グループウェアとは?
グル―プウェアを英語で表記するとGroupwareまたはCollaboration Softwareといいます。単純なインスタントメッセージングから、会議や電話、ビデオ会議まで、業務効率を上げるツールの総称です。特定の要素に焦点を当てているアプリケーションもあれば、複数の機能を組み込もうとするアプリケーションもあります。タスク管理やスケジュール管理などの機能が1つのシステムに統合されています。
ワークフローシステムとの違い
グループウェアとワークフローシステムは特性が大きく異なります。
- グループウェア:組織内での情報共有やコミュニケーションが目的
- ワークフローシステム:業務手続きを電子化し、負担軽減や業務効率化が目的
グループウェアは社員同士を繋げるツール、ワークフローシステムは業務をつなげるツールといえます。 グループウェアの主な機能には、スケジュール管理、ドキュメント共有、社内SNSがあります。これらの機能によって、情報共有の活性化や円滑なコミュニケーションを可能にします。
一方、ワークフローシステムは、文書を起点とした許可・依頼・共有などさまざまな業務手続きをオンライン化するシステムです。申請・承認のオンライン化だけでなく、保管・保存・破棄といった完了後の管理業務もオンライン化され自動で流れていくのが特長です。 業務をつなぎ、業務フローを流すことに特化しています。
グループウェアのワークフロー機能でも十分対応できる業務もあります。しかし、社内の多様な業務を管理・運用しようとすると、ワークフロー機能で完結できないケースが多く、業務フローの見直しが発生します。
グループウェアが注目される理由
近年ではMicrosoftのOfice365やGoogleのGoogle Appsなどの普及によ利、ほとんどの企業でグループウェアが利用されるようになりました。
グループウェアは昔に比べて導入コストが下がり、さらにシステムのクラウド化が進むことで、大企業だけでなく中小企業でも導入が急速に進んでいます。
グループウェアの市場規模と市場成長率
下図は、現在のグループウェアの市場規模と成長率を示しています。
2020年の時点ではアメリカが最も大きな市場となっており、以降ドイツ、イギリス、日本、中国が続きます。
国別GDPの上位国がグループウェア市場規模でも上位にランクインしており、経済的に豊な国々がグループウェアを導入できているという自然な流れと言えるでしょう。
では、今後5年間の成長率に目を向けるとどうでしょうか。
グループウェア市場として最も大きな成長が見込まる中国は+112%となっており、5年で2倍以上の市場規模に発展すると予想されています。
2位以降はブラジル、イラン、インド、メキシコと続き、人口が多く今後も増加していく国々が多くランクインしています。
日本のグループウェア市場も今後5年間で15%の成長が見込まれ、中小企業での導入もさらに進んでいくでしょう。
世界中の企業がテレワーク・リモートワーク を推進していることからも、グループウェアの重要性は国内外でさらに高まっていくと予想されます。
グループウェアの活用は、競争力のある企業や組織を構築するために必須のものとなるでしょう。
グループウェアのメリットとデメリット
グループウェアの持つ機能や特徴に再び注目が集まっていますが、グループウェアにはメリットもある反面、デメリットもあります。導入を考えているならばこの両方をしっかり押さえておきましょう。
グループウェアのメリット
グループウェア導入のメリットは次の7つです
- 情報・知識の共有
- グループウェアの機能の1つである、掲示板機能によって業務情報や知識を簡単に共有できます。従来の紙媒体の書類を探す手間なども省くことができます。
- 業務連絡の効率改善
- チャット機能によって、メールや内線で行われていた細かな連絡を瞬時に終わらせることができます。
- 書類のデジタル化
- 今まで紙媒体で管理していた書類や資料をデジタル化しファイル共有機能を利用することで、社内やチーム内で迅速に共有できます。また、ペーパーレス化により、印刷の手間やコストの削減にも繋がります。
- マルチデバイス対応
- マルチデバイスに対応している製品であれば、外出先でも必要な情報をリアルタイムで閲覧できます。自宅や出張先からのテレワーク中でも情報を共有・コミュニケーションを取ることが可能です。
