プロセス管理の目的と具体的な方法についてわかりやすく解説

By Kate Eby | 2020年9月17日

この記事ではプロセス管理の方法や、使用する目的、注意点、具体的な作り方と使い方、他のプロセス管理ツールの違いや選び方など、プロセス管理について知っておくべきことをまとめています。

プロセス管理とは?

プロセス管理とは、成果を最大限に高めて目標達成を促進するための手段です。

もっと詳細に言えば、「作業過程の手法を細かく分析管理して、最大限の成果が出るように手法の管理改善を行う」ことで、目的は仕事の効率向上です。

プロセス管理の重要性

はじめから結果を管理しようとしても、途中のプロセスを無視してしまっては、望んだ結果を得ることは難しくなります。

結果を管理しても、結果は出ません。結果に至るためには、それに至るための然るべきプロセスが必要です。

結果はプロセスの延長にあります。そのため、マネジメントでは、結果や人員よりもプロセスを管理することが重要となります。

 

プロセス管理の目的

では、なぜプロセスが重要視されているのでしょうか。その理由は主に下記の2つです。

  • プロジェクトを安定的に成功させるため
  • 機能安全規格において重要な要素のため

従来のマネジメント手法では、プロセスが意識されずに結果のみが重視され、見積もりや納期といった問題に対して対応が場当たり的になってしまう傾向がありました。

米国防総省の調査により、例えばソフトウェア開発の成功は、それを開発・保守するプロセスに大きく依存することがわかりました。多くの成功事例に共通する特徴として、優れた効果的な開発プロセス/管理プロセスを持ち、プロセスを遵守しているということが挙げられます。プロセスをきちんと定義し、運用していくことで得たデータから、プロジェクトを定量的に進めていくことも可能になります。

また、近年は安全への関心の高まりから、機能安全規格(ISO 26262やIEC 61508など)に準拠した開発を求められることが多くなりました。その際に欠かせないのが、プロセス管理です。プロセスがきちんと定義され、運用されていること自体が機能安全の要件となっているため、プロセスなくして機能安全は語れません。

多数のプロセス(手順、処理)を実施することで、目的を実現する。プロセスは、プロジェクトやその局面(フェーズ)の中で、重なり合い、相互に作用します。

PMBOKでは、49個のプロセスを、幅広いプロジェクトに適用可能な5個の基本的なプロセス群と10個の知識エリアとに分類しています。

プロジェクトマネジメントを効果的に達成するために必要なプロセスは、10個の知識エリアに含まれています。

1. プロジェクト統合マネジメント

プロジェクトマネジメント・プロセス群内の各種プロセスと、プロジェクトマネジメント活動の特定、定義、結合、統一、調整等を行うため分野が「統合マネジメント」です。他の9つの知識エリアを統合し、マネジメントする位置づけにあります。

2. スコープマネジメント

プロジェクトを成功のうちに完了するために必要な成果物とタスクを定義し、すべての作業を含む、目標達成を確実に行うための分野です。プロジェクトの成否に影響する最重要項目とも言われています。

3. スケジュールマネジメント

プロジェクトを所定の時間で完了するようにマネジメントする上で必要なプロセスです。「タイムマネジメント」とも呼ばれます。

4. コストマネジメント

プロジェクトを予算内で完了するための、計画、見積り、予算化、資金調達、財源確保をコントロールをするのがコストマネジメントです。現実的な予算を設定し、予算を超過しないようにマネジメントを行います。

5. 品質マネジメント

ステークホルダーの期待を満たすために、プロジェクトとプロダクトの品質要求事項の計画、マネジメント、およびコントロールに関する組織の品質方針を組み込むプロセスです。プロジェクトによってできた成果物の品質の管理をする分野が品質マネジメントです。プロジェクトにおける高品質とは、成果物がクライアントの要求に一致しており、使用に適していることを指します。

6. 資源マネジメント

プロジェクトの目的を達成するために人材だけでなく物的資源を調達・管理し、プロジェクトを遂行できるチームを組織する分野が資源マネジメントです。「人的資源マネジメント」とも呼ばれます。

7. コミュニケーションマネジメント

コミュニケーションマネジメントは、ステークホルダー(利害関係者)との適切なコミュニケーションを行うために必要であり、具体的にはプロジェクト情報の計画、収集、生成、配布、保管、検索、マネジメント、コントロール、監視、そして最終的な廃棄を適時かつ適切な形で確実に行うために必要なプロセスです。ポイントとしては、情報を相手に伝達するだけでなく、相手の理解を得ることまで求められます。

8. リスクマネジメント

プロジェクトに関するリスク・マネジメントの計画、特定、分析、対応計画、対応策の実行、およびリスクの監視を実施するプロセスです。リスクを避けてばかりいるとチャンスが得られない可能性も高く、リスクは必ずしも悪いものではありません。そこで、プロジェクトにとってマイナスになるリスクを予防し、コントロールしながら継続的に管理、調整する必要があります。

9. 調達マネジメント

作業の実行に必要なプロダクト、サービス、所産をプロジェクト・チームの外部から購入または取得する際に、業者の管理をすることを調達マネジメントと定義しています。調達には契約がつきものですが、契約だけがこの領域の目的ではありません。選定から納品の進捗管理、検収まで、調達に必要なすべての管理を行います。

10. ステークホルダーマネジメント

プロジェクトに影響を与えたりプロジェクトによって影響を受けたりする可能性がある個人やグループまたは組織を特定し、ステークホルダーの期待とプロジェクトへの影響力を分析し、ステークホルダーがプロジェクトの意思決定や実行に効果的に関与できるような適切なマネジメント戦略を策定するために必要なプロセスです。

