録管理プログラムの大枠が定まっているのです。
記録とは、本質的にビジネス上の取引を文書化した内容を指します。文書の下書きや複製、便宜上の複製品は、通常記録には含まれません。たとえば、提案に対する最終的な回答は記録になりますが、下書き、下書きに対するコメント、提案に対するやり取りは記録とは言えないでしょう。ソーシャル メディアの投稿やインスタント メッセージなどの個人ファイルも記録です (記録管理の対象は紙の文書だけではありません)。The Global Trade Association for Information Management Companies (情報管理会社の国際貿易連盟) (PRISM) によると、裁判所は、紙ナプキンに書いた落書き、石油探査で得たコア試料、部品番号付きのパイプ、冷凍組織サンプルの切片もすべて記録として認定します。
記録は出来事の証拠になります。したがって、真正性、信頼性、完全性、有用性を証明するために、記録が法廷に提出されることがよくあります。記録は、監査、裁判などの公的な用途に必要な書類として使用できるということです。
記録は、個人を特定できる情報 (PII) にもなり得ます。金融サービス、医療、行政、法律の分野に属する企業はことさら、このタイプの記録の扱いに注意する必要があります。
記録管理と文書管理は同じか?
大半の文書は記録であるため、文書管理は記録管理の一部です。しかし、必ずしも記録が文書であるとは限りません。文書管理は日常業務との関わりが深く、物理的なファイルやデジタル ファイルの取り出し、保管、修正、共有といった作業を伴います。
文書管理には以下のような目標があります。
- 既存の文書と将来的に発生する文書の整理
- ワークフローの改善
- 文書の短時間での探索と取り出し
- ファイルを整理された状態に保ち、文書の紛失とファイリングミスの数を減らすこと
- 物理的な文書保管スペースの節約
伝票管理は、記録管理の重要な部分を担っています。多くの組織では、紙の伝票や電子的な伝票が記録の大部分を占めています。
文書管理の詳細については、「How to Use Smartsheet as Agile Document Management (アジャイルな文書管理として Smartsheet を使用する方法)」と「SharePoint Document Management: What It Is and What It Isn’t (SharePoint の文書管理に含まれるものと含まれないもの)」を参照してください。
記録管理のライフサイクル
記録管理にはライフサイクルがあり、記録内容が実際に行われるステージに対応しています。ライフサイクルのカバー範囲は、記録の作成から廃棄に至るまでのすべてです。各段階には、それぞれのポリシーと手順があります。
記録のライフサイクルは、記録が作成されたときから、記録が廃棄または保管されるまでの期間と考えるとよいでしょう。それぞれの段階に応じてプログラム、ソフトウェア、教材の名前が変わることもありますが、基本的には決まったものが使われ、それが同時かつ連続的に運用されます。
記録のライフサイクルの第一段階は作成です。この段階では、記録を受け取り、組織の記録管理システムに記録として分類するという作業が発生します。記録を正しく作成するために、正しい情報が含まれ、適切なフォーマットを使用している必要があります。
さまざまな人が記録を使用、変更し、それが記録として残るため、不正アクセスを受けたり、記録が壊れたりすることがないように、記録を維持し、保護する必要があります。日常的に記録を必要としている人は、記録にアクセスしやくする必要があります。記録の保管期間は、組織に応じてポリシーが異なります。アクティブな記録とは現在使用中の記録を指し、それらを使用している人の物理的に近い場所に置かれることがよくあります。非アクティブな記録とは、企業が現行のビジネスで使わなくなったものの、保管期間が終了するまで維持し続ける必要がある記録のことを指します。非アクティブな記録に日常的にアクセスしていないとしても、その記録を維持し、保護する必要があります。
記録のライフサイクルが終了したときに、記録管理チームはその記録を破棄するのか保管するのかを決める必要があります。記録管理には、各記録にいつ何をするのかを決定するシステムがあります。記録の保管期間は、企業のポリシーや政府が定めた規則や規制などの要因によって異なります。記録によっては永久に保存しなければならないものもあるため、いずれかの時点でアーカイブ プロセスを確立する必要があります。
記録管理サイクル全体を通して、セキュリティとプライバシーの維持が不可欠です。
記録管理の内容とは
繰り返しになりますが、記録管理は定義上、記録管理のライフサイクル全体を通して記録の作成と維持を担当しています。この職務にはさまざまな関連要素が絡んでいますが、どの要素にも、会社や組織の記録に対するアクセスをコントロールすると同時に使いやすさとセキュリティを維持するという共通の目標があります。記録管理には物理的なものと電子的なものがありますが、両者が混在することもよくあります。
実際には、通常記録管理を担当する記録管理者がいます。組織内で記録管理を担当する人のことですが、チームを組んでシステムの構築と維持にあたることもよくあります。主に記録管理作業を行う担当者を雇用しているとしても、企業や機関によっては、上層部 (多くの場合は機関の最高責任者、CEO、CFO) が記録管理の最終的な責任を負うところもあります。
