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IT チームがデジタル トランスフォーメーションを推進するために必要な 7 つのソフトスキル

by Stephen Danos

チームを構築する際に、技術的なスキルに焦点を当てるのは簡単です。技術的なスキルは分かりやすく、測定が容易で、広く知られているためです。2020 年 1 月、LinkedIn (リンクトイン) の調査によって、従業員が備えておくべきソフト スキルが特定されました。クリエイティビティ、説得力、共同作業能力、適応力、感情的知性です。新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミックによって誰もが何らかの形で影響を受けている今、ビジネスの継続を目指す企業ではソフト スキルの真価が問われています。

グローバルなパンデミックを考慮しなくても、ソフト スキルは課題となっています。特に、新しいタスクに取り組み、組織全体のチームが連携することが必要なデジタル トランスフォーメーションを進めている企業ではその傾向が高まっています。問題を解決し、やるべきことを片付け、他者と上手く連携する能力を持った従業員がいなくては、大規模な変化を管理することにはリスクがつきまといます。 

さらに、ますます多くの企業がデジタル トランスフォーメーションを急速に進めています。新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって在宅勤務の従業員が増え、テクノロジー企業がその移行を支援するツールを無料で提供しているためです。多くの内部カスタマーが在宅勤務をしているからといって、IT 専門家が同じことをできるわけではありません。彼らは技術的な問題を対面で、またはリモート デスクトップ ツールでトリアージし、オンプレミス サーバーを保守し、他にも多くの重要な機能を管理しなければならないためです。 

これらすべてを考慮に入れて、現在、そしてコロナ禍以降の世界で IT リーダーがチームを構築する際に重要視するべきソフト スキルは以下の 7 つです。 

1. クリティカル シンキング

新しい事業を始める場合、直面することになる新しい問題を定義して解決するために役立つスキルはクリティカル シンキングです。このスキルにはデータを概念化、合成、分析する能力、そして分析から結果を推測し、結論を導く能力も含まれます。クリティカル シンキングはビジネスが勝ち残るために不可欠なスキルです。

しかし、MindEdge (マインドエッジ) による調査によれば、現在の学生と最近卒業した学生のうちクリティカル シンキングの十分なトレーニングを受けていると感じているのはわずか 36%、同僚が十分なトレーニングを受けていると感じているのはわずか 20% でした。 

クリティカル シンキングのスキルを持つ人材を採用するには、これまでの業績について話す際に思考プロセスを示すことができる候補者を探してください。たとえば、調査、熟考、共同作業、意思決定、実行を通して、どのように重要な決断や複雑な問題に対処してきたかの例を示せる人です。

Illustration of overlapping speech bubbles

2. 複雑なコミュニケーション

デジタル トランスフォーメーションには複雑な変化が伴うため、組織全体の賛同が必要です。チームは技術的な用語を書面でも口頭でも、組織の全員が理解できるように説明できる必要があります。説得によって他者に影響を与える能力も重要となります。

デジタル トランスフォーメーションは企業のすべての部署と従業員に関わることなのでなおさらです。必要となる人材は他者の賛同を勝ち取り、企業全体にプロセスと目標を理解してもらい、必要な場合はこれらの作業をリモートで行うこともできる人です。

3. クリエイティビティ

素晴らしい絵を描いたり、考えさせる短編小説を書いたりできることだけがクリエイティビティではありません。クリエイティブな人とは、問題を検討し、それを解決するために一見突拍子もないような新しい方法を考えることができる人です。彼らは思索とブレインストーミングの段階ではリスクを取ることを恐れません。 

潜在的な候補者のクリエイティビティのスキルを評価するには、現在会社が解決しようとしている課題を共有し、その問題にどのようにアプローチするかを候補者に尋ねてみるとよいでしょう。焦点を当てるのはソリューションの実現可能性ではなく、思考プロセスと独創性です。その人は従来のプロセスや手法に頼っているでしょうか、それとも会社がまだ検討していなかった新しい視点を提供しているでしょうか。  

Simple illustration of two people collaborating

4. 共同作業

近年の業務は本質的に共同作業を必要とします。自発的に他者と連携できるチーム メンバーが必要となります。つまり、他者の声に耳を傾け、ブレインストーミングし、コミュニケーションを取り、フィードバックを受け入れ、功績を共有できる人材です。 

たとえば、GE が 1 つのマスター CRM へと移行する際、チームは人々に平等の発言権を与え、サイロを排除し、プロセス全体にテクノロジーのエキスパートを関与させることで、企業内のさまざまな役割や部署の従業員との共同作業を行いました。多くの従業員が在宅勤務をしている現在、チームはビデオ会議、デジタル ホワイトボード、共同作業管理プラットフォームなどのクラウドベースのテクノロジーを導入して効果的な共同作業を維持できます。

5. 感情的知性

LinkedIn (リンクトイン) の年次調査によれば、感情的知性を持っ た従業員は「自己認識、自己統制、ソーシャル スキル、共感、モチベーションの能力を併せ持って」います。これらの性質は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックのような危機的状況ではなおさら、チーム同士が連携してデジタル トランスフォーメーションで大きな目標を達成するために役立ちます。

IT の専門家は内部カスタマーを最優先に考えるようにトレーニングされており、現在はハードウェア、ソフトウェア、コンピューターの周辺機器のトラブルシューティングのリクエストを山のように抱えているかもしれません。負担はますます増えており、パンデミックの後も在宅勤務が当然になる可能性があります。感情的知性が高い人材は、必要とされる場所で必ず助けになる存在になるでしょう。 

Illustration of a guage

6. 柔軟性と適応性

どれほど統制のとれた組織でも、デジタル トランスフォーメーションが計画どおりに進むとは限りません。一部のタスクに予想よりも時間がかかる場合もあります。新たな問題が発生する場合もあります。最終的な結果は、開始時の予想とはまったく異なるものになる可能性もあります。 

そのため、円滑に方向転換が可能で、すばやく適応できる人材がチームに必要となります。チームに柔軟で苦もなく方向転換できる人材を揃えることで、チーム内の変更を管理することではなく、組織を変えることに焦点を当てることができます。

7. 生産性と説明責任

トランスフォーメーションの目標を迅速に達成するためには、短時間で多くの作業を完了できる人材が必要です。つまり、1 日の中でどうやって時間を作ってあれだけの仕事をこなしているのかと、周囲が不思議がるような人です。そして同じくらい重要なのが、自分の仕事に説明責任を持てる人材です。 

これらのスキルは面接時に評価することが困難です。多くの企業がバーチャルでの面接に移行している現在はなおさらです。候補者には、最近の業務プロジェクトについて話してもらうこと検討してください。その話の中からヒントを探し、候補者がどのような仕事に責任を負っていたか、また短期間で何を達成することができたのかを判断してください。候補者の説明責任を評価するには、仮にプロジェクトに遅れが生じていたらどのような対応をしたかを尋ねてください。

成功するチームを構築する

最も困難な課題にも対応できるチームを構築することは簡単な仕事ではありません。しかし、チームのメンバーを採用する際に技術的なスキルだけでなくソフト スキルの重要性も念頭に置くことで、困難な時期に力を発揮する、耐久性の高いチームを構築できます。