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新規株式公開 (IPO) を成功に導く 4 つのカギ

by Jennifer Ceran

私は Smartsheet の CFO として、2018 年 4 月の新規株式公開 (IPO) に携わる機会に恵まれました。これは私にとって 2 度目の IPO で、1 度目は 2015 年 1 月に財務担当 VP として Box (ボックス) の上場に携わりました。

新規株式公開 (IPO) は大変な作業である一方で、企業にとって最もやりがいのあるイベントの 1 つでもあります。IPO の成功に向けた道程は、社内での準備と計画から始まります。準備を入念に行うほど、プロセスをより効率的に推進でき、その結果として全体的なコストも抑制されます。以下では IPO を検討している企業のために、私自身の経験に基づき、IPO を成功に導く 4 つのヒントをご紹介します。

 

Smartsheet IPO at NYSE

1. 市場のタイミングがカギを握る

市場のタイミングと受け入れ態勢は非常に重要です。私が在籍していた当時、Box (ボックス) は市場が好調な中で IPO プロセスを開始しました。高成長を続ける SaaS 企業に対する需要は大きく、投資銀行家らは、Box (ボックス) の成長機会は (同業他社と同様に) 非常に大きいため、利益率は低くても良いと考えて、IPO に参加することに熱心でした。しかしながら半年後に Box (ボックス) が登録届出書 (フォーム S-1) を提出した時点で、SaaS 企業の公開株価は大幅に下落し始めていました。その結果、こうしたビジネス モデルに対する投資家の信頼が回復するまで、Box (ボックス) は IPO を 9 か月間延期しなければならなくなりました。

将来の市場環境を正確に予測することは不可能なため、市場のセンチメントが変化した場合に備えてバックアップ計画を用意するとともに、ビジネス チャンスを継続的に追求し、市場が再び活性化するのに備えることが必要です。

2. IPO プロセスを主導する

Box (ボックス) と Smartsheet のいずれにおいても、まずは社内チームがフォーム S-1 の「ビジネス」項と「リスク」項の最初のドラフトを作成し、キックオフ ミーティングで銀行家、弁護士、会計士と共有しました。このアプローチにより、私たちは S-1 の完成までの時間を大幅に短縮できました。Smartsheet の場合は、S-1 の最初のドラフトを 4 週間足らずで証券取引委員会 (SEC) に提出でき、SEC から返ってきた質問はわずか 10 件でした (弊社の調査によると、これはフォローアップの質問として非常に少ない数です)。

私たちは第三者と協力して助言を得る一方で、船の舵取りは自らが行うよう努めました。また Smartsheet を使用して S-1 プロセスを管理および自動化することで、コストと時間を大幅に効率化できました。

3. ブックランナーを慎重に選定する

投資銀行家の選定は、最も難しいことの 1 つかもしれません。特定の相手との良好な関係性が構築されている場合もあり、また誰もが公募に参加したいと考えています。私が推奨するのは、まずアクティブ ブックランナーを 1 ~ 2 社選定し、特に各社に同程度の仕事を求める場合は、それぞれに支払う金額をほぼ同額にすることです。  

Smartsheet は IPO に際して 2 つのアクティブブックランナーを指名しました。そして公開申請の約 6 週間前に、残りのパッシブ ブックランナーと副幹事を招待するために連絡を取りました。これらの銀行は、これまでの関係性や、リサーチ アナリストが調査した弊社ビジネス モデルの理解度に基づいて選定されました。このように他の関係者を招待するタイミングをできる限り遅くすることで、プロセスの効率性と機密性を維持できました。

4. 長期的視点に立って価格設定を行う

Box (ボックス) の場合は、レンジ上限である 14 ドルで値付けし、初日の値上がり率は 66% でした。一方 Smartsheet の場合は、レンジを 1 ドル上回る 15 ドルで値付けし、初日の値上がり率は 30% でした。私が見るところ、Smartsheet の方が初日の値上がり率が低かったことが、その後の好結果につながりました。この一見矛盾する主張について、その理由を説明しましょう。

一般投資家が 1 日で大きな利益を得ると、始値で売却する可能性が高くなります。そうなった場合、価格が高い、新しい会社である、180 日間のロックアップ期間の満了前で流動性に欠けるなどの理由で、これらの売却された株式を引き取る新しい投資家が多く現れない可能性があります。一方、1 日の値上がり率が小さければ、より多くの投資家がより長期にわたって株式を保有するため、価格の安定性が向上します。こうした理由から私は、一部の大口の上場企業投資家に敬遠されたとしても、銀行家が推奨するよりも少し高値に設定することを推奨しています。このやり方は、株式の需要が供給を大幅に上回っている場合に、特に効果を発揮します。

IPO を考えている企業の皆様に、最後にもう 1 つアドバイスを送ります。NYSE または NASDAQ のどちらを選択するにせよ、公開日を徹底的に楽しむことを忘れないでください。その日は、創業者、投資家、従業員、家族、および IPO のために雇用されたチームとともに、大きな達成を祝う特別な日です。その後はオフィスに戻って業務に邁進しましょう。