- リモートワーク実現による生産性向上
- 離れた場所にいる社員同士がビデオ会議機能によりリアルタイムに繋がる事ができるので、会議室への移動時間と交通費を削減できます。これにより生産性向上と勤務時間の短縮が可能になり、会議による社員の負担を軽減することにも繋がります。
- 情報漏えいリスク軽減
- グループウェアの機能を使って共有したデータや情報は、閲覧可能範囲を設定することで情報漏えいを防ぐことができます。
- 承認・決裁作業の簡略化
- ワークフロー機能により、企画書などの承認作業をシステム上で行うことができます。従来の方法では何度も上司のもとへ行って、手間のかかる承認作業を繰り返していましたが、ワークフロー機能により効率化・工数削減が可能になります。
グループウェアのデメリット
グループウェアの導入のデメリットは3つありま
- 部門や役職を越えたコミュニケーションが難しい
- グループウェアの多くは、チャット掲示板の作成に管理者の許可が必要です。そのため、部門や役職を越えたコミュニケーションが難しいというデメリットがあります。部門を跨いだコミュニケーションが目的なのであれば、社内SNSが最適でしょう。
- 社内に浸透しにくい
- グループウェアには機能が豊富にありますが、導入の目的が社内で明確になっていないと、社員にほとんど利用されない可能性があります。さらに、既に導入済みのツールや社内ルールがある場合に、新しいツールの導入を嫌う人もいます。
導入には予算がかかる
ごく一部の無料のツールを導入する場合を除き、グループウェアの導入には費用がかかります。複数のツールを使いこなすのは非効率ですし、より現場の混乱を招いてしまいます。その点、費用はかかりますが、グループウェアは社内コミュニケーションや業務効率化といった成果を一つのツールで実現できます。
グループウェアの機能
グループウェアの機能とは、業務効率化、情報共有、コミュニケーションの3つの機能を搭載したソフトウェアのことです。複数人での仕事を補助する機能を多く備えており、業務効率化に大きく貢献するツールとして、多くの企業で導入されています。具体的に以下のような機能があります。
スケジュール管理
個人のスケジュール管理のみでなく、メンバーのスケジュールを共有、確認できます。各従業員のスケジュールが可視化されるため業務の計画や割り振りが効率的に行えるようになり、メンバーの時間をより有効活用できるようになります。
タスク管理
自分の作業や依頼された仕事(タスク)、メンバーに指示した仕事を一元管理できます。期日や重要度を即座に把握できます。複数のメンバーに対して仕事を依頼でき、それぞれの作業の進捗状況を一画面で確認できます。
プロセス管理
プロセス管理は、「申請の承認や稟議の決裁を管理する」アプリ(稟議書、交通費申請、休暇申請など)などでよく使われます。複数のメンバーでレコードの編集や確認をするためのプロセス(ワークフロー)を設定できます。
情報共有
グループウェアで特に重要なのが情報共有機能です。グループ間で情報を共有するこでチームの生産効率が向上し、トラブルの防止や作業時間短縮に繋がります。
ファイル共有
グループ、プロジェクト、組織ごとに資料、写真、ドキュメントを整理・格納し、共有できる機能を搭載しています。アクセス制限やバージョン管理が搭載されている製品もあります。また、いつでもどこでも必要な情報にアクセスできるため、作業時間の短縮が可能です。ファイル共有の方法や注意点は、こちらのファイル共有の概要についての記事をご確認ください。
コミュニケーション
社員同士、グループ間で円滑にコミュニケーションが取り、効率的に業務に取り組むことができるようになります。昔からWebブラウザ上で利用できる電子メールはコミュニケーションツールとして多くの企業で使われていましたが、これに加えてチャットや掲示板の機能などがパッケージ化され、多彩な機能が利用できるようになることで、リアルタイムなメッセージのやり取りが実現されます。
グループウェアの種類
オンプレミス型グループウェア
オンプレミス型は、自社でサーバーを用意し、ソフトウェアをインストールして利用するタイプです。主に従業員1000人以上の大企業に適しているとされています。価格帯やセキュリティ、機能面など、それぞれのメリット・デメリットを具体的に確認しましょう。
