ウォーターフォール手法のフェーズ
ウォーターフォール手法は 7 つのフェーズに分かれており、各フェーズの内容は前のフェーズの状態によって左右されます。このプロセスは、ガント チャート (各タスクの開始日と終了日を示す線形の棒グラフ) を使用して計画できます。
チームが次のステップに進むには、前のフェーズを完了し、レビューを実施して承認を得る必要があります。ウォーターフォール手法では、最大限の効率を確保するためにこのようなプロジェクトに厳格な構造を適用します。この手法が変更を実施するのに莫大なコストや時間がかかる業界で考案されたためです。
ウォーターフォールの 7 つのフェーズは次のとおりです。
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構想: このフェーズは、アイデアの考案やプロジェクト、プロジェクトのコスト分析、プロジェクトの利点のベースライン評価から始まります。
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開始: アイデアが生まれたら、プロジェクト チームを雇用し、目標、範囲、目的、成果物を定義します。
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要件の収集と分析: プロジェクトの実現可能性を分析し、分析内容を要件仕様ドキュメントに記録します。
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設計: 設計の仕様を作成、調査、評価し、製品の最終形態や、その実現に必要なアクションを理解します。
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実装/コーディング: ソフトウェアのコーディングを開始します。このフェーズでは、これまでのすべての計画を実行に移します。
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テスト: コーディングが完了したら、テストを実施し、ソフトウェアを顧客に納品する前にエラーがないことを確認します。必要に応じてユーザー受け入れテスト (UAT) も実施できます。このテストでは、より広範なユーザーにソフトウェアを配布する前に少数のユーザーにソフトウェアを試用してもらいます。
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メンテナンス: このフェーズでは、本番環境で発生したその他の問題について顧客に報告してもらいます。開発チームは、このフィードバックに基づいて問題の解決とソフトウェアの修正に取り組みます。
その他のリソース:
作業分解構成図とは?
作業分解構成図 (WBS) は、プロジェクトの成果物とその後のすべての構成要素を作成、定義、追跡するために使用する視覚的なツールです。WBS は作業の範囲全体を分解した図で、プロジェクトの目標、目標の達成に必要なステップ、目的の成果または製品を定めます。
各成果物により焦点を合わせ、タスクを完了するメソット、不要な作業、リスク、無駄な時間を計算式から取り除きます。範囲の広いプロジェクトではなく、分解されたタスクのリストに焦点を合わせるため、チームはより迅速かつ効率的に目標を達成できるようになります。
その他のリソース:
クリティカル パス法とは?
クリティカル パス法は 1950 年代に注目を浴びたプロジェクト管理の手法で、この手法により、企業はプロジェクトのタスクが効果的に遂行されることによりもたらされる成功を特定できます。この手法では、プロジェクトの期間や成功に影響する一連の連続する活動を決定します。
CPM は、プロジェクトの遅延や後退が計画案全体にどのように影響するのかを判断し、遅延の危険性があるタスクを特定するのに役立ちます。タスクを計画通りに完了できない場合、不利な結果がもたらされる可能性が高くなるからです。ほとんどのプロジェクトのクリティカル パスは 1 つだけですが、あらかじめ設定したタイムラインを守るために、複数のクリティカル パスに従い、それを管理する必要があるプロジェクトもあります。
その他のリソース:
ウォーターフォールの利点と欠点
単純で体系的なプロジェクトには、線形でわかりやすい設計のウォーターフォールが最適です。視覚的に表現されるため、プロジェクトの目標を達成するために完了する必要があるステップを簡単に理解できます。
ウォーターフォールのその他の利点には、次のようなものがあります。
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使いやすさと管理しやすさ: ウォーターフォールは、プロジェクトの段階を順番に進めるために必要なステップを指定する、厳格なモデルです。各プロジェクトで同じパターンに従っており、始める前に知識を習得したり、トレーニングを受けたりする必要がないため、簡単に理解できます。7 つの各フェーズには、達成しレビューする必要のある特定の構成要素が含まれており、各ステップを簡単に管理し続けることができます。
