【CRM5つの最新トレンド】市場規模や導入対象部門を統計データとともに解説

近年、多くの企業が顧客管理を効率化するために導入しているCRM。

実際にはどれくらいのペースで市場が拡大していて、企業内のどの部門で活用されているのでしょうか?

この記事では、国内外の統計データをもとにCRMの最新動向・市場予測を紹介します。

1. CRM市場規模の成長予測

まずはじめに、世界と日本国内のCRM市場規模について見ていきましょう。

 

世界のCRM市場

下図はFortune Business Insightsの調査に基づいた世界のCRM市場規模の成長予測です。

世界におけるCRM市場の成長予測

近年急速に拡大している世界のCRM市場。2019年時点での市場規模は約5兆円と試算されています。

そして2020年以降、年平均11.6%の高い成長率を維持し、2027には11.8兆円に到達する見込みです

日本のCRM市場

日本国内のCRM市場も確認してみましょう。

下図はIDC Japanの調査に基づいたCRM市場規模の成長予測です。

日本国内におけるCRM市場の成長予測

2019年時点で1742億円だった市場規模(売上額ベース)は、2024年までの5年間で2250億円に成長すると予測されています。

ただ、年平均成長率5.3%は世界の11.6%の半分以下であり、日本のCRM市場は海外と比べると緩やかに拡大していくことになります。

2. CRM/SFAを導入している企業の割合

それでは、どの程度の割合のアメリカ企業、日本企業がCRMを導入しているのか、実際の統計データで確認してみましょう。

下図はSTELLAXIUSの公表データミック経済研究所の調査に基づいたアメリカ企業と日本企業のCRM導入率を示しています。

CRMを導入している企業の割合

2012年の時点では調査対象の日本企業のうちCRM/SFAを導入していたのは僅か9%でしたが、2018年までの6年間で28%まで上昇しました。

アメリカ企業に目を向けると、調査対象の74%の企業(社員11人以上の企業に限ると91%の企業)がCRMを既に導入しています。

CRMの導入費用は高額になることもあり、資金力のある大企業の方がCRM導入のハードルが低くなるのは明白ですが、アメリカでは中小企業でも既にCRMが広く活用されているのです。

日本では大企業を中心に少しずつCRMの導入が進んでいますが、アメリカ企業と比べると大きく遅れを取っているのが現状です。視点を変えると、日本企業が競合他社に先駆けてCRMを導入することにより、日本市場で大きな優位性を獲得できる可能性があるといえます。

3. CRMの導入対象部門

CRMが導入される部門について、アメリカ企業と日本企業でどのような違いがあるのでしょうか?

下図はSuperOfficeの調査ノークリサーチの調査に基づいて作成したもので、アメリカ企業と日本企業でCRMが多く導入される上位3部門を示しています。

CRMの主な投資・導入対象部門

アメリカの上位3部門で最も特徴的なのは、CRMがカスタマーサービス部門に最も多く導入されている点です。

その背景としては、多くの業界で新規顧客獲得コストが上昇しており、既存顧客の満足度向上のためにカスタマーサービスを重視する企業が増加している現状があります。

一方、日本企業では「SFA(営業支援)」に次いで「メール配信/共有」を目的としたCRMの導入が多いのが特徴です。

順位に多少違いがあるとはいえ、営業支援、顧客管理、マーケティング部門で最もCRMの活用が見られる点においては、日米とも共通しているのが分かります。

4. CRM形態に関する動向

CRMにはクラウド型とオンプレミス型があります。オンプレミスとは自社でサーバーなど情報システムの保有、設置および運用を自社で主体的に行うことを指します。それに対してクラウド型では、外部サーバーを使用します。近年日本ではCRMの運用形態が変わって来ているようですが、世界と日本で違いがあるのか見てみましょう。

世界のCRM形態

まずは世界で利用されているCRMの形態を確認しましょう。

下図はLeadSquaredの調査に基づく、世界のクラウド型CRMとオンプレミス型CRMの導入の割合を示しています。

世界のCRM形態

 

2008年のグラフをみると、当時はほとんどのCRMがオンプレミス型であったことが分かります。

しかし、2017年にはクラウド型CRMが完全に主流となり、全体の87%を占めるようになりました。

クラウド型CRMは導入費用が安く、導入を決定して直ぐに利用を開始でき、オンプレミス型に比べて端末やロケーションの柔軟性が高いこともあり、今日では世界のほとんどの企業がクラウド型CRMを選んでいます。

日本のCRM形態

日本国内のCRMの形態はどうでしょうか。

下図はミック経済研究所の調査に基づく日本のクラウド型CRMとオンプレミス型CRMの導入の割合を示しています。

日本国内のCRM形態

 

クラウド型の割合が大きくなっているトレンドは世界のデータと共通していますが、日本では2020年の時点でもクラウド型が少数派となっています。2021年にクラウド型がオンプレミス型を逆転し、その後は日本でもクラウド型が主流になっていくと予想されています。


しかしながら、これらの統計データの結果に反して、最近では海外で「オンプレミス回帰」の現象が起こっているというデータもあります。主な理由としてはセキュリティの脆弱性、クラウド化によって期待していたコスト削減が実現出来なかったこと、またパフォーマンスの低下等があるようです。これらの問題に関しては、日本でも多くの企業がクラウド化への移行を足踏みさせる要因となっているので、信頼性が高く、自社と相性の良いサービスを選ぶことが必須となってくるでしょう。

5. AIを活用したCRM

最後に、AI(人工知能)とCRMの関係について面白いデータを紹介します。

下図はSalesforceの発表に基づいて作成したもので、AIを搭載したCRMがもたらす影響と経済効果を示しています。

AI搭載CRMがもたらす影響と経済効果

 

AI搭載CRMの活用により、世界全体で115兆円もの売上が増加すると試算されています。

CRMにより営業プロセスや顧客対応が効率化され、より多くの顧客を獲得できることは想像できます。また、新たな雇用が生む労働力によってもたらされる利益が相乗効果となってより多くの売上が発生するでしょう。いずれにせよ、これだけ大きな売上増加に繋がるのは多くの方にとって驚きではないでしょうか。

また、AI搭載CRMにより80万人の新たな雇用が生まれると言われています。

テンプレートを活用した単純な顧客対応に必要な人員が削減される一方で、システムの導入・運用、蓄積された顧客データの分析といった業務でエンジニアやデータサイエンティスト等の人材が求められるでしょう。

また、アメリカの62兆円を筆頭に、日本、ドイツ、イギリス、フランスといった先進国に大きな経済効果をもたらすと予想されています。同データでは、日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスの5カ国を比較したデータとなっています。AI先進国と言われる中国も含まれていれば、また違ったランキングとなっていたでしょう。

海外に比べてCRM導入およびAI導入が遅れていると言われている日本における経済効果がアメリカに次いで2番目になっている点は少し意外ではないでしょうか。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みで他の先進国に大きく遅れを取っている日本では、現在も多くの企業がハンコや紙の資料を多用し、商談や社内会議をすべて対面で行っています。CRM導入による業務効率化の余地が大きいという点で、日本が相対的に大きな恩恵を受けることは十分考えられるでしょう。

まとめ

この記事では、国内外のCRMに関する5つの最新トレンドをご紹介しました。

海外ではクラウド型CRMが急速に普及しており、導入企業の売上増加や新規の雇用創出が予想されています。日本企業では海外に比べてCRMの導入が遅れており、CRM導入による業務効率化がビジネス成長の重要なカギとなるでしょう。

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