エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオ管理: 利点、課題、プロセス、メトリック

By Kate Eby | 2021年7月29日 (更新 2024年1月4日)

この包括的なガイドでは、エンタープライズ ポートフォリオ管理 (EPM) とエンタープライズ プロジェクト ポートフォリオ管理 (EPPM) について学び、組織全体で最も効果的なシステムを実装できるようにします。

このページには、EPM と EPPM の具体的な定義、最適な EPPM を作成する方法についての考え方がわかる便利でダウンロード可能なチェックリストEPPM を実装するための専門家のヒントが記載されています。

エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオ管理とは?

エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオ管理 (EPPM) とは、より戦術的なレベルで行う必要がある作業を理解するために、ビジネス戦略の概要を取り上げ、より小さなイニシアチブに分割する方法です。

効果的な EPPM は組織のプロジェクト、プログラム、ポートフォリオ、全体的なビジネス戦略の整合性を高めます。EPPM の実装に成功している組織は、企業戦略レベルで歩調を合わせ、長期的により成功したプロジェクトの成果を生み出します。

EPPM は多くの場合、エンタープライズ ポートフォリオ管理オフィス (EPMO) によって運営されます。このオフィスは、特定のプログラムやプロジェクトのガバナンスを確立し、監督するのに役立ちます。EPMO は、企業レベルのストラテジストが作成した優先順位を統合して拡張し、チームがリソースを効果的に割り当て、目標を達成できるようにします。

エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオ管理は組織に対し何をするのか

EPPM はアクティブな作業の可視性を組織に提供します。このインサイトにより、進行中のすべての作業が組織の戦略と目標にリンクされます。

さらに、EPPM を使用すると、組織はプロジェクトやプログラムの実行をよりよく管理し、プロジェクトが戦略的目標に影響を与えているかどうか、同一または類似するプロジェクトに取り組んでいるビジネス ユニットはどれか、各プロジェクトに割り当てられたリソース、予定されたプロジェクトとプログラムのコストなど、重要なインサイトを明らかにすることができます。

EPPM を使用すると、組織の各部門が大規模なビジネス目標に沿って調整を行い、協力して重複を避け、ROI を最大化できます。 

企業は、効果的な EPPM を達成するために、次のような項目に対応すると考えられる EPMO を活用する必要があります。

  • 資金提供するプロジェクト 
  • キャンセルまたは延期されるプロジェクト
  • 外部の介入を必要とする業績の思わしくないプロジェクト
  • プロジェクトのリスクを改善する方法やコンプライアンス管理および監視に関するインサイト
  • すべての従業員とチーム メンバーの引き付け、定着、モチベーション
  • 製品とプロジェクトのコストおよび利益幅を改善または損なう可能性のある方法
  • 今後の四半期と年間において最もミッションクリティカルなプロジェクト

企業がエンタープライズ ポートフォリオ管理オフィスを必要とする理由

企業は、より大きなビジネス目標と目的に照らしてプロジェクトを評価し、優先順位を付けるために、エンタープライズ ポートフォリオ管理オフィス (EPMO) を必要としています。この分析は、リソースと予算の割り当ての改善に役立ちます。

ジェイソン・キンダー (Jason Kinder) 氏は、Pinnacle Management Systems (ピナクル マネジメント システムズ) のマーケティング ディレクターです。「組織は迅速に適応し、動くことができる必要があります。そのためには、従来はつながっていなかったシステムを 1 つのエンタープライズレベルの視点で取り込まなければなりません。」と彼は言います。

エンタープライズ ポートフォリオ管理オフィスの役割

EPMO は、次の問題の解決にも役立ちます。

  • チーム間の冗長性
  • 作業の完了に対する可視性およびより大きな戦略的目標に沿った追跡方法の欠如
  • プロジェクトの遅延と期限超過
  • リソース調達のボトルネック
  • 不要な支出と ROI の失敗

エンタープライズ PPM と従来の PPM との違い

従来のプロジェクト ポートフォリオ管理では、ビジネス ユニット レベルでプロジェクトを実行することに重点を置いていますが、エンタープライズ PPM は組織の戦略的目標に沿ったすべてのプロジェクト、プログラム、ポートフォリオをカバーします。