- メリット1 自由度の高い設計が可能
自社の状況に合わせて柔軟にカスタマイズが可能です。機能追加など、社内の様々な要望にも応えることができます。大企業は要件が複雑になることが少なくないため、オンプレミス型を使っている企業が多くあります。 - メリット2 自社管理でセキュリティ対策ができる
自社のサーバ内にデータが保管されているため、外部漏洩のリスクはクラウド型と比較して低く抑えることができます。グループウェアはカレンダーの情報など個人情報から企業情報まで多くの情報を取り扱っているので、社内でセキュリティ対策を行いたい場合はオンプレミスをおすすめします。 - デメリット1 初期費用が高い
オンプレミス型は初期費用が高く、さらにサーバの導入費用もかかるため、導入コストが高額になる傾向があります。
ただ、社員数が多い企業ではクラウド型に比べてオンプレミス型の方がコストを抑えられる可能性もあります。クラウド型は1人あたりの月額制であることが多いので、導入前にコスト面を確認してみましょう。 - デメリット2 サーバの運用工数やコストが発生する
オンプレミス型は社内で構築するため、サーバのメンテナンスなどの業務が発生します。導入前にこれらの作業に対応可能なSEが在籍しているか確認しましょう。
クラウド型グループウェア
クラウド型は、インターネットを介して利用します。オンプレミス型と違い、インストールや運用保守の必要がないため手間なく導入できるのが特長です。
- メリット1 初期費用が安い
ソフトウェアやサーバの購入費用が必要ないため、初期費用が安価もしくは無料であることがほとんどです。初期コストを抑えて導入したい企業や初めて導入する企業にはクラウド型グループウェアがおすすめです。 - メリット2 最新の環境で利用できる
クラウド型の場合、ベンダー側で定期的に機能追加やバージョンアップが行われます。そのため、常に最新のバージョンや機能を利用できます。 - メリット3 導入に時間がかからない
クラウド型は、規模によりますが最短即日で利用可能です。そして、オンプレミス型と異なり自社でサーバを用意する必要がなく、インターネットを介してアクセスするだけで利用できます。 - デメリット カスタマイズ不可あるいは限定的な設計しかできない
サービス提供会社が準備したサーバを利用するため、要望があがっても機能のカスタマイズが出来ない場合があります。
グループウェアの比較
近年注目を浴びているクラウド型ですが、一概に全ての会社にとってクラウド型が最適とは限りません。
そこで、下記のようにクラウド型・オンプレミス型のメリット・デメリットなどを比較しました。
また、無料のグループウェアは多くありますが、その多くが何かしらの制限がある製品で、制限を外すと有料になります。
無料のグループウェアの制限
- 使える機能に制限がある
例えば、メッセージやタイムライン機能などは無料で使えますが、ワークフロー機能やファイル共有機能を使うには月額有料プランへの変更が必要になります。 - 利用人数に制限がある
一定人数までは無料で使えますが、その人数を超えると有料になります。例えば、300人までは無料で使えますが、301人以上で使うには有料プランに変える必要があります。 - 共有フォルダに容量制限がある
無料で使えるフォルダ容量に制限があります。例えば、無料プランだと全員で使えるフォルダ容量が30MBしかなく、有料プランに切り替えると1人1GBまで使えるようになります。 - IPアクセス制限が出来ない
無料のグループウェアの多くは、IPアクセス制限ができません。セキュリティの観点から言うと情報漏洩につながるリスクが高くなるため、セキュリティ対策は必須です。メールや顧客情報・営業情報をグループウェアで管理したい企業には導入が難しいかもしれません。
グループウェアの料金
グループウェアに限らず「価格」が重要な選定ポイントになります。多くの機能を望めば、価格は高くなりますが、使いこなせないほど多くの機能を備えていても無駄になってしまいます。必要な機能をしっかりと把握し、機能面と予算面で適切な製品を選定してください。
例えばクラウド型の場合、無料トライアル期間が用意されている事が多く、その期間で機能面の確認をする事ができます。
オンプレミス型グループウェアの相場は100ユーザーあたり30万円〜100万円です。