ISO 15489-1:2001 によると、記録管理を構成するタスクとしては、ポリシーと標準の設定、責任と権限の割り当て、手順とガイドラインの確立、記録の管理と使用に対するアクセス権限付与、業務体系と業務プロセスへの記録管理の導入があります。非常に多くの要素が絡んでくるため、記録管理はややハードルが高く感じるかもしれませんが、リスクよりもメリットの方が大きいのです。
記録管理を導入する理由
記録管理を義務付けている行政機関は多数あり、そのためにシステムを導入している会社もあります。RM は、書類の山を管理し、文書を探すためのフレームワークを提供し、必要な情報にアクセスしやすくして、いつでも使えるようにします。PRISM によると、組織のアクティブなファイルは毎年 25% の割合で増加しており、紙の書類の処理に莫大な間接費がかかっています。記録管理を正しく行えば、貴重なオフィスのスペースを節約することができるのです。また PRISM によると、常時、組織のファイルの 3% ~ 5% は紛失したり置き忘れられたりしています。整理が適切であれば、クライアントやパートナーに一貫したサービスを提供できるとともに、スタッフの効率と生産性も高めることができます。記録管理は、組織が過去に残したものを伝える手段にもなりますが、その仕事はどちらかというと記録管理者の仕事というよりはアーカイブ担当者の仕事です。
適切な記録を残しておけば、裁判になったときにも役立つでしょう。記録があれば、法令要件に従っていることを証明でき、取引の証拠となり、そして不正アクセスから身を守ることができます。
さらに、緊急事態の場合でも、記録管理によって事業を継続させることができます。9.11 以降、ツイン タワーに入居していた企業またはその付近にあった企業で、記録管理システムを導入し、記録に冗長性があった企業のみが事業を再開できました。
記録管理の冗長性計画は、以下の事項に対応している必要があります。
- 記録と情報の目録を作成する
- 重要な記録にラベルを付けて、冗長性を持たせる対象として設定する
- 社外の第三者を含め、記録にアクセスする人を特定する
緊急事態への備えとして、想定し得るシナリオを用意し、災害時の計画を周知することが重要です。コンピューターのハード ドライブを外付けのドライブにバックアップするだけでは、浸水や火事が起きたときに企業にとって何の役にも立ちません。
記録管理を実施しない場合に発生する問題
どの企業や組織でも同じ結果になるとは限りませんが、記録管理システムを導入していないために厳しい罰則を受ける可能性があります。政府から補助金を受けていたり、行政機関である場合、罰金を科されたり、補助金の返済を求められたりする可能性があるのです。
また場合によっては、Enron (エンロン)、WorldCom (ワールドコム)、Imclone (イムクローン)、Arthur Andersen (アーサー アンダーセン)、Morgan Stanley (モルガン・スタンレー) の社員のように、罰金、刑事告発、禁固刑のような罰則が適用される可能性があります。これらの企業で記録に関する監査やその他の調査が行われて、記録保管上の不正行為、文書の改ざん、文書の不正な破棄が見つかりました。
気を付けなければならないことは、公開法廷の場合や調査が入っているときに記録を破棄すると、たとえ会社のポリシーに従ったものだとしてもそれが違法行為に当たる可能性があるということです。このような場合では、証拠隠滅と捉えられかねません。Black’s Law Dictionary の記載によると、「証拠隠滅とは、法的手続きに関連する証拠を意図的に、または無配慮、過失により保留、隠蔽、変更、改ざん、破壊すること。」とあります。
Sarbox とも SOX とも呼ばれるサーベンスオクスリー法 (2002 年) で、公開会社の記録に関する新しい要件が制定されました。これは、世間を騒がせた Enron (エンロン)、WorldCom (ワールドコム) などの会社のスキャンダルを受けて制定された法律です。第 802 条 (a) 項には「米国省庁の管轄権内の問題、または米国連邦法第 11 条に基づいて提起されたあらゆる訴訟、あるいは、そうした事項や訴訟に関連して、調査または適切な監督を阻害または妨害する目的、またはこれらに影響を及ぼす目的で、あらゆる記録、文書、または有形物の意図的な改変、破棄、毀損、隠匿、隠滅、偽造、またはこれらへの虚偽記入を行った者は、本法の本章に基づく罰金もしくは 20 年以下の禁固刑、またはその双方を科すものとする。」と定められています。
また、この法律では会社の財務状況について虚偽の報告を行った CFO や CEO に最高 100 万ドルの罰金と最高 10 年の実刑を科すと定められています。
サーベンスオクスリー法は、罰則だけを規定しているわけではありません。組織内の不適切な行為に気づいた従業員が告発できるように、内部告発者の保護についても規定しています。記録管理を専門にしている担当者は、会社の記録やプロセスについて幅広い知識があるため、問題に真っ先に気づく可能性があります。
サーベンスオクスリー法の詳細情報については、こちらの記事をご覧ください。
記録管理に責任を持つ人とは?
