営業プロセスとは?
営業プロセスとは、見込み客への提案から成約までの一連の流れを指します。
営業には属人的な部分があり、「成果が個人のスキルに依存する」というカルチャーが根付くと、営業プロセスが組織内で一貫性のないものとなってしまいます。営業プロセスが担当者間で異なると成績にバラツキが出てしまい、改善すべき行動も担当者毎に異なってしまいます。
そこで、各営業担当者の成績を均一に底上げするために、営業プロセスの標準化が大切になります。
営業プロセス標準化の重要性
営業プロセス標準化を行うことで、メンバー全員が同じ指標を持ち、情報の集約が可能になり、行動が可視化されれば分析が行いやすくなります。
営業プロセスが標準化されていると、営業活動の中で問題や課題が発生したステップを特定できるので、課題改善を行いやすくなります。
営業プロセス標準化の目的
営業プロセス標準化の目的は、大きくは2つあります。
成功事例の共有によりチームの営業力アップ
営業プロセスを標準化し、成果を出している営業担当のプロセスを共有できます。営業プロセスを可視化することで、組織全体で勝ちパターンの営業プロセスを活用ができ、組織の営業力アップが行いやすくなります。
勝ちパターンから外れているメンバーがいますが、成果を上げているメンバーの行動を理解できれば、自身の行動に成果が出ているプロセスを取り入れ、営業組織自体の力が底上げするのが、営業プロセスの標準化の目的です。
営業人材育成の効率化
営業プロセルが標準化されていると、新しく配属された営業担当者の育成を効率化できます。プロセスが標準化されていないと、教える人によって伝える内容がバラバラで、情報が正しく伝わらない、偏ってしまう場合があります。指導内容にばらつきがあると、成果を出せるようになるまで時間がかかってしまう懸念があります。
また、部署・チームで同じ営業プロセスに沿って行動すると、多くの情報が集約されます。別の営業担当者が同じステップで問題が発生した時に、どの様な対処をしたのかを伝えられます。このように組織としてナレッジを共有できるので、人材育成を効率的に行えます。
営業プロセス標準化の方法
プロセス標準化するための方法を紹介します。
KGI (Key Goal Indicator) の設定
KGIは重要目標達成指標とも呼ばれ、最終目標の達成度を定量的に測るために用います。明確な判断基準にする必要があり、売上高、成約件数、利益率など具体的な数値を設定します。
KPI (Key Performance Indicator) の設定
KPIは重要業績評価指針とも呼ばれ、KGIを達成するための中間指標のことです。目的を達成するために必要なプロセスの進捗度合いを測るために活用します
KGIとKPI、どちらも目標達成のために欠かせない指標となります。最初にKGIで「ゴール」を設定し、そこにたどり着くための「プロセス」としてKPIを設定します。KGIとKPIの両方を設定することにより、目標達成のための活動の見える化を行えます。
その際、SMARTを意識して設定することが重要です。SMARTは「Specific(具体的に)」「Measurable(測定可能な)」「Achievable(達成可能な)」「Related(経営目標に関連した)」「Time-bound(時間制約がある)」の5項目で構成されるフレームワークで、目標と具体的アクションをしっかり組み合わせることが重要です。
新規リード数
営業機会はそのままでも成約率が上がれば営業成績が上がるので、この表現は正確ではないと思います。ご確認ください。
広告などのマーケティング活動で獲得した新規リード数が、営業機会となります。
売上が思うように上がらない原因は、リード数の不足である可能性が考えられます。その場合は、営業プロセスの改善行動は効果的でなく、リード数を増やす方法について検討をするべきです。
見込度が高い営業機会数
営業活動を行う上で営業機会が十分にあることは大切ですが、見込度の高い営業機会が少なければ目標達成は厳しくなります。
例えば、投資用マンションの営業の場合、不動産投資に関心のある富裕層への営業機会なら成約が見込める営業機会と言えます。逆に、収入のない学生に営業しても成約する可能性は非常に低いので、成約が見込める営業機会とは言えません。
見込客コンバージョン率(成約率)
見込客コンバージョン率の算出方法として2つの定義があり、「すべてのリード数」を基に算出をする方法と、「見込度が高い営業案件数」を使う方法があります。
「すべてのリード数」を使用すると、リードの質が低い場合にコンバージョン率が低く出てしまい、営業力が問題なのか、リードの問題なのかが判断しづらくなってしまいます。リードの質はマーケティング手法により改善を行います。
新規売上