TaskTrain (タスクトレイン) の創設者兼 CEO であるキース・ジレット (Keith Gillette) 氏によると、「一般的に、EPPM は統合されたビジネス管理ソリューションとして、PPM を組織全体の運用コンテキストに統合したものです... エンタープライズ プロジェクト、プログラム、ポートフォリオ管理では、これらのプロジェクト指向の実践およびシステムを、単一のエンタープライズ管理システムを作成するための戦略的目標に合わせて、組織の継続的な生産とサポート ビジネス プロセスに統合します。」とのことです。

Meloni Coaching Solutions, Inc (メローニ コーチング ソリューション) のプレジデント、マーガレット・メローニ (Margaret Meloni) 氏は以下のように述べています。「EPPM を考える場合は、最も効率的かつ成功した最高の PMO を、好ましい形で強化したものを考えます。『強化』というのは、大規模化して強靭なものにするということです。また、成功したプロジェクトの実行を通じてエンタープライズをステップアップさせ、成功に導くことができる必要があります。」

エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオ管理の目的

EPPM の主な目的は、組織のすべてのプロジェクト、プログラム、ポートフォリオ、共同の取り組みの概要を、全方位の視点で提供することです。この概要は、ビジネスをスムーズに運営し、変化に効果的に対応するために重要です。

CB Insights (CB インサイツ) の調査によると、60% の企業が新製品の市場投入に 1 年以上を要しています。これ自体が、組織がプログラムのすべての構成要素をまとめ、計画を円滑、迅速、効率的に実行するために PPM に大きく依存している理由となっています。

また、EPPM は、財務会計サプライ チェーン管理CRM など、プロジェクトやプログラムのすべての構成要素をまとめる必要があります。

エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオ管理の利点

EPPM は、一度きりのプロジェクトとより大きなビジネス目標の整合性の向上、冗長性の削減、作業の中断の低減など、多くの利点を提供します。

その他の利点は次のとおりです。

  • リソースと予算の割り当てを改善
  • プロジェクトのフレームワークとアプローチに関する予測可能性の改善
  • 保守的な意思決定の削減
  • プロジェクトの優先順位付けの改善 
  • プロジェクト ROI 追跡の改善 

ジレット氏は、これらの利点を繰り返し言及しています。「EPPM は、急速に変化する市場状況に適応しながら、エンタープライズがオペレーショナル エクセレンスを達成する能力を保証します。」と彼は言います。

キンダー氏は、EPPM について同様の指摘をしています。「例外的な管理は、私が常に提唱してきたことです。EPPM システムは、すぐに注意を払う必要がある問題を指摘し、混乱の中でその問題を見失うことを防止します。」

エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオ管理プロセスを構築するには

テンプレートに従うことで、効果的なエンタープライズ プロジェクト ポートフォリオ管理プロセスの構築は、簡単かつシームレスに行うことができます。独自のプロセスを作成するには、以下の手順に従います。

  1. プロジェクト インベントリを作成する: まず、重要な情報やプロジェクトの詳細などを含め、組織全体のすべてのプロジェクト、プログラム、ポートフォリオを特定します。次に、プロジェクトを優先順位別に整理し、組織の戦略的目標と一致させます。ここで PMO は、どのプロジェクトを進めるかを読み解く上で貴重な役割を果たすことができます。
  2. 重要な質問について話し合う: プロジェクト インベントリを作成する際には、次の質問を考慮します。 
    • 翌年中に完了すべき、最もミッション クリティカルなプロジェクトは何か?
    • 資金を提供する必要があるプロジェクトはどれか? 
    • 最も高いリスクを伴うプロジェクトはどれか?また、そのリスクを軽減するには何ができるか?
    • 既存のプロジェクトのうちパフォーマンスが低いものはどれか?
    • リスクとコンプライアンスに関するプロジェクト監視を改善するにはどうすればよいか?
    • 効果的に従業員を引き付け、それを維持し、モチベーションとパフォーマンスを高めるにはどうすればよいか?
    • プロジェクトのコスト管理とマージンを改善するにはどうすればよいか?
  3. EPMO を開発する: プロジェクトやプログラム、関連する優先順位を取り入れる際には、組織に EPMO を組み込み、内部で適切に配置します (通常これは、戦略的計画が行われる部署で発生します)。
  4. プロジェクトを調整する: 進めたいプロジェクトのアイデアを得て、それらを組織の全体的な戦略と目標に合わせて調整することで、予算付けと計画の方法を評価できるようにします。
  5. 導入チームを任命する: このチームは、主要な関係者、ポートフォリオ、プログラムおよびプロジェクト マネージャー、EPPM に関わる新しいシステムを促進するチーム メンバーで構成する必要があります。 
  6. EPPM を立ち上げる: 進行中のすべてのプロジェクトの進捗、各プロジェクトの成功メトリック、社内外のプロジェクト リソース、戦略的目標、その他の重要な詳細を追跡する、中心となる EPM プラットフォームを使用して新しく開発した EPPM を導入します。
  7. 実行とコンプライアンスを監視する: EPPM システムは、関係者に継続的に情報を提供できるように、プロジェクトのステータスと進捗を定期的に監視する必要があります。さらにシステムは、プロジェクト チームとより大きな組織間の説明責任と整合性のために、適切なプロジェクト ガバナンスを確保する必要があります。
  8. 実行可能なビジネス インサイトを収集する: EPPM システムは役割ベースのインサイトを明確化できるため、各役割の責任やプロジェクト全体の進捗に対するチーム メンバーの追跡方法に関する情報を常に把握できます。

    キンダー氏が以下のように述べています。「役割が異なれば異なるデータが必要です。ダッシュボードを役割固有とし、ユーザーが情報に基づいた意思決定を行うための適切なデータを提供します。」
  9. 追跡可能性のパターンを設定する: EPPM を可能な限り効果的に行うためには、各プロジェクトおよびプログラムについて人員、内容、時期を追跡し、すべてのアクションが主な目標と一致していることを確認する必要があります。これにより、各役割が適切な情報にアクセスできるようになり、ビジネス上の意思決定のため正しいデータを検索するという無駄な時間が不要になります。
  10. 学んだ教訓のための文書を作成する: この文書には、各プロジェクトから学んだ教訓を含め、ポストモーテムとして機能させる必要があります。これにより、成功したアクションを繰り返し、プロジェクトの障害になった詳細を取り除くことができます。この文書は、組織のすべての部署が簡単にアクセスできる必要があります。

エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオのライフサイクル

エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオのライフサイクルには、開始の意思決定、投資と予算の保守、終了戦略計画の 3 つの主要な構成要素があります。

  1. 開始の意思決定: 青信号または関係者の賛同とビジネスの承認を得ることとも呼ばれますが、ライフサイクルにおけるこの部分では、各プロジェクトの追跡と評価に使用される成功メトリックに対応します。これらの最初の決定に対して行われた変更を、変更記録または変更ログに記録します。
  2. 投資と予算の保守: EPPM が開始されたら、計画された経費と実際の経費を常に監視し、予算を正確に把握する必要があります。これは、プロジェクトを中止するか、ビジネス戦略を再考するかを、あなたや他の主要な関係者が判断するのにも役立ちます。
  3. 終了戦略計画: 幕引きまたは退役計画とも呼ばれますが、ライフサイクルのこの部分は、必要に応じてプロジェクトやプログラムを終了する戦略を作成するのに役立ちます。

EPPM 導入に関するヒント

エンタープライズ PPM の専門家による最も役立つヒントとしては、プロジェクトのリスクに優先順位を付ける、救済策を特定するなどがあります。可能であれば、組織の戦略と一致しなくなったプロジェクトをキャンセルし、マイクロマネジメントを回避します。

エンタープライズ プロジェクト マネージャーの責任には、次のものが含まれます。

  • 時間とタスクの管理を簡素化することで、EPPM に基づいて作業を完了する自律性と柔軟性をチーム メンバーに与えます。
  • リアルタイムでデータ キャプチャに優先順位を付け、より迅速なビジネス上の意思決定を行い、プロジェクトの要件と期限の遵守を適正化します。
  • 自動化された EPPM ツールとソフトウェアを使用して、プロセスを簡素化し、リアルタイムのレポートで全メンバーの関与を維持します。
  • できるだけ早く関係者から賛同意見を得るようにします。

「EPPM は戦略的意思決定のトップ管理職に使用されるエンタープライズレベルのツール セットです。」とジレット氏は言います。「したがって、導入にはトップ管理職の賛同が不可欠です。」

メローニ氏は、賛同と導入について同様の意見を述べています。「導入はスタッフの心の中から始まります。足の引っ張り合いや権力争いは不要です。共同作業と信頼の精神が必要です。キャリア アップは、システムを回避するのではなく、システムをサポートすることで得られるということを誰もが理解する必要があります。」 

役に立つ PPM 関連のテンプレートを使用して EPPM を使い始めるには、さまざまな無料のダウンロード可能なテンプレートを用意したこちらの記事をご覧ください。

エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオのメトリック

EPPM の成功は、財務 (ROI など) や従業員の満足度などのより定性的なデータを含む、さまざまなメトリックによって測定できます。

また、バランスの取れたスコアカード基準を含め、EPPM の戦略と成功を特定し、測定することもできます。さらに、メトリックを役割別に分割することで、特定の成功を測定できます。たとえば、プロジェクト マネージャーはプロジェクトを完了するためのコストと日数に基づいて成功をランク付けし、会計担当者は買掛金、未収金、請求書の数に基づいて成功を測定します。 

ジレット氏は以下のように述べています。「EPPM 導入を成功に導く最善の策は、すでにエンタープライズ自身を判断するために使用しているものと同じです。実施から 1 年後に、エンタープライズの既存のパフォーマンス測定システムにおいて主要業績評価指標は改善されているか?EPPM 導入のコストに対する投資収益率を表す利益、収益、または市場シェアが増加しているか?ということです。」

一方キンダー氏は、ユーザーによる採用が主なメトリックの焦点であると述べています。「ユーザー数の目標値を超えると、EPPM システムは成功と言えます。それは、システムが有益であり、根拠に基づいた意思決定のための適切なデータを提供していることを示すからです。」

メローニ氏も同様の意見です。「広く使用されている範囲、スケジュール、予算、品質、変更のメトリックがいくつかありますが、適切なメトリックは、EPPM の導入理由を示すメトリックです。これは、組織にとって重要な項目を測定することに関わります。」と彼女は言います。

エンタープライズ プロジェクト ポートフォリオ管理の課題

エンタープライズ PPM の主な課題は、単一のプロジェクトやプログラムに対する複雑なガバナンスと、戦略的で、徹底的に検討を重ね、詳細に文書化された実行計画の策定です。

エンタープライズ PPM のその他の課題には、次のようなものがあります。

  • 厳格な財務管理: プロジェクトやプログラムに関連する予算の承認、記録、報告に関しては、ミスが許されません。ROI を高め、非効率的な状況を取り除くためには、組織は厳格な財務管理とコンプライアンスに注力する必要があります。
  • 特定のマネジメント スキルの欠如: EPPM を導入する際には、プロジェクト チームのスキルを入念に検討し、必要に応じてトレーニングを実施する必要があります。
  • EPPM ツールの選択: キンダー氏はこう述べています。「要件を定義し、ツールを評価するために必要な時間を事前に取ってください。ツールを購入するという決定が徹底的な評価なしで行われ、1、2 年の内に代替品を探している場面を何度も見てきたからです。」
  • KPI の過負荷: 監視および実行する KPI が多すぎないようにします。キンダー氏は、以下の内容を推奨しています。「ダッシュボード上の KPI は 4 ~ 6 個とします。これで問題の根本を掘り下げ始めることができます。すべてのメトリックが重要というわけではないので、何十もの KPI で混乱させないようにしてください。」

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