RM の責任は企業や機関によって異なります。連邦政府機関の場合は、その機関の最高責任者が記録管理の法的要件に対する責任を持ち、その機関の職員は、各自の担当業務の記録を保持する責任を持ちます。
国立公文書記録管理局 (NARA) と一般調達局 (GSA) は、記録管理の監督を連邦レベルで分担しています。1984 年の国立公文書記録管理法は、両機関の責任の大枠を定め、NARA は文書化と記録の破棄の適切さに責任を負い、GSA は記録管理の効率と経済性に責任を負うものとしました。
米国国防省 (DoD) の 5015.2-STD には、他の多数の組織が非公式に独自のものとして導入している標準が盛り込まれています。DoD は、議会から記録管理の改善を命じられた後、1990 年代半ばにこの標準を策定しました。この政府からの命令は、湾岸戦争症候群の調査に使う記録をなかなか入手できなかったことが発端となって発せられたものです。1998 年に NARA は、DoD の記録管理プログラムに関する機能的な要件とその他の要素を承認して、他の機関が自身の記録管理プログラムの基本的な要件としてその標準を使用できるようにしました。
証券取引委員会 (SEC) のように、連邦機関によっては、連邦の規制とは別の独自の規制を設けているところもあります。多くの州や州機関も、記録管理に関する独自の規則を設けています。また、記録管理に関する教育やサポートを手がけている国際的な会員制組織もいくつか存在しています。
「当社の会員様は情報管理の分野で働いている方々ばかりで、さまざまな業界の背景があります。」と Carlisle 氏は語ります。「多くのリソースが揃っており、皆様に組織のことを理解していただけます。」ARMA International (ARMA インターナショナル) には、出版物、リソース、プロ養成のためのウェビナーなどがあり、会員と非会員の両方が利用できます。
記録管理は大企業だけに必要なものか?
記録管理は文書と意思決定の履歴を残すためのものであり、継続性を保証するものでもあります。このメリットは、規模の大小に関わらず、すべての企業や組織に当てはまります。個人にさえも当てはまります。
Internal Revenue Service (アメリカ合衆国内国歳入庁) の税務記録に関するガイドラインを別にすれば、ビジネスの記録を保管する期間についての標準は決められていません。多くの弁護士や会計士によると、税務監査、訴訟、その他の発生し得るクレームの多くで採用されている時効に合わせて、元のビジネス文書を 7 年間保管しておくことを勧めています。中小企業の場合も、記録管理に対する推奨事項は基本的に大企業と同じです。
ARMA International (ARMA インターナショナル) でさえも、何をどのくらいの期間保管すべきかのガイドラインを出しておらず、業種、州、国に応じて要件が異なるとしか述べていません。「業種が何か、規制をどのくらい受けているのかによるでしょう。」と Carlisle 氏は指摘しています。「従事するビジネスに適した体系を築くことが重要なのです。」
個人の記録について、専門家たちはいくつかの推奨事項を挙げています。Suze Orman 氏をはじめとする金融の専門家が言及している、個人の記録保管に関する簡単なガイドラインの一部については、こちらをご覧ください。
記録管理が必要かどうかを知る方法
記録管理が必要なのかどうかよくわからない場合は、どの企業も必ずなにかしらの記録管理システムを導入しているという風に考えると簡単です。しかし、多くの企業は問題が表面化した後に記録管理のポリシーや手順を導入したり、改訂したりしています。なぜそれまで待つのでしょうか。
チェックリストがあれば、記録管理システムを新規で導入するのか、改訂すればいいのか判断しやすくなります。以下の項目のいずれかが組織に当てはまるとしたら、記録管理を導入するべきタイミングと考えてよいと思います。
記録管理を導入する方法
適切な記録管理プログラムを始めるといっても、大袈裟な話ではありません。このシステムの鍵は、記録管理者という、組織内で記録管理を専門にする担当者が握ることになります。この担当者 (複数の場合もあり) は通常、記録のライフサイクル、保管期間、プライバシーとデータの保護に精通しています。また、記録管理部門を組織内でどこに配置するかを決めるのも重要です。その部門が、法務、管理および監査、管理業務、情報技術など、どこに属するのかを把握する必要があります。その答えは、企業の組織構造に応じて変わります。
提供: ARMA International (ARMA インターナショナル)