売上は総数だけでなく、新規顧客からの売上、既存顧客の増加分の売上、契約の更新による売上の3つを分けて測定します。
売上を分け、営業活動のターゲットも分けることで、より適切な営業プロセスの設定ができます。
営業マンの営業案件数
意外と見直しやすい数値は、営業担当者が担当している営業案件数です。
例えば、営業案件が少ないと、見込みが低いリードを追いかけることになり、営業効率が下がりやすくなります。一方で、営業案件を増やしすぎてしまうと、営業活動を丁寧に行う余裕がなくなり逆効果になってしまう可能性もあります。
平均取引金額
成約した取引総額の平均が平均取引金額です。成約数が変わらなくても、平均取引金額が向上すると、それに比例して売上も向上します。
売上に関して言えば、粗利1万円の商品を10人に売るよりも粗利が50万円の商品を1人に販売した方が売上は40万円も大きくなります。ただ、平均取引金額よりも極端に大きい売上見込の案件は成約率が大幅に下がる傾向にあるため、その点を考慮して見込数値を算出する必要があります。
また、平均取引金額が減少傾向であれば、その原因を調査します。少額の取引が増加傾向にあれば、ターゲット層の変更、営業戦略を見直す必要があるかもしれません。
逆に平均取引額が大幅に増加した場合も、原因を調査し、営業プロセスの見直しや、手法について再検証するべきでしょう。
セールスサイクル
セールスサイクルは成約に要した平均日数を指します。成果が出るまでの日数だけでなく、各プロセスでの日数も測定しましょう。
平均日数よりも長くかかっている場合は、成約の可能性が低くなります。
目標と現状のギャップを明確化
適切なKGIとKPIにより目標と現状を比較し、進捗の把握を行いましょう。
目標達成するために足りないプロセスや注力すべきプロセスを明確になります。
営業プロセスを分解
受注に至るまでのプロセス(見込み客リストの選定、ヒアリング、提案、クロージング)を細かく分解します。営業プロセスに分解すると、具体的にどこのプロセスがうまくいっていて、うまくいっていないかの分析が可能になります。
営業目標となる売上数字から逆算し、それぞれのプロセスで必要となる定量的な目標を考えていきます。 その上で、工程ごとの目標達成のために必要な戦略、アクションを具体化しやすくなります。
フロー図への落とし込み
プロセス分解によって細分化された要素を元にフロー図を作成して行きます。営業の受注までのプロセスを再度組み立ててフロー図を作成し、受注までの営業プロセスの手順を明確に表すことができます。
大きなプロセスから徐々に枝葉のように広げていくと、全体像が見えやすくなり、プロセスに抜け漏れがないかを確認しやすくなります。
フロー図の活用により、入社したばかりのメンバーや新卒社員でも、素早く営業アプローチを身につけることができるでしょう。
営業プロセス標準化のポイント
営業プロセスの標準化において特に重要なポイントを2つ紹介します。
シンプルにする
プロセスが細かく複雑になってしまっては、全体像を捉えることが難しくなってしまいます。分析にも時間がかかってしまったり、改善すべき点が見つけづらくなるでしょう。
営業プロセスの標準化する際にはなるべくシンプルな工程で整理することが大切です。
各プロセスの定義を明確にする
営業プロセスが整理できたら、次は各プロセスにおける行動を具体的に示します。
例えば「初回訪問」という営業プロセスを設定したとします。
その場合、メンバーによってそのプロセスが「製品の説明をする」という認識をし、別のメンバーは「訪問先の課題や現状のヒアリングを行い、その内容に合わせた製品の説明を行う」という認識であったり場合、メンバー間での行動に関する認識のズレが、後の受注率の差にも繋がってきてしまうのです。
営業プロセスを整理する際には、各プロセスでの具体的な行動を定義しておく必要があります。
営業プロセス標準化の注意点
顧客側の購買プロセスと営業活動の整合性について、考慮をする必要があります。営業側の考えだけで営業プロセスを作ってしまうと、顧客に響かず一方的な提案になってしまう可能性があるので注意が必要です。
そして、営業プロセスに変化があった場合には、変更内容の背景や具体的に変更したアクションについてしっかり周知を行い、メンバーが正しく理解することが必要です。
まとめ
組織内の営業プロセス標準化を行えれば、組織全体での営業力強化に繋がります。
営業活動における属人性を排除して、営業メンバーが共通した営業プロセスの認識を持てれば、組織全体の営業力が底上げされて売上や受注率の向上という成果が出やすくなります。
営業管理の領域についてさらに体系的な情報を入手したい方は、営業管理の基礎ガイドもぜひご確認ください。
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