プロセス管理方法

プロセス管理では、まずそれぞれのプロセスを細分化し、改善点を見つけていきます。

業務全体を漠然と見渡していても、問題点がどこにあるか気づきにくいものですが、こうすることで即効力のある解決策が得られるのです。

プロジェクトはいくつかの大きなプロセスによって構成されています。

ここでは、5つのプロセス、「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」のそれぞれのポイントについて説明します。

Five Phases of Project Management

1. 立ち上げ

「立ち上げ」プロセスでは、プロジェクトに求められる要求を理解して、プロジェクトの方向性を定めます。「なぜ、プロジェクトを立ち上げたのか?」という目的と、「何をもってプロジェクトは成功したと判断するのか」という目標を明確にして、プロジェクトのゴールを決めます。これを利害関係者の共通認識として、正式にプロジェクトをスタートさせます。

2. 計画

「立ち上げ」でプロジェクトのゴールを定めたら、「どうやってそのゴールまでたどり着くか」を考えるのが「計画」プロセスです。プロジェクトは、ほぼ100%計画通りにはいきません。後になって、要件が変更されたり、スケジュールが遅延したりと、必ず不確実性が存在します。そのため、その時点でわかっている情報で「計画」を立てて、徐々に詳細化していく「段階的詳細化」をしていく必要があります。

3. 実行

「計画」を立てれば、それを「実行」するプロセスに移ります。「実行」している間、プロジェクトマネージャーは利害関係者と情報共有を行い、積極的にコミュニケーションしていくことが求められます。

4. 監視・コントロール

プロジェクトは往々にして、「やってみないとわからない」取り組みであることが多いです。言い換えると、「やってみるとわかることがある」ということを意味します。いくら精度の高い計画を立てたとしても、計画通りにプロジェクトが進むことは、ほとんど有り得ません。計画と実績には、必ずギャップが存在するのです。そこで思い悩むのではなく、経験によって新しく学んだことを適宜、計画にフィードバックすることで、プロジェクトの成功に貢献します。

5. 終結

プロジェクトには、「独自性」があるということは前述しました。それでは、1つのプロジェクトで学んだ知見を水平展開することはできないのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。プロジェクトで、うまくいったこと、いかなかったこと、どのような問題が起き、どう対処したか、などを組織に共有(ナレッジマネジメント)することで、組織のプロジェクトマネジメントの成熟度を高めていくことができるのです。

プロセス管理テンプレート

プロセスにはプロジェクトのライフサイクルに合わせて実施すべき作業が定められています。実施作業を行う方法について、材料となるインプット、インプットを加工するツールと技法、最終的な成果物であるアウトプットが示されています。

プロセスは以下の用語で記述されます。

  • インプット(ドキュメント、計画、設計など)
  • ツールと技法(入力を処理するメカニズム)
  • アウトプット(ドキュメント、製品など)

ここで注意が必要なのがフォーマットです。

プロジェクトごとにフォーマットが異なっていてはレポートの情報を有効に活用できず、作成にも手間がかかってしまいます。

エクセルではレポート作ると印刷時にズレが生じたり、修正に時間を割かなければなりません。

管理ツールを導入すればレポートのフォーマットも統一することが可能です。

プロセス管理の事例

プロセス管理は、主に以下のような業界で使われています。代表的な例を上げますが、プロジェクトを本来の定義である「目的と範囲、リソース、および期間が定めらており、1つの目標を達成するために様々なメンバーが垣根を越えて取り組む一時的な仕事の集まり」として考えると、使用できる業界はこの限りではありません。

  • ソフトウェア開発
  • イベント開催
  • マーケティングおよびセールスチーム
  • 映像・デザインなどのクリエイターチーム
  • 新薬開発

プロセス管理の注意点

プロセス管理にはデメリットもあります。

プロセスの分割や報告すべき情報が膨大になると、管理者の仕事量ばかりが増えて、効率改善どころか効率悪化の要因になることもあるのです。

分割方法の吟味と報告の情報量を絞って、適切なプロセス管理を行い、職場効率を上げることが重要です。

最初は、プロセス管理を必要な情報収集手段と割り切り、経験値上昇に役立てるところから始めるのが良いでしょう。

プロセスマネジメント業務自体は現場で行われる改善活動です。

しかし、現場だけで計画し実行されたプロセスマネジメントは、往々にして成功しないことが多いです。

これまで「結果」のみを重視してきた組織が、「結果までのプロセス」を細かく追いかけて改善を行うことで、業務効率を実現することは十分可能でしょう。成果が出てくると成功体験によるスタッフ達のモティベーション向上にも繋がります。しかし、成果がでるまでの期間の業務負荷増加は、会社の生産性に影響が出かねない問題です。

スタッフ配置や業務負荷については良く注意して、現場から不満が出ないように采配することが非常に重要になります。

まとめ

プロセス管理とは、プロジェクトの過程を効果的に管理することで、成果を最大化するマネジメント手法のことです。プロジェクトでは多数のプロセスを実施することで目的を実現しています。

プロセス管理では、まずそれぞれのプロセスを細分化し、改善点を見つけていきます。

5つのプロセス「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」が存在し、実施すべき作業が定められています。

プロジェクト管理の本来の定義を確認したり、どのような管理方法がふさわしいのか、もういちど立ち戻って理解したいという方は、プロジェクトマネジメントの全体の概要をこちらの記事にまとめています。是非ご覧ください。

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