記録管理を導入するうえで、適正に賛同を得てコンプライアンスを確保できるように、組織の上層部における支持者が必要です。また、システムの構築、導入、運用の始めに、部門間で協力し合う必要もあります。技術部門が他の部門の意見に耳を貸さずにシステムを購入することは好ましくありません。
記録管理が最も効果的なのは、一部の部門に限定するのではなく、組織全体で導入する場合です。記録管理者の協力のもと、まず組織全体で記録の目録を作成するとよいでしょう。そうすれば、どのような情報がどれくらいあるのかを誰もが把握できるようになります。このような調査を実施すると、重要な記録や組織の経歴がわかる記録がどれかを知ることができるようになります。
次に、業界、行政、ISO の標準に従って、組織に合った保管スケジュールを作成します。このようなパラメーターに取り組んでいるうちに、アクティブなファイルと非アクティブなファイルの管理方法が次第に明確になります。このプロセスの一環として、記録にアクセスしてよい人とそうではない人、そのアクセスを管理する人を決める必要があります。
記録管理を専門にサポートしている会社は多数あります。その中には、クラウド ストレージ機能を備えたソフトウェアベースの会社もあれば、現場に来て物理的な記録の保管と管理をサポートする会社もあります。しばらくの間続いている組織の場合、記録管理システムに物理的な記録と電子的な記録の両方が含まれている可能性があります。この 2 種類の記録は大きく異なりますが、高性能なシステムであれば、記録が物理的か電子的かに関わらず、ライフサイクル全体を通して記録にアクセスしやすくし、記録を保護することができます。
「情報を作成してから破棄するまで、情報を管理、保管、破棄できるように支援しています。」と Iron Mountain (アイアン マウンテン) の Potts 氏は語ります。「ノートパソコンのごみ箱に入れれば済むという話ではないのです。」
Iron Mountain (アイアン マウンテン) のような企業は、地震地帯と水害の多い地帯から遠く離れた場所に拠点を構えています。Iron Mountain (アイアン マウンテン) の施設には、複数の防火システム、二重化した予備の発電機、空調管理、セキュリティが備えられています。同社は、物理的なファイルだけでなく電子ファイルも保管することができ、顧客はいつでもファイルを引き出すことができます。「これが弊社の日常業務です。実際に記録管理を自社で行う場合、コンプライアンスとビジネス規制の最新状況を把握している必要があります。これは非常に大変な作業です。」と Potts 氏は述べています。
企業は、必要とするサービスにお金を出すものです。Potts 氏の説明によれば、自社で記録管理チームを雇用する必要がなく、貴重な不動産を他の用途に使えるため、このサービスでコストを節約できます。「法律事務所で箱を保管するためにスペースを使っているとしても、一銭の得にもなりません。」と Potts 氏は述べています。「大変な作業であるだけでなく、不動産にはコストがかかるという紛れもない事実があるのです。」
記録管理における保管場所とは
保管場所とは、通常、記録管理を行う物理的なスペースのことです。たいていは紙の記録がファイリングされる場所であり、通常、記録管理者が出入りする場所です。この管理者は、作成から廃棄までのライフサイクル全体を通した記録の維持も行います。
保管場所には記録管理上の分類手法がよく取り入れられます。分類手法とは、記録管理システム内にある分類システムのことです。この手法では、事前設定されたシステムが使用されており、分類の枠組みが体系化されます。分類手法は覚えやすく、使いやすいものでなければなりません。
電子的な記録管理
テクノロジーがビジネスの重要な部分を占めるようになるにつれて、記録管理システムもその流れについていけるようにする必要があります。記録管理アプリケーション (RMA) とは、記録を電子的に管理するソフトウェア アプリケーションのことであり、記録の分類、アクティブな記録の検索、廃棄対象の記録の特定を行う機能を備えています。このアプリケーションには、安全性と信頼性、常時稼動すること、包括的であることが求められ、また規則や規制に準拠したものでなければなりません。
どのタイプの電子システムを使用するにしろ、既存の紙文書を単にスキャンするだけでは記録として不十分であることに注意する必要があります。ソフトウェア システムによっては記録がどのようなものかを公表する必要があり、そうすることでシステムで記録を適切に管理できるようになります。システムが処理できるように、それぞれの記録には固有の識別子が必要です。