導入するには、自社サーバーや周辺機器などが必要になり、準備に100万円以上かかる場合もあるので、自社の環境を確認してから導入しましょう。
クラウド型のグループウェアの導入費用の相場は、100ユーザーあたり4万円〜10万円です。
1ユーザー当たりの料金が400円〜 3,000円前後と安価なため、従業員数が少ない中小規模の企業に向いています。
グループウェア導入の成功事例
具体的にどのような活用方法があるのか、グループウェアを活用した3つの事例をご紹介します。
事例1.グループウェアでリモートワークを実現
働き方改革を推進しているソフトウエア開発会社A社では、クラウド型のグループウェアを最大限に活用しています。在宅勤務の従業員と打合せ時間を設定する際は、スケジュール管理機能を駆使して連絡待ちの無駄な時間を削減できるようになりました。
会議はグループウェアに搭載されているWeb会議機能を利用することで、対面コミュニケーションに近い環境で会議を行うことができています。結果、個々の生活スタイルに合わせた柔軟な働き方が実現できています。
事例2.社内での情報共有・連絡を効率化
不動産業界のB社では社内での情報共有の遅さに課題を感じ、グループウェアを導入しました。これまでは、資料を紙に印刷して共有していたのですが、グループウェア導入後はファイル共有機能を使うようにした結果、用紙代の印刷コストの大幅削減を実現しました。
また、顧客管理アプリを独自にカスタマイズすることによって自社に最適な契約管理アプリを作成でき、物件の絞込みや情報更新の確認作業などを効率化できます。
事例3.チーム間での情報共有に関する問題解決
建設業界のC社では、チーム間での情報共有に関する問題解決の為に、グループウェアを導入しました。建設業界は機動力が勝負です。「いつでも」「どこでも」「誰とでも」コミュニケーションがとれないと仕事が進みません。
そこで、マルチデバイス対応のグループウェアを導入することで、共通事項をメンバーで共有できる掲示板や個別確認のできるチャットを場面に応じて使い分けることで、リアルタイムの情報共有ができています。
グループウェア導入のポイント
グループウェアのメリットだけでなく、デメリットも理解したうえで導入検討を進めることが大切です。また、導入に失敗しないためにも、企業規模に合った提供形態を選択したり、必要な機能は何かを把握するなど、事前準備も重要になります。導入前に進めるべき作業は次の通りです。
グループウェア導入の目的を明確にする
まずは、何のためのグループウェアを導入するのか、グループウェアにより達成したい目標は何なのかを明確にしましょう。多くのグループウェア製品はどれも基本的な機能は用意されていますが、重視している機能や使い勝手はさまざまです。そのため、目的を曖昧にしたまま検討を進めると、製品選びを失敗してしまうケースもあります。
業務連絡をスムーズに行うことで業務時間短縮を図りたい、リモートワークを可能にしたい、社員のスケジュールを明確化したいなど、まずは目的を明確化することがグループワーク導入成功のための第一歩です。
社員への説明で導入への理解を得る
グループウェアの導入は、現場スタッフの作業プロセス変更を必要とします。グループウェアを浸透させるためにも社員の理解は不可欠なため、まずは社員に導入についての説明を行いましょう。導入の理由やメリットについて丁寧に伝えて、新システム導入に対する理解を得ることが重要です。
業務プロセス変更の必要性をチェック
グループウェアの導入前に、グループウェアに関わる業務プロセスをチェックしましょう。変更が必要な場合は、業務プロセスの見直しを行います。グループウェア導入と共に適切な業務プロセスの改善を行うことができれば、作業効率の向上にも繋がります。
まとめ
グループウェアは導入の難しさやシステム上のデメリットはありますが、それに上回るメリットがあります。 取り挙げたデメリットはグループウェアに対する知識を深めることによって回避できる様になります。
グループウェアを導入することで得られる業務効率化、情報共有、コミュニケーションは企業にさまざまな利益をもたらします。複数のグループウェアを比較するのと同時に、現場の需要を把握して、業務にあった製品を導入しましょう。
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