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高度な統制: 各ステップの開始点と終了点がプロジェクトの開始時に決まるため、進捗状況を共有し、間に合わなかった締め切りを報告し、プロジェクトの管理に伴うリスクを排除することが簡単になります。
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包括的なドキュメント: ウォーターフォールでは、次のフェーズに進む前に各フェーズをレビューし、文書化することで、各フェーズで完了されたタスクをよく理解できるようにする必要があります。ウォーターフォールでは文書化が重視されるため、プロジェクトに従い、プロジェクトについて報告し、プロジェクトに差し戻しを行うには物理的な方法が用いられます。
ウォーターフォールの最大の欠点は、変更に適応できないことです。ウォーターフォールでは線形で従属型のモデルを使用するため、問題解決が困難です。
ウォーターフォールのその他の欠点には、次のようなものがあります。
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変更への適応が遅い: フェーズを一度完了させると、プロセス全体を最初からやり直す以外に、戻ったり成果を変更したりする方法はありません。このプロセスに変更の余地を持たせるには時間とコストがかかるため、プロジェクトの一部が計画どおりに進んでいない場合、チームは厳密なタイムラインを維持するのが難しくなります。
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納期が長い: プロジェクトでは、多数のステップを実行フェーズが開始する前から実行する必要があります。このため、製品が本稼働するのを確認するのに長い時間を要し、ライフ サイクルの後期にまで及びます。
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要件を決定するのが難しい: プロジェクトの分析はプロセスのかなり早い段階で行われるため、関係者と顧客は目的の成果を早期に特定する必要があります。ところが、特に設計フェーズの早期では、プロジェクトの進行状況を確認せずに目的の成果を決定するのが難しい場合があります。
ウォーターフォールが適している状況
ウォーターフォールは高度に構造化された手法であるため、固定されたタスクや締め切りを設定し、維持する必要がある業界に最適です。たとえば、製造業と建設業は、従属するフェーズを適切なタイミングで完了することが不可欠で、臨機応変に対応できないビジネスであると言えます。
計画の変更にはコストがかかり、変更が不可能な場合もあります。このため、ウォーターフォールを使用することで、プロセスが確実に順番に進むようにし、プロジェクトのすべての段階で安定性を維持できます。
ウォーターフォールとアジャイルの比較
ウォーターフォールがプロジェクトの設計フェーズを重視しているのに対し、アジャイルは設計をほとんど重視していません。ウォーターフォールでは、新しいソフトウェアの提供前に構築とテストに長い時間がかかりますが、アジャイルでは、ソフトウェアの構築完了後、ほとんどの場合では開発者が構築し終えるとすぐにソフトウェアを繰り返しテストします。
大きく異なる点として、ウォーターフォールを用いたプロジェクトの前進は、タスクの完了にかかっているといえます。それに対し、アジャイルは、アジャイルの価値を活用する多数の派生手法からなる「動き」であると考えられます。
ウォーターフォールはタスク間にさまざまな依存関係があるプロジェクトに最適であるのに対し、アジャイルは、クライアントが目的とする成果を確定しておらず、短納期を希望しており、設計プロセスに密接に関わることを望んでいるプロジェクトに適しています。採用するプロジェクト管理手法を決定する際には、求められる品質とスピードを考慮することが大切です。
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ウォーターフォールとアジャイルのハイブリッド
この 2 つのプロジェクト管理手法を組み合わせることで、最適な製品を作ることができる場合もあります。「Agifall (アジフォール)」や「WAgiile (ウァジャイル)」という造語で呼ばれるこのプロセスでは、最適な管理スタイルを目指して各手法の最も得意とする部分を組み合わせます。
アジフォール プロジェクトでは、開発フェーズでアジャイル手法の要素を多く取り入れており、事前に得る情報の量が多く、次のフェーズに進むために前のフェーズの完了を待つ必要が少なくなっています。ウォーターフォールと同じように、この手法には依然として大量の計画策定、調査、戦略が必要ですが、アジャイルのように柔軟性があり、変更に適応しやすくなっています。