使いやすく、ファイルを保護するために必要なセキュリティを備えているシステムを探すとよいでしょう。システムによっては、文書管理システム (DMS) が記録管理の範疇に含まれています。また、書類受け渡し記録の管理を確実に行えるものを探しましょう。そうすれば、その記録の内容が何か、その内容がどのように変わっていったのか、変更に関わった人は誰なのかを確認できます。このようなシステムがあれば、不正なアクセスや変更を防止できます。
電子的な記録管理システムは、テクノロジーの変化に合わせて適用、成長できるようにする必要があります。フォーマットが変われば、特定のフォーマットで保存されている文書や記録で変更が必要になることもあります。たとえば、1990 年代中頃にはフロッピー ディスクがベストなテクノロジーでしたが、今ではそのディスクの読み取りが可能なドライブを持つ人はほとんどいません。記録管理は短期的なものではなく、長期的に実施するものなのです。
記録管理で発生する問題
すべてのポリシーや手順と同様に、記録管理にも必ず複雑さと問題が付きまといます。記録管理は公共機関、行政機関、医療機関、公営企業で長期的に実施されてきましたが、民間企業ではやっと認知され始めたところです。たとえ記録管理が何らかのシステムに根付いていたとしても、コンプライアンスと法律上の問題も常に付きまといます。
以下に示すような問題もあります。
- 部門間の意見の食い違い (特に記録管理部門と IT 部門)
- セキュリティ、データ保護、プライバシー (ハッカーやデータ侵害の手口の巧妙化に伴う)
- 透明性、説明責任 (情報公開法などの法律の普及に伴う)
- 導入と運用 (記録管理を最優先事項とは考えない人もいるため)
- 企業の買収、合併、成長に伴うシステムの統合
- ソーシャル メディアが急速に普及する中、インターネットやソーシャル メディアの投稿を記録として認識できていないこと
- 古い物理的な記録を電子的な記録に変換する際に、ファイリングのミスや誤ったアクセス権限付与が発生すること
記録管理システムを成功させるうえで、ベンダーや部門間に一貫性を持たせて、適切なトレーニングを実施することも重要な要素です。誰もが記録のライフサイクルとそのプロセスの各ステップを理解している必要があります。
Carlisle 氏は、多くの企業が RM のある 1 つの側面で問題を抱えていると考えています。「大きな間違いは、どんな問題でもテクノロジーで解決できると考えていることです。テクノロジーは記録管理プロセスの最後のステップであるべきです。企業はテクノロジーに頼ろうとする前に、まずワークフローと基本的なニーズを分析するべきです。」
また、どのようなテクノロジーだとしても、保管期間が終了したら確実に記録を廃棄できるようにしなくてはなりません。Carlisle 氏によると、削除できないシステムもあるとのことです。「削除できないものがある時点で、保管スケジュールに従っているとは言えなくなります。ずっと保管し続けることの弊害は確かにあります。この分野に従事している知り合いの弁護士のほとんどは、保管と廃棄のスケジュールを導入すべきであると考えています。必要なものは、明確なポリシー、明確なプロセス、そのポリシーとプロセスに従っていることを示す適切な文書です。」
記録管理のトレーニング、教育、資格
記録管理には幅広い要素が絡んでいるため、記録管理と情報管理を専門とする学位課程、資格、専門組織が存在します。
この分野は変化しており、用語も変化しています。Carlisle 氏によると、今では記録管理よりも情報資産という用語がより一般的であるとのことです。「情報が他のタイプの資産と同じくらい重要であることを痛感してます。情報資産は人材や金融資産と同じくらい重要です。」と同氏は述べています。
記録管理を専門に担当している人をサポートするために、ARMA International (ARMA インターナショナル) はカンファレンス、ウェビナーを開催しており、Generally Accepted Recordkeeping Principles® (一般に認められている記録管理の原則)、情報ガバナンス成熟度モデルと呼ばれている情報を提供しています。この両方のリソースは、変化が激しい記録管理の分野をガイドするために公開されています。「メディアが変わったとしても、その情報を利用しやすくするという要件は依然として存在します。会社は依然として、その情報を使うためにアクセスする必要があるのです。」と同氏は述べています。
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