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サーバーのスキルで、チームに勝利を: AI の「ミッシング リンク」
こんな人物に思い当たる節はありませんか。
AI を導入した途端、チーム内で 1 人だけ作業がスピードアップ。そもそもチーム全体の効率を向上させる目的で AI を取り入れたものの、効果があるのは 1 人だけ。そうした期待と現実の「ずれ」こそが、エンタープライズ向け AI 試験導入の 95% で投資に見合った効果が上がらない理由です。そして、私たちはまさにこの「ずれ」を解消することを目指しています。
出し惜しみする人:どのチームにも、出し惜しみする人が 1 人はいるものです。AI の活用方法を「理解している」このような人物は、2 倍の速さで作業をこなし、簡単そうに使いこなすものの、その方法を誰にも教えてくれません。貴重なプロンプトは一切共有せず、書き留めることもしません。まるで魔法使いになったような感覚を、密かに楽しんで優越感に浸っています。しかし、本当にこの状態が「優れている」と言えるでしょうか。誰か 1 人が大きな力を手に入れたところで、その人の作業の効率性とは裏腹に、致命的な弱点にもなりかねません。AI で成果を上げる秘訣を知っているのは 1 人に限られているので、その人が 1 週間休暇を取ると、チーム全体の作業スピードも 1 週間にわたって停滞してしまいます。その人が退職したら、秘訣も永遠に失われてしまいます。これでは AI を効果的に導入しているとは言えず、運に頼っているようなものです。
質ではなく量を重視する人:これについては、誰もが心当たりがあるでしょう。提出物の締め切り直前に、この感覚に陥った経験は誰にでもあるはずです。「大量に生み出す」ことが良いことだと思い込み、何かがごちゃごちゃと記されたメモ、作りかけの HTML、誰も頼んでいない 12 ページのドキュメントを次々と作り出すので、後工程の全員が、自信満々に作成された無意味な「寄せ集め」のファクトチェックを余儀なくされます。AI によってそれが改善されることはなく、かえって「むやみに生み出す」頻度が増えました。量と価値はイコールではありません。何かを大量に生み出すことが、優れたプロというわけではないのです。
これら 2 つの例を見てみると、いずれも AI に問題があるのではなく、「標準」に問題があるからこそ起きていることだとわかります。1 つ目の例では、チームの 1 人だけが標準を独占しており、2 つ目の例には標準そのものがありません。AI が例に挙げたような人物を生み出したわけではなく、ただそれぞれの欠点を増幅しただけです。チーム全体で基準が定められているチームに AI を導入すると、その部門の業務の遂行方法が一新されます。そうした基準を持たないチームに AI を導入すると、より迅速に作業をこなす天才と、より大きな混乱が生まれます。AI は一種の増幅器です。標準がある場合はそれを強化してくれますが、標準がない場合はそれがあからさまに露呈されます。
これがまさに、結果が大きく偏っている理由です。マサチューセッツ工科大学による Project NANDA では、2025 年に企業の実態調査を実施。その結果、生成 AI の試験導入のおよそ 95% で、収益に対する有意な影響がないこと報告されています。実際の価値を生み出したケースはおよそ 5% に過ぎません。その原因は AI モデルにあるわけではありません。モデル自体は素晴らしいものです。AI の活用方法の秘訣が個人に限定されていたことこそが原因だったのです。個人の知識に頼りきりで、チームの能力を高めることにつながっていません。誰か 1 人の作業がスピードアップしたところで、会社全体の変革につながるわけではありません。チーム全体が同じ標準に沿って作業し、共に効率を向上させて初めて変化が生じるのです。
Smartsheet は、そうした標準を実現して自動的に適用する、業界初の業務プラットフォームです。 それは、プロンプトで見つかるものではありません。各人が自分の頭で編み出さなければなければならないものでもありません。実際の業務の遂行方法、つまりルール、定義、および期待事項が、Smartsheet からすべての人とエージェントに提供され、時間が経過するごとに洗練されます。一度定義するとそれがデフォルトになり、誰もがそれに基づいて作業できるようになります。
品質基準は AI が決めるものではない
ここで注目すべき点は、共有する「標準」を策定するのは、AI の役目ではないということ。品質基準を設定するのはチームの役目です。たいていの場合、基準は設定されても実現されることはあまりありません。ベスト プラクティスは誰も見ない Wiki ページにまとめられ、長々としたオンボーディング文書 や SOP など多くのルールブックが作成されるものの、それが実行されることはあまりありません。
そこで私たちは、争うようにして AI ツールを出荷している他社とは異なるアプローチを取りました。既存の各種 AI ツールはいずれも、コンテンツを生み出す個人(いわば「タイピスト」)をサポートするもので、前述の例のように 1 人の人物の作業スピードを高速化することに重点を置いています。一方で、Smartsheet ではチーム全体にとってベストな業務推進を、全員にとってのデフォルトにするにはどうすればよいかに注目します。最適な標準が自動的に提供され、一貫性のある形で適用され、時間の経過とともに改善されるようにするには、一体どうすれば良いのでしょうか。
その答えは新しい AI モデルではなく、スキルにあります。「スキル」は Smartsheet の用語でもなければ、私たちが新たに発明したコンセプトでもありません。AI 業界全体が結束して生み出したアイデアであり、この形式は今やオープン標準となっています。スキルとは、ノウハウをパッケージとしてまとめたもので、エージェントは必要なときにそれらのノウハウを即座に選び出します。そして、モデルに役割を引き渡し、ユーザーの真意を読み取り、作業に適したツールを選び、チームのスタイルに合わせて回答の形式を決めたうえで、「期限超過」は何を意味するのか、「完了」は何を意味するのかなど、あなたのルールを適用します。まるでどんなタスクを行っていても、信頼できる専門家がすぐ側にいるようなものです。
私たちが行ったのは、Smartsheet の側からスキルを提供することでした。専門的な知識は各人の設定の中ではなく、Smartsheet のインフラストラクチャ上に保存されています。そのため、接続中のあらゆるエージェントへと自動的に転送され、一貫性を保ちつつ、全員の効率を一度に向上させることができます。
スキルが実行する内容: モデルに役割を引き渡し、ユーザーの意図を読み取り、リクエストを修正し、適切なツールを選び、ユーザーに適したスタイルを適用し、ルールをエンコードします。それらが必要になった瞬間に提供されるので、AI がそれを再度見つけようとしてトークンを使い尽くすことはありません。
基準を一度設定し、それを中心に据えることで、すべての人間、そしてすべてのエージェントがそれに従って作業します。出し惜しみするメンバーが編み出した知恵はチームを支える土台となり、その人がチームを離れても失われることはありません。質には構わず量を重視していた人も、最低限の基準を満たせるようになります。ベスト プラクティスがドキュメントの中に永久に埋もれることはなくなり、ようやく「実行」されるようになります。
とは言え、「共有された 1 つの標準」ではまだ十分ではありません。そうした標準を真に個人的なものに変える要素が 2 つあり、その両方が必要になるからです。
1 つ目は、自分が実際に所属している場所 (業界、次に会社、次にチーム、そして最後に自分自身) に合わせて調整された専門知識です。建設会社における「リスク」の考え方は、病院におけるそれとは異なります。PMO にとっての「完了」の定義は、現場スタッフにとっての「完了」と同じではありません。一般的なベスト プラクティスではなく、自分自身にとってのベスト プラクティスこそが重要です。
2 つ目はコンテキストですが、実際には 2 つの要素で構成されています。1つ目の要素は、自分の業務が互いにどう結び付いているのか (つまり自分の関係) を示すライブ マップです。何が何に依存しているのか、誰が何を担当しているのか、どのパートナーがどのプロジェクトに関わっているのか、何が遅れ、何が妨げとなっているのかを把握できます。2 つ目の要素は、エージェント メモリです。これにより、チームによる実際の業務の遂行方法を AI が引き継げるため、毎回作業をゼロから始める必要がなくなります。専門知識により、AI は作業をうまくこなす方法を判断できます。また、関係とメモリからあなたの状況を把握できます。これらをまとめることで、何もないところからベスト プラクティスを掴む必要がなくなります。その結果、そうした依存関係があるプロジェクトについて、チームを適切に導くことができるようになります。このような組み合わせは、他の誰にも真似できない部分です。アプリにモデルを搭載することは誰でもできますが、専門知識、業務のライブ マップ、チームによる業務の遂行方法のメモリは、あなたの業務がすでに保存されている場所にしか存在しないのです。
これで終わりではありません。チームが業務を進める中で、エージェントによる作業を受け入れたり、修正したり、送り返したりするわけですが、このような業務の進め方がスキルのさらなる学習教材となるのです。時間が経てば経つほど、チームの「働き方」をもとに AI があなたにとってますます最適なツールとして洗練されていきます。何千もの企業で実証されているパターン、つまり誰かの実際のデータではなく、何がうまく機能するのかを形にしたものによって、すべての人のレベルが上がります。苦労して手に入れた業務の遂行方法が、誰も開かないドキュメントに閉じ込められることはもはやなく、活用するたびに改善されるシステムとなります。また、データが外部に出ることはなく、転送されるのはスキルを学習させるための教材のみです。
真の魅力は、単に物知りな AI を使うことではなく、「あなた」の特徴をよく理解し、使えば使うほどにその知識を深める AI を使えることにあります。専門知識、あなたの関係とメモリ、そしてチームの判断が、あなたが定めた標準に沿うようになります。
(ここで「サーバー上」が重要な理由を説明します。スキルが一般市場で流通すると、サプライ チェーンの信用が損なわれます。ある調査によると、公開された 4 万件のスキルのうちおよそ 4 分の 1 に、セキュリティ上の欠陥があることが判明しています。Smartsheet では、自社がスキルを所有して一元的に提供しているため、何かをインストールする必要はなく、流出や汚染の恐れもありません。標準は信頼できる 1 つの場所に保存されます。)
ツールは個人の作業スピードを上げるが、チームの作業スピードにはスペースが欠かせない。
これは、ほとんどの AI 戦略で見逃されている大切なポイントです。個人の AI アカウントや AI アシスタントは、個人のデスクワークを迅速化することには優れています。しかし、業務はデスクで 1 人で行うものではありません。人間から人間、人間からエージェント、チームからチーム、会社から会社へのリレーなのです。そして、リレーによってスピードは損なわれます。天才的な知識をもつ優れた人物がいたとしても、やはり個人にすぎません。この人物がどんなに驚異的なスピードで作業をこなせたとしても、いずれは別の誰かに作業を引き継がなければならなくなります。
チーム全体の作業スピードを上げるには、引き継ぎによってスピードが落ちないようにすることが大切です。それには共同の作業スペースが必要です。人間、エージェント、外部パートナーが、同じ状態を同じタイミングで把握でき、業務を行ううえで基礎となる標準・基準が保存されている「単一のリアルタイム記録システム」が欠かせません。この共同作業スペースでは、あらゆる作業・統制が標準に基づいて行われます。AI チャットではこのようなことは実現できません。AI モデルは創造性や確率性においては優れていますが、記録システムの正確性は絶対的です。列が更新されたかされなかったか、承認されたのかされなかったのか、疑う余地はまったくありません。共同の作業スペースを活用することで、エージェントの創造力と、追跡可能な証跡を残すシステムの説明責任能力を同時に得られます。監査機能で正確性を裏付けできる創造力こそがビジネスに求められてる機能であり、AI ツールに欠けているものでもあります。
ビジネスを動かす共同作業スペース
これは単なる希望的観測ではなく、すでに現実のものとして機能しています。あらゆる要素を統括するレイヤーがすでに存在し、驚異的な規模で展開されています。
現在、Smartsheet のプラットフォームでは 2 億 5,000 万件以上の自動化ルールがバックグラウンドで静かに実行されており、これが起きたらこれを実行せよという指示が有効になっています。1 か月間に、このプラットフォームでは 1 億 7,000 万件以上の引き継ぎが行われました。ベンダー、請負業者、代理店が互いのワークスペース内で業務を行う中で、30 万を超える企業の境界を越えて、人から人、チームからチームへと業務が引き渡されたのです。そして今では、エージェントも同じ基準を元に行動することができます。ライブ データの読み取りと書き込みをはじめ、自動化のトリガー、作業の引き継ぎなど、人間と同じように実行できるようになったのです。ベンダー、請負業者、代理店が Smartsheet を利用するようになったのは、私たちが製品を売り込んだからではありません。業務がすでにここにあるから利用するようになったのです。
エージェントを使用する際も、何もない状態から作業を始めることはありません。さまざまな企業と相互関係があり、すでに統制がとれた状態の既存の業務構造の一部となって、作業を始められるのです。エージェントによってネットワークが構築されるのではありません。ネットワークがビジネスを動かしているのです。
業界初のプラットフォームとして目指したもの
AI 企業各社は、こぞって個人の作業スピードを上げるツールの開発に励んでいました。Smartsheet は、AI ツールだけでは実現できない「残りの半分」の開発に取り組みました。業務の基礎となる標準が保存され、人も AI エージェントもそれに従って作業でき、記録システムを元に業務を統制できる、そんな作業スペースを実現しました。Smartsheet の業務プラットフォームは業界初の試みで、2025 年後半に実施された業界調査では、このような専門知識を提供している AI 接続サーバーは Smartsheet のほかにほぼ存在せず、業務管理の分野では皆無であることが判明しています。
一番手になったからといって、現状に満足しているわけではありません。業界初のプラットフォームとして有利なスタートを切った後は、この立場を活用し、Smartsheet が提供する「標準」を、あらゆるチームの効率性向上に役立てます。また、それらの標準はすでにお使いのあらゆる AI で利用できます。
すべての根底には、1 つの真実があります。それは、ビジネスは「チームスポーツ」であること。才能のあるスター選手を買収するだけでは勝てません。企業を成功を収めるには、より速く、より正確に、団結して行動し、労力を減らすことが欠かせません。自分たちの知識を、チーム全体が協力するためのシステムに変換し、それを用いてより強力な選手を擁するチームに打ち勝つのです。組み立てライン、組織図、プロセスなど、これらすべてを活用して業務を統制します。AI によって勝負の規模は大きくなりますが、ゲームそのものが変わるわけではありません。
1 人の作業効率の向上を目指しても意味がありません。企業全体の連携を高め、全体の効率を向上させることに意味があるのです。個人のパフォーマンスだけに固執しない。これは今後も決して変わりません。
出典
MIT Project NANDA、『The GenAI Divide: State of AI in Business 2025』— シェリル・エストラダ (Sheryl Estrada) 著『MIT report: 95% of generative AI pilots at companies are failing』、Fortune、2025 年 8 月 18 日より。https://fortune.com/2025/08/18/mit-report-95-percent-generative-ai-pilots-at-companies-failing-cfo/
Anthropic (アンスロピック)、『Agent Skills』(オープン標準)、2025 年 12 月。https://agentskills.io — および『Effective context engineering for AI agents』。https://www.anthropic.com/engineering/effective-context-engineering-for-ai-agents
Microsoft Research (マイクロソフト リサーチ)、『Tool-space interference in the MCP era』、2025 年 11 月。https://www.microsoft.com/en-us/research/blog/tool-space-interference-in-the-mcp-era-designing-for-agent-compatibility-at-scale/
イー・リウ (Yi Liu) 他、『Agent Skills in the Wild: An Empirical Study of Security Vulnerabilities at Scale』、arXiv:2601.10338、2026 年。https://arxiv.org/abs/2601.10338
プラットフォーム アクティビティの図は方向性を示すもので、社内製品データ (2026 年) から